【3154】 ○ 鈴木 俊継 「ウルトラセブン(第26話)/超兵器R1号 (1968/03 TBS) ★★★☆(△ 野長瀬 三摩地 「ウルトラQ (第5話)/ペギラが来た! (1965年制作(制作No.14)1966/01 TBS) ★★★)

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米ソ冷戦を色濃く反映させたエピソード。「ウルトラQ/ペギラが来た!」にも出ていた田村奈巳。
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「ウルトラセブン(第26話)/超兵器R1号」再生怪獣ギエロン星獣 森次浩司/佐原健二/田村奈巳

26話「超兵器R1号」10.jpg 地球防衛軍はタケナカ参謀(佐原健二)のもと瀬川博士(向井淳一郎)と前野律子博士(田村奈巳)で新型水爆8000個分の威力を持つ惑星攻撃用超兵器R1号を完成させる。ダン(森次浩司)は兵器の開発には反対で、実験の中止を希望している。兵器をテストするために、前野博士は生物がいないと見られるギエロン星を選ぶ。実験は成功し、ギエロン星は爆破されてしまう。悲しい面持ちで見ていたダンは宇宙パトロールへ出発する。その頃、基地に宇宙観測艇から、ギエロン星から攻撃を受けたと連絡が入る。ギエロン星の怪物が地球に向かっていて、ホーク1号に乗ったダンとフルハシ(石井伊吉)が現場へ。基地では博士達が話し合っていて、ギエロン星には生物がいて、R1号の攻撃で変異したらしいと言っている。ホーク3号が地球に降り立ったギエロン星人にミサイルを発射し、爆死したかのように見えたのだが―。

 「ウルトラセブン」の第26話で、'68年3月31日放映。監督は鈴木俊継、脚本は若槻文三。

 地球人が打ち上げた超兵器を宇宙で実験し、それは何事もなく成功したように思えたプロジェクトには大きな欠陥があり、その星には生物が生息しており、結果的に復讐の使者「ギエロン星獣」が地球に飛来することになったということです。

 これは当時の米ソ冷戦を色濃く反映しているのは間違いなく、超兵器R1号は核爆弾の象徴でしょう。金星に似た生物の住めないような星でR1号の事件をしたら、そこには星人がいたという(ギエロン星人がギエロン星獣になったということか)、ちょうど核実験をやったらそこに漁船がいたという、1946年のアメリカによる戦後の最初の核実験(初回は原子爆弾実験)と「第五福竜丸」の悲劇をも想起させるものとなっています。

26話「超兵器R1号」6.jpg ウルトラホーク3号に搭載した新型ミサイルによる攻撃でギエロン星獣の体はバラバラになり、全ては終わったかと思いきや、夜になるとバラバラになっていた体が集結してギエロン星獣は復活(だから「再生怪獣」)、放射能をまき散らしながらより強靭になっていて、ウルトラホーク1号、3号からのミサイル攻撃も効果は無く、星獣はウルトラセブンセブンのアイスラッガーさえも跳ね返してしまいます(それでも、セブンは星獣の片翼をもぎとり、手に持ったアイスラッガーで喉元を斬ってなんとか星獣を倒す。結構、原始的)。

 ギエロン星獣の最期も含め、作品全体にどんよりとした空気が流れる作品ですが、実験を積極的に進めていた前野律子博士らが最後自らの考えを改めることが救いでしょうか。核軍縮へのメッセージと言えますが、子供向け番組でそうした平和に向けたメッセージをかなり強く打ち出している点が特徴的であり、それはシリーズ全体についても言えることかもしれません。

26話「超兵器R1号」田村.jpg5話)/ペギラが来た!図3.jpg 前野律子博士を演じた田村奈巳(1942年生まれ)は、「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」('66年)で南極基地越冬隊員・久原羊子役、「ウルトラマン(第35話)怪獣墓場」('67年)で月ロケットセンター所員役でも出ており、近年は露出が減りましたが、岡本喜八監督の「助太刀屋助六」('01年/東宝)に1カット出ていました。

「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」田村奈巳(南極基地越冬隊員・久原羊子)
「ぺギラが来た」田村奈巳.jpg 「ウルトラQ(第5話)ペギラが来た!」('66年1月30日放送)は―
 南極観測隊を乗せた観測船が、夏季というのに吹雪におそわれ、外気氷点下100度の寒冷に見舞われて立往生する。先に派遣されて行方不明になった野村隊員のメモによると、同じ様な寒波におそわれた直後何かを見つけて外へ出たらしく「またきたペギラ」と文章を結んでいた。ペギラとは何か? 万城目淳(佐原健二)は野村のメモをたよりに、ペギラを調査するために、みんなが寝静まった時に出かけようとした。だが、女性隊員、久原羊子(田村奈巳)がその時同じように忍んで来た。彼女は野村隊員の許婚者で、彼の消息を調べたくて観測隊に同行したのだ。次の瞬間、突然、強風と「ぺギラが来た」3.jpgともに雪上車が空中に舞い上がり、無気味なうなり声が辺りにひびきわたった。そこへ、表へ出でいた伊東隊員(伊吹徹)が、氷づけになったように転がり込んで来て、「怪物を見た」「クレパスで野村隊員をみつけた」と虚ろに叫んだ。淳はすぐにそのクレパスに向かうと、そこへペンギン状の化物が白い息をはきながら現われた―。

「ぺギラが来た」ct.jpg 個人的感想は、まず単なる一パイロットに過ぎない万城目がなぜ行方不明の南極観測隊員の捜索をしなくてはいけないのか、その辺りが引っ掛かったのと、その後のストーリー展開ものったりしていて、南極のセットだけで費用をかけすたのか、未知の生物に襲撃されて南極基地がパニックになるということにもならず、イマイチでした(カラー版で今観ると、田村奈巳の美貌が数少ない見どころの1つか)。ただし、このペギラは、同じウルトラQの第14話「東京氷河期」で再登場し、こちらの方はまずまずでした。

「超兵器r1号」.jpg0超兵器R1号.jpg「ウルトラセブン(第26話)/超兵器R1号」●制作年:1968年●監督:鈴木俊継●脚本:金城哲夫●音楽:冬木透●特殊技術:的場徹●時間:30分●出演:森次浩司(森次晃嗣)/菱見百合子(ひし美ゆり子)/中山昭二/石井伊吉(毒蝮三太夫)/阿知波信介/古谷敏/佐原健二/田村奈巳/向井淳一郎●放送局:TBS●放送日:1968/03/31(評価:★★★☆)

  
「ウルトラQ(第5話)/ペギラが来た!」●制作年:1965年●監督:野長瀬三摩地●監修:円谷英二●制作:円谷英二●脚本:山田正「ぺギラが来た」mt.jpg「ぺギラが来た」ものくろ.jpg弘●撮影:内海正治●音楽:宮内国郎●特技監督:川上景司●出演:佐原健二/田村奈己(田村奈巳)/松本克平/森山周一郎/伊吹徹/黒木順/石島房太郎/岡豊/今井和雄/石坂浩二(ナレーター)●放送日:1966/01/30●放送局:TBS(評価:★★★)
「ペギラが来た」21.jpg  

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