【3159】 ○ 円谷 一 「ウルトラQ (第3話)/宇宙からの贈りもの (1964年制作(制作No.4)1966/01 TBS) ★★★☆

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「ウルトラシーリーズ」全体を怪獣路線に導いたエポックメイキング的な作品。

ウルトラq 宇宙からの贈りもの1.jpg ウルトラq 宇宙からの贈りもの4.jpg
火星怪獣ナメゴン 佐原健二(万城目淳)/桜井浩子(江戸川由利子)/江川宇礼雄(一ノ谷博士)

ウルトラq 宇宙からの贈りもの12.jpg 半年前に打ち上げた火星ロケットのカプセルが、ある日地球へ送り返されて来た。カプセルは火星の地表に衝突し、木っ端微塵に散ったはずなのにと、人々はガク然となった。しかも、カプセルの中には、ウズラの卵大の金色の丸い玉が二つまぎれ込んでいたのだ。学者たちは、火星人が人類の宇宙開発の成功を祝福して、贈り物をよこしたに違いないと楽観した。ところが宇宙開発局の金庫から三千万円とともに、保管されていた金色の丸い玉が盗まれてから、しばらくして大蔵島の洞窟の中に恐ろしい怪物が出たという報せが入った。淳、由利子、そして、一平の三人は、さっそくその島へ飛んだ。その洞窟の中にはギャングが倒れており、三千万円の札束が散らばっていた。だが、金色の丸い玉はどこにも見当たらなかった。その時、一匹の怪物が洞窟を突き破って出現した。金色の丸い玉は、なんと火星怪獣の卵だったのである。となると、もう一個の卵は一体どこへ?それは由利子の胸にペンダントに姿を変えて、ぶら下っていたのだ―。(「ウルトラQ・あらすじ集」より)

 「ウルトラQ」は'66(昭和41)年1月から7月まで27回にわたって放映されましたが、この第3話「宇宙からの贈りもの」は、円谷一監督、金城哲夫脚本で、1966年1月16日放送。「ウルトラQ」は'64年(昭和39)から'65(昭和40)年の間にシリーズ全話撮影を終えてから放送がスタートしていますが、この「宇宙からの贈りもの」は制作№は5で、実際に撮影されたのは'64年10月下旬~11月中旬になります(因みに制作№4の「あけてくれ!」(監督:円谷一、脚本:小山内美江子)は、シリーズの放送終了後の'67年12月14日に放送された)。

ウルトラq 宇宙からの贈りもの03.jpg 登場するナメクジに似た姿の怪獣ナメゴン(劇中では単に「火星怪獣」と呼称している)は、島で万城目(佐原健二)を追い詰めるも誤って海に転落、海水によって全身が溶けてしまったことで塩分に弱いと判明するという流れ。そのため、終盤、一平(西條康彦)によって由利子(桜井浩子)のペンダントに姿を変えていたもう1個の卵が孵化してナメゴンが再び現れ、一ノ谷博士(江川宇礼雄)の邸宅の庭を徘徊するも、近くの海に落っこちるだろうみたいな楽観的予測をするナレーションで終わっていて、本当に大丈夫なのかなと。

ウルトラq 宇宙からの贈りもの3.jpg このようにストーリーは間尺の関係か尻切れトンボですが、ナメゴンがよく出来ていたので○です。移動ギミックは映画「モスラ対ゴジラ」('64年/東宝)、「三大怪獣地球最大の決戦」('64年/東宝)の幼虫モスラのもの(ミニチュア自走用の車両を内蔵して自走)を流用し、湿気を出すために撮影のたびに霧吹きで水を表皮に吹き付けていたそうです(因みに、卵が膨らむシーンは風船で表現された)。

 最初期に制作されたこの第3話はTBSでの検討用素材としても用いられ、ナメゴンが好評であったため「ウルトラQ」シーリーズの作品全体が怪獣路線になったとされているそうで、「ウルトラQ」の企画時のタイトルが「アンバランス」だったことからも窺えるように、後の「怪奇大作戦」('68年~'69年)みたいな怪奇路線でいくこちとも当初は選択肢としてあったようです。その意味では、「ウルトラシーリーズ」全体を怪獣路線に導いたエポックメイキング的と言うか決定的な作品と言えなくもないかと思います(小山内美江子脚本の「あけてくれ!」がシリーズ放送期間内に放映されなかった一因にもなっている)。

ナメゴン 少年マガジン.jpg 因みに、'66(昭和41)年1月の「ウルトラQ」放送開始直前に刊行された「少年マガジン」の'65(昭和40)年第53号(12月26日号)で「『ウルトラQ』の怪獣たち特集」というのをやっていて、そこにナメゴンも出てきて、走行中のパトカーを襲って大暴れする絵が描かれていましたが、そうしたシーンは本編にはありませんでした。結構いい加減(笑)。

