〔29〕 インセンティブ・ボーナス(報奨金)-わかりやすく達成感のある仕組みにする

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● インセンティブ・ボーナスのポイント
インセンティブ・ボーナスという用語は、日本では定期賞与のうちの業績反映部分を指して用いられることもありますが、ここでは報奨金(褒賞金)制度という意味で用います。
インセンティブ・ボーナスは、わかりやすく達成感のある仕組みにすることがポイントです。中小企業等で実際に実施されている、そうした報奨金制度のいくつかのタイプ例を挙げてみます。
① 売上高目標達成基準・Aタイプ 【達成率基準】
115%以上2万円、110%以上1万6千円、105%以上1万2千円、100%以上8千円
② 売上高目標達成基準・Bタイプ 【社内順位】
1位3万円、2位2万円、3位1万円、4・5位5千円
③ 新規開発基準・Aタイプ 【売上高基準】
800万円以上3万円、600万円以上2万円、400万円以上1万円、200万円以上1万円、
④ 新規開発基準・Bタイプ 【件数基準】
4件2万円、3件1万5千円、2件1万円、1件5千円
上の例は月次ベースですが、業態や業務内容によっては四半期、半期ベースでよりまとまった金額を支給するやり方の方が、効率的かつ効果的な場合もあります。

● 業績連動報酬の考え方
プロフィット・シェア・ボーナス(利益還元賞与)、インセンティブ・ボーナス(報奨金)、コミッション(歩合給)などはすべて、毎期の範囲内で会社がその社員に支給する報酬額を変動させるという意味で、業績連動報酬にあたります。ですから、短期インセンティブ(刺激給)とも言えます。
ストックオプションのような新たなインセンティブが登場し、今どき報奨金などは古いやり方ではないかと考える経営者の方もいますが、権利行使期間の制限があるストックオプションは、厳密な意味では短期インセンティブではありません。その点、利益還元賞与や報奨金は、報酬に利益貢献の対価としてのメッセージを持たせる上での強力かつ即時的なメッセージになります。
また、期中での業績測定や原資配分の難しさ、間接部門の成果判定の難しさ、直接部門との機会均衡の問題などから、制度の検討や導入を躊躇する人事担当者がおられますが、導入時にすべての問題をクリアしようとは考えずに、制度策定の方向性として次の3点を見据え、運用しながら制度を拡充し、納得性のある社内基準を整備していくという考え方でよいと思います。
① 社員全員を何らかの業績連動報酬の対象とすることができるようにする
② どのような業績・成果をあげた場合にどれぐらいの報酬がでるか予め示せるようにする
③ 役職や職群別に支給水準(支給パターン)を定める
③については、全員が業績連動報酬の対象となることを前提としつつ、例えば管理職は一般職よりも、営業・事業開発部門の社員はスタッフ部門の社員よりも業績が悪ければ業績賞与(定期賞与)などでシビアな査定を受けるリスクを負っている分、業績が良ければ相応の業績賞与に加えて高い金額の報奨金が得られるチャンスもあるというように、自社内での職層・職群別の相対的なハイリスクハイリターン、ローリスクローリターン構造を定めるということです。

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