〔39〕 退職金の基本給絶縁方式とポイント制退職金制度の種類-併存型・併合型

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● 基本給絶縁の2方式
「退職時基本給×勤続年数×退職事由係数」という従来の退職金算定式の見直しの方向性として、もう1つは、基本給から絶縁する(基本給を計算の基礎として使わない)という考え方があります。「ポイント制退職金制度」はこの考え方に沿うものですが、その他に、算定基礎額を別に設ける「定額方式」も基本給絶縁の1タイプです。

① 定額方式
算定基礎額を基本給とは別建てにするもので、通常は次のような算定式になります。
 算定基礎額×勤続年数(または勤続指数)×退職事由別係数
 この方式には、基本給を第1基本給と第2基本給に分けて、第1基本給のみを算定基礎とすることで"ベア(昇給)の跳ね返り"を抑える、といった、従来制度の一部修正型のやり方もあり、高度経済成長期、昭和50年代前半に多くの企業で採用されました。
しかし、本来的な"基本給絶縁" "定額"の考えに沿うならば、基礎額を、(退職時の資格や等級など)何らかの基準に沿って別テーブルで設定するやり方が「定額方式」ということになります。ただし、こちらの方はあまり普及していません。

② ポイント制退職金制度(併存型・併合型)
同じく"基本給絶縁"の考え方に沿う、ポイント制退職金制度は、退職金の算定を1年毎のポイント算定に移行したもので、ポイント単価を変えることで給付水準を調整することができるのと、役割ポイントなどの設定により貢献度反映機能を持たせることができるのが、大きな特長です。
役割等級制度におけるポイント制退職金制度には、「勤続ポイント」(勤続1年毎のポイント)と「役割ポイント」(勤続1年毎にどの役割等級に該当していたかで得られるポイント)の「併存型」と、「役割ポイント」に「勤続ポイント」を併合し、「役割ポイント」一本にした「併合型」の2タイプがあります。それぞれ、通常は次のような算定式になります。

A.「併存型」...(勤続ポイント累計+役割ポイント累計)×ポイント単価×退職事由別係数
この方式での「勤続ポイント」は勤続年数に正比例させる必要はなく、したがって勤続が一定年数を超えると1年毎に積み上げるポイント数を減じることにより(あるいはポイントの積み上げを停止することにより)、長期勤続による給付の増大を抑制することが可能になります。

B.「併合型」...役割ポイント累計×ポイント単価×退職事由別係数
この方式は、「役割ポイント」が、その年にどの役割等級に属していたかによって積み上げるポイント数こそ異なるものの、"1年ごとに何ポイントか積みあがる"というのは事実であり、そうであれば「勤続ポイント」は要らないのではないか、という考えによるものです。
当然、一般的には「併合型」の方が貢献度反映の度合いを強めることができますか、それだけに新制度の退職金カーブと従来の退職金カーブで大きな差が出る可能性があります。

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