 ウルトラq 宇宙からの贈りもの2.jpgウルトラQ(第3話)/宇宙からの贈りもの tazaki.jpg「ウルトラQ(第3話)/宇宙からの贈りもの」●制作年:1964年●監督:円谷一●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:金城哲夫●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/西條康彦/桜井浩子/江川宇礼雄/田島義文/加藤春哉/佐藤功一/岡部正/池田生二/田崎潤/(ノンクレジット)金城哲夫/(ナレーター)石坂浩二●放送:1966/01●放送局:TBS(評価:★★★☆)
田崎潤(宇宙開発局・坂本長官)


●「ウルトラQ」(全27話)制作順ラインアップ
放送回/制作順/脚本No./放送日(1966年)/サブタイトル/登場怪獣・宇宙人/脚本/特技監督/監督/視聴率
4/1/1/1966年1月23日/マンモスフラワー/巨大植物ジュラン/金城哲夫・梶田興治/川上景司/梶田興治 35.8%
22/2/2/5月29日/変身/変身人間 巨人・巨蝶モルフォ蝶/北沢杏子(原案:金城哲夫)/川上景司/梶田興治 26.9%
25/3/3/6月19日/悪魔ッ子/悪魔ッ子リリー/北沢杏子(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 31.5%
3/5/5/1月16日/宇宙からの贈りもの/火星怪獣ナメゴン/金城哲夫/川上景司/円谷一 34.2%
12/6/7/3月20日/鳥を見た/古代怪鳥ラルゲユウス/山田正弘/川上景司/中川晴之助 32.6%
2/7/11/1月9日/五郎とゴロー/巨大猿ゴロー/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 33.4%
17/8/9/4月24日/1/8計画/1/8人間/金城哲夫/有川貞昌/円谷一 31.7%
27/9/4/7月3日/206便消滅す/四次元怪獣トドラ/山浦弘靖・金城哲夫(原案:熊谷健)/川上景司/梶田興治 35.2%
8/10/10/2月20日/甘い蜜の恐怖/モグラ怪獣モングラー/金城哲夫/川上景司/梶田興治 38.5%
6/11/8/2月6日/育てよ!カメ/大ガメ ガメロン・万蛇怪獣怪竜、乙姫/山田正弘/小泉一/中川晴之助 31.2%
1/12/12/1966年1月2日/ゴメスを倒せ!/古代怪獣ゴメス・原始怪鳥リトラ/千束北男/小泉一/円谷一 32.2%
9/13/13/2月27日/クモ男爵/大グモ タランチュラ/金城哲夫/小泉一/円谷一 32.4%
5/14/15/1月30日/ペギラが来た!/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 34.8%
14/15/16/4月3日/東京氷河期/冷凍怪獣ペギラ/山田正弘/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
11/16/17/3月13日/バルンガ/風船怪獣バルンガ/虎見邦男/川上景司/野長瀬三摩地 36.8%
13/17/27/3月27日/ガラダマ/隕石怪獣ガラモン/金城哲夫/的場徹/円谷一 35.7%
26/18/19/6月26日/燃えろ栄光/深海生物ピーター/千束北男/的場徹/満田かずほ 30.8%
21/19/18/5月22日/宇宙指令M774/キール星人・ルパーツ星人・宇宙エイ ボスタング/上原正三/的場徹/満田かずほ 30.9%
15/20/21/4月10日/カネゴンの繭/コイン怪獣カネゴン・カネゴン(両親)/山田正弘/的場徹/中川晴之助 28.5%
18/21/24/5月1日/虹の卵/地底怪獣パゴス/山田正弘/有川貞昌/飯島敏宏 28.9%
19/22/23/5月8日/2020年の挑戦/誘拐怪人ケムール人/金城哲夫・千束北男/有川貞昌/飯島敏宏 28.6%
23/23/14/6月5日/南海の怒り/大ダコ スダール/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 30.1%
20/24/26/5月15日/海底原人ラゴン/海底原人ラゴン・海底原人ラゴン(子)/山浦弘靖・大伴昌司・野長瀬三摩地/的場徹/野長瀬三摩地 34.0%
24/25/22/6月12日/ゴーガの像/貝獣ゴーガ/上原正三/的場徹/野長瀬三摩地 27.0%
16/26/28/4月17日/ガラモンの逆襲/隕石怪獣ガラモン・宇宙怪人セミ人間/金城哲夫/的場徹/野長瀬三摩地 31.2%
7/27/20/2月13日/SOS富士山/岩石怪獣ゴルゴス/金城哲夫・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.5%
10/28/25/3月6日/地底超特急西へ/人工生命Ⅿ1号/山浦弘靖・千束北男/的場徹/飯島敏宏 32.6%

(制作№4.)
28/4/6/1967年12月14日/あけてくれ!/異次元列車/小山内美江子/川上景司/円谷一 19.9%

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This page contains a single entry by wada published on 2022年6月 9日 13:46.

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