〔55〕 割増退職金のポイント②-早期退職優遇制度・希望退職・退職勧奨の考え方

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● 割増退職金(特別加算金)のポイント
① 割増退職金は早期退職優遇制度の最大のポイント
割増退職金が「早期退職優遇制度」の目玉であることは事実です。応募を検討する社員にとって充分に魅力のあるものにしなければ、利用されない制度になってしまいます(「希望退職」においても同様です)。ただし、応募しない(あるいは応募資格のない)社員のモチベーションへの影響も考慮するならば、過大な金額設定は避ける必要があります。
② 「希望退職」は「早期退職優遇制度」より厚めに加算
「希望退職」は余剰人員の削減など経営の必要から実施するものですから、退職給付の平準化と社員の転進支援を図る「早期退職優遇制度」とは、目的が異なります。一定期間内に目標人員を定めて行うため、「早期退職優遇制度」よりも加算額を大きく設定します。また、希望退職を、目標人員に至らなかったなどの理由で何度かにわたり行う場合は、同じ条件で行うか、または第1回より第2回、第2回より第3回と回を追うごとに加算額を小さくしていくのが一般的です。
③ 「退職勧奨」は別途に扱う
「退職勧奨」は、ローパフォーマーに対して個別に行うもので、会社業績や本人の年齢・勤続年数などは、本来は関係ありません。割増加算金も、一時期に集中して実施するのでなければ。個別に検討すべきだと考えます。(「希望退職」と組み合わせて実施する場合は次項参照)

● 「希望退職」と「退職勧奨」の組み合わせ
「希望退職」の成功・不成功の判断基準は次の2点です。
ⅰ 募集予定者数に応募者数がどれだけ近いか
ⅱ 応募者数に占める非コア人材の比率の高さ及びコア人材の比率の低さ
以上を満たすために、雇用調整の一環として「希望退職」を募る場合には、「退職勧奨」を行うのが一般的ですが、「退職勧奨」の実施のポイントは次の通りです。
イ.「希望退職」募集期間の前または期間中に「退職勧奨」を行うのが一般的です。
ロ.「希望退職」の目標人員が相当数の場合は、対象者(応募資格者)全員との「個別面談」という形で実施します。この場合に、コア人材を区分できる客観的基準(過去評価の累計ポイントなど)があれば、コア人材に対しては応募資格を与えない、ということも可能です。
ハ.逆に、ローパフォーマーに対しては、そうした基準をもとに"戦力外"であることを告知し、「退職勧奨」します。ただし、面談に際しては、会社の経営状況をよく説明し、また「退職勧奨」であって「解雇」では無いので、本人に決定権があることを充分に告知します。(必要に応じて、「希望退職」の応募結果によっては整理解雇を実施しなければならない旨を伝えます。)
二.割増退職金は一定の基準(前節参照)で計算し、個別面談をする全員に提示します。
ホ.面談は直属上司が行うべきだと一般に言われますが、企業規模や役職権限によっては、部門長、役員、社長が行う方が良いと考えられますし、最近は外部委託するケースもあります。
こうした事態の備える意味でも、日常、キャリアプランニング研修を実施しておくのが理想ですが、少なくとも「希望退職」募集開始前後に、複数回の研修は必要であると考えます。

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