〔03〕 「役割・成果主義」-「役割」をベースに成果主義の処遇制度を実現する

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● 「役割」とは何か
「役割」というのは、職位・職務上の責任・権限である職責に、業務の拡大・革新等のチャレンジ度を付加したもの、つまり「職責+チャレンジ度」と考えてよいかと思います。
「役割」は企業・組織が職位等に応じて社員に求める基本的重要事項であり、時代の変化に対応し、企業・組織・社員のレベルアップのため、社員自らが高次の目標を設定し、拡大することが期待される重要事項です。今後は、自らの「役割」を主体的にとらえ創造性を発揮する自律型人材が企業競争力の決め手となると考えられます。

● 「職務」と「役割」の違い
よく「職務・役割主義の人事制度」とか「職務給賃金制度」とか言われますが、「職務」と「役割」はどこが違うのでしょうか。
両者とも「能力」のような「人」基準ではなく「仕事」基準であるという点では同じです。ただし次の点で異なります。
★ 「職務」...業務活動項目のまとまりを指し、細分化された定型業務のこと。
★ 「役割」...職務を簡素化し大括り(ブロードバンディング)したもので非定型業務を含む。
「職務」が"業務"の視点に立っているとするならば、「役割」は"機能"の視点に立っているとも言えます。(例えばお医者さんの「職務」が診断する、手術をする、投薬の指示をする、カウンセリングをするなどなどであるとすれば、お医者さんの「役割」は患者さんの病気を治すということになるかと思います。)
「職務」という用語が「職務グレード」、「ジョブバンド」、「日本型職務給」という言葉の中で使われる場合は、ここでいう「役割」と同じ意味で用いられている場合が多いようです。

● 「役割・成果主義」-「役割」をベースとした成果主義の処遇制度を
従来型の「職務等級制度」では、すべての課業を洗い出して個別に分析や点数化をし、組織改組や環境の変化に合わせてその都度メンテナンスをかけ......と大変な労力を注いだのに、制度が短期間のうちに硬直化し運用がままならなくなるといったことがよく起こります。
その点、「役割」(役割基準)をベースとした人事制度である「役割等級制度」は、こうした「手段の目的化」というジレンマに陥る危険性も小さく、社内での「役割」の重要度をベースにした「仕事」基準の処遇の効率的な実現を可能にします。
成果主義賃金制度の導入に際して、その「役割」のレベルに対して支払う報酬の基準を定め、また成果の反映度を調整すれば、"行き過ぎた成果主義"というものに陥る可能性も少ないと考えられますし、反対に処遇に一定の格差があったとしても、それはその「役割」のレベルにある社員が負うべきリスクでありリターンであるという合理的な説明が可能です。会社が社員に対して、「その役割において、社員自らが高次の目標を設定し、拡大すること期待する」というメッセージを、処遇と連動させて伝えることにより、「活力のある革新的な人材・組織の実現」という、成果主義の本来の目的に近づくことが可能になると考えます。

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