◆通勤手当を現物で支給する場合は賃金となるか

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Qのロゴ.gifのサムネール画像当社では、通勤手当を定期券で現物支給しています。この定期券は賃金にあたるのでしょうか。また、3カ月定期券または6カ月定期券というかたちで複数月分の定期券を供与することは、法律上の問題はないでしょうか。


Aのロゴ.gifのサムネール画像通勤手当は、支給することが制度として定められている限り、労働基準法上の賃金として扱われ、就業規則でその支給基準等の定めをしておく必要があります。定期代を実費で支給している場合も、現物供与している場合も、この点は同様です。さらに、定期券で現物支給するには、労働組合と締結する労働協約においてその旨を定める必要があります。
3カ月定期券または6カ月定期券というかたちで供与することについては、当該月の最初の月に供与されていれば、社員にとって不利益ではないため、労働基準法第24条の「毎月払いの原則」違反にはなりません。

 

■解説
1 通勤手当の賃金性と「通貨払いの原則」との関係

通勤手当は、法律上必ず支払わなければならない義務があるものではなく、支給するか否かは労使の話し合いや事業主の決定にゆだねられているものです。ただし、制度的に支払うこととし、その支給基準が定められている場合は、労働基準法上の賃金として扱われるので、就業規則、賃金規程に必ず定めなければならず、また、いったん就業規則等に通勤手当を支払う旨の定めをすると、事業主に支払いの義務が生じるということです。定期代を実費で支給している場合も、現物供与している場合もこの点は同様で、いずれも賃金として扱われるとともに、就業規則等にその支給基準を記載する必要があります。
また、賃金に該当する限りは、通勤手当にも、労働基準法第24条の①通貨払いの原則、②直接貨払いの原則、③全額払いの原則、④毎月1回以上払いの原則、⑤一定期日払いの原則の「賃金支払五原則」が適用されるため、定期券等を現物供与する場合は、労基法第24条に基づく労働協約の締結が必要となります(協約でその旨の定めをしなければ、「通貨払いの原則」の適用除外対象にはならず、同法違反となります)。この場合、定期券を現物供与できるのは、労働協約の適用を受ける労働者(拡張適用を含む)に限られ、また、この労働協約を、労働者の過半数で組織する労働組合や過半数を代表する者との間で交わす労使協定で代えることはできません。したがって、労働組合の無い事業所では、定期券等の現物供与はできないということですので、ご注意ください。


2 数カ月分まとめて渡すことと「毎月1回以上」払いの原則との関係

ところで、実費支給や現物供与された定期代が労働基準法上の賃金に該当するならば、前述の「毎月1回以上」「一定期日払い」の原則の適用を受けるということになりますが、実際には、事務を簡便化するなどのため、3カ月分、6カ月分の定期代を一括支給したり、あるいはご質問にあるように、3カ月定期券、6カ月定期券を供与したりしている事業所もあります。この点について行政解釈では、「6カ月定期乗車券であっても、これは各月分の賃金の前払として認められる」としています。
この場合、例えば、4月から6月までの3カ月分の定期代を4月に支払う場合は5、6月分については前払いとなり、社員にとって不利益にはならないため、労働基準法第24条の「毎月払いの原則」違反にはなりませんが、4月から6月分までを6月に支給する場合は、4月分、5月分が、4月、5月の各月にまだ支払われていないことになり、「毎月払いの原則」に抵触し、違法となりますので注意が必要です。


□根拠法令等
・昭25.1.18基収130、昭33.2.13基発90(通勤定期乗車券)



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