【3125】 ○ 横山 光輝 『鉄人28号 原作完全版 (全24巻)』 (2005/11 潮出版社・希望コミックス) ★★★★

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最初の頃は2メール半と小さくて、ボディの光沢も影も無かった鉄人28号。

『鉄人28号』1.jpg『鉄人28号』1-3.jpg 『鉄人28号』24.jpg
鉄人28号 原作完全版 1 希望コミックス』 『鉄人28号 24 (希望コミックススペシャル)

『鉄人28号』少年.jpg『鉄人28号』終わり.jpg 横山光輝(1934-2004/69歳没)の漫画『鉄人28号』は、月刊誌「少年」の1956(昭和31)年7月号別冊付録として連載が開始され、1966(昭和41)年5月号別冊付録まで続きました。1966年「少年」での人気第1位を続けている中、作者はストーリー展開の限界を感じて漫画の連載を終了していますが、その後繰り返しリメイクが行われ、派生作品が制作されたりしています。

アニメ 鉄人28号2.jpg テレビアニメ版の方は漫画連載が始まって8年目、1963(昭和38)年10月20日から 1966(昭和41)年5月25日までフジテレビ系列で放送され、全84話でした。ただし、一旦終了した後、3か月後に新作13話が放送され、それ等を加えると全97話となります。ただし、こちらも、漫画の連載終了と同じ頃に放送終了していることになります。

『鉄人28号』1-24.jpg 漫画版は、2005年11月より「巨匠・横山光輝『鉄人28号』執筆50周年記念」プロジェクトとして潮出版社と光プロダクションの共同企画の元、コミックス未収録の読み切り8本を加えたこの「原作完全版」の毎月の刊行が始まり、2007年9月に全24巻で完結しています(横山光輝の元アシスタントとコンピュータによる最新技術で痛んでいた原画を復元したとのこと)。

鉄人28号 カッパ・コミックス1.jpg鉄人28号 1 (サンデー・コミックス).jpg 今読み直してみて興味深いのは「鉄人の開発計画」がどのようなものであったかで、連載版とカッパコミックス版の2種類が存在しますが、「原作完全版」はカッパコミックス版ではなく連載版を収めています。太平洋戦争時、日本軍が敷島博士を中心とした開発陣により乗鞍岳の地下の研究所で進めた軍用ロボット開発計画が発端で、1号から26号まで失敗して27号でやっと成功するもこれも実用に至らず、さらに28号の起動実験が行われるが失敗、戦争末期、ロボット研究を諦めた敷島博士らは孤島の秘密兵器工場へ特攻機の研究のため移されるが、研究所を米軍に空爆され、鉄人の真実を知る者はいなくなり、戦争は終わる―。
『鉄人28号(カッパ・コミックス)(1)』['64年]『鉄人28号 1 (サンデー・コミックス) 』['89年]

鉄人27号
『鉄人28号』誕生.jpg『鉄人28号』27.jpg ある日(現在)、敷島邸にギャング団が強盗に押し入ったところへ、鉄人26号を駆使する怪人が現れ、さらに各地でロボットによる強盗事件が相次ぎ、続いて鉄人27号(このときは鉄人28号と思われていた)も登場し、市街地で大暴れします。一方、敷島博士は実は生きていて、乗鞍岳の研究所内で鉄人28号の開発にあたっており、そこへ鉄人27号とギャング団とそれを追う警察が乱入、正太郎(職業は探偵)たちに敷島博士は開発中のロボットを指し、「本物の鉄人28号はあれなんだ」と言う。ただし、本物の鉄人28号も制御不能で、27号と闘ってやっつけた後に暴走する―。

 ということでやっと本物の28号の登場ですが、その後、正太郎がリモコンを手にするのはまたずっと先で、手にした後も、敵にリモコンを奪われたり、それを取り返したりで、このあたりは「ある時は 正義の味方 ある時は 悪魔の手先」という主題歌の通りであることはよく知られているところです。

『鉄人28号』1-2.jpg 気になるのは鉄人の大きさで、光文社文庫「鉄人28号」第11巻に収録されている作者本人の「"昔の漫画"と"今の漫画"」というエッセイでは、「身長が2メートル50センチ」と書かれてい「鉄人28号」アニメ.jpgて、そう大きくなかったようです。実際、漫画版の最初の頃はそれくらいの大きさで、それが大きな相手と戦ううちに次第に大きくなっていったようで、1963年のモノクロアニメ版では10メートルくらいにまでなったようです。さらにその後もリメイクなどに際して巨大化がなされ、2004年のリメイク版アニメでは、担当プロデューサーと監督が横山光輝氏の元を訪問し、その時18メートルに決定したそうです。

『鉄人28号』24-1.jpg 漫画の方は、本編連載終了の10年後の1976年に「月刊少年ジャンプ」に掲載された最後の読み切り作品では、正太郎と敷島博士が鉄人の手に乗って運ばれるシーンがあり、これは「原作完全版」の第24巻に収録されているほか、第24巻の表紙絵にもなっていて、これを見るとゆうに20メートル以上はありそうです(因みに、「原作完全版」の表紙絵は、第1巻からほぼこの大きさで統一されている)。この1976年版に限らず、本編でも最終話の「怪物ギャロン」(1966)の頃には初登場時より鉄人はかなり大きくなっているようにも見えます(本稿上右の「連載終了の挨拶」ではやや元のサイズに近い大きさに戻している感じもするが)。

   第24巻収録「新作鉄人28号 コンピューター殺人事件の巻」(1976)

第1巻収録「鉄人28号」(1956)/第3巻収録「一大決戦」(1957)
『鉄人28号』1-1.jpg『鉄人28号』32.jpg また、鉄人の描かれ方として、当初はボディの光沢と影を描かず、見方によってはゴム製にでも見えるようなタッチが続いていましたが、次第にメッシュ状の影などが描かれるようになり、遂にはボディの光沢と影は必須表現となり、重量感が強調されるようなタッチに変貌を遂げています(これも「原作完全版」の表紙絵は、第1巻から光沢と影のあるボディとなっている)。

 第1巻には前述のとおり鉄人28号が鉄人27号とを取っ組み合いするシーンなどがあるし、初期の鉄人は後の鉄人と顔つきや体つきが違って見えたりすることもあったりして、なかなか興味深いです。また、これは第1巻に限ったことではないですが、同じストーリの中でも鉄人の描かれるサイズがどう見ても変わっているというマニアックな発見もあります。

『鉄人28号』オリジナル版.jpg
復刊ドットコムは