◆賞与額の決定に際して、業務上の災害のために休業中の者を欠勤扱いとしてもよいか

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Qのロゴ.gifのサムネール画像当社には、半年前に業務上の災害に罹災し、今もなお療養のため休業中である社員がいますが、この社員の休業期間を欠勤として扱い、賞与を減額して支給することはできるでしょうか。


Aのロゴ.gifのサムネール画像賞与とは、「原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」であるため、算定期間中に休業していた社員について、その休業期間を欠勤として扱い、賞与を減額して支給することは、その休業が業務上の傷病によるものであったとしても可能です。
なお、業務上の災害による休業の期間については、労災保険から休業補償給付が支給されます。

 

■解説
1 賞与の性格と業務上の休業による欠勤控除

賞与は、労働基準法上の取扱いでは、「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」とされています。つまり賞与は、毎月支給される給与などとは異なり、労働契約上の債務にあたるものではないため、必ず全社員に支給しなければならないという性格のものではありません。
また、労働基準法では、第76条(休業補償)において、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかった場合において、「労働者の療養中平均賃金の100分の60」の休業補償を行うことを義務づけるとともに、第39条(年次有給休暇)に定める年次有給休暇の付与要件である出勤率の取扱いにおいて、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間」は、「これを出勤したものとみなす」(同条第7項)としています。しかし、労働基準法が定めるところの、業務上の災害による労働者の休業に関して使用者に課している義務はこれだけで、このほかに法的な定めはありません。
したがって、業務上の災害による傷病のため、賞与の算定期間中に休業期間がある場合に、賞与の算定にあたっては、休業期間を欠勤したものとして取扱い賞与を減額しても違法となるものではありません。


2 欠勤控除に減額緩和措置を設ける場合

しかし、業務上の災害による休業を、いわゆる私傷病による欠勤や休職と同じ扱いにして賞与の欠勤控除計算をするとして、就業規則等の定めで、賞与の欠勤控除計算が、算定期間中の基礎日数のうち何日休業したかを求め、通常の計算による賞与額を日割計算して実支給額を決定する方式をとっている場合には、期間を通して休業した場合には賞与はまったく支給されないということになってしまいます。
そこで、そうした場合には、業務上の災害による休業であることを考慮して、①休業の最初の3カ月間は出勤したものとみなす、②休業期間の2分の1は出勤したものとみなす、などの減額緩和措置を定めることも方法として考えられます。
ちなみに、業務上の災害により労働者が休業した期間については、労災保険から、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額の休業補償給付(さらに、労働福祉事業より、特別支給金として給付基礎日額の20%相当額が加算される)が支給されます。


□根拠法令等
・労基法76(休業補償)
・昭22.9.13発基17(賞与の意義)
・労災保険法14(休業補償)
・特別支給金規則3(休業特別支給金)




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