◆夫が失業中の女性社員に家族手当を支給しなければならないか

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Qのロゴ.gifのサムネール画像当社では、給与規程で、家族手当の支給基準を「扶養家族を有するとき」としていますが、このたび採用した女性社員が、夫が失業中であることを理由に家族手当の支給を求めてきました。これに応じなければならないのでしょうか。


Aのロゴ.gifのサムネール画像労働基準法第4条では「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と定められています。したがって、男女の賃金について、性別の違いのみを理由に格差を設けることはできませんし、家族手当も賃金であり、同様に、性で差別することは違法となります。
したがって、女性社員の被扶養者が夫であっても、他の男性社員の妻に対する家族手当の支給基準を満たしていれば、同じように家族手当を支給する必要があります。

 

■解説
1 男女同一賃金の原則

労働基準法第4条の規定(「男女同一賃金の原則」)は、女性に対する賃金についての差別を禁止したものです。女性が、一般的に勤続年数が短いこと、主たる生計の維持者ではないことなどを理由に、実際にそうであるか否かを問わず一律に賃金について異なる取扱いをするのは、「女性であることを理由と」する賃金差別となります。
職務、能率、技能、年齢、勤続年数等によって、賃金に個人的差異のあることは、この条文に規定する差別的取扱いではありませんが、例えばこれらが同一である場合において、男性はすべて月給制、女性はすべて日給制とし、男性の月給者がその労働日数の多寡にかかわらず月に対する賃金が一定額であるのに対し、女性の日給者がその労働日数の多寡によってその月に対する賃金が男性の一定額と異なるような場合も、「男女同一賃金の原則」に対する違反となります。
また、就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定があっても、現実にはその内容のことが行われておらず、賃金の男女差別待遇の事実がなければ、その規定そのものは無効ですが、そのことが即ち「男女同一賃金の原則」に対する違反となるわけではありません。


2 家族手当の支給要件

貴事業所では、家族手当の支給の要件を「扶養家族を有するとき」とされているとのことですが、この場合の扶養家族つまり被扶養者とは、一般に所得がまったくないか、所得があっても扶養者に生計を維持されている者であると考えられます。
家族手当の支給対象者の範囲については法律上の定めはなく、労使間の決定にゆだねられていますが、家族手当の支給要件に配偶者の所得に上限を設けている場合は、失業等給付の受給者については所得があるものとみなして、所得上限を超える場合は家族手当の支給対象外としても差し支えありません。また失業は臨時的なものであると考えて、ある一定期間は被扶養者とみなさないこととしても問題ありません。つまり失業期間の取り扱いについては、労使間で自由に決定することができるわけです。
しかし、貴事業所の給与規程では、このような所得制限がないようですので、当該女性社員の申し出に際して、女性の夫を扶養家族(被扶養者)と認めないとすることは、性による「差別的取扱い」に該当します。したがって他の男性社員の妻に対する家族手当の支給基準を当該女性社員が満たしていれば、女性社員の被扶養者が夫であっても家族手当を支給する必要があります。


□根拠法令等
・昭22.9.13発基17、平9.9.25基発648(女性であることを理由)
・昭23.12.25基収4281、平9.9.25基発648(差別待遇を定める就業規則)
・昭22.9.13発基17、昭25.11.22 婦発311、昭63.3.14基発150、平9.9.25基発648 (差別的取扱い)




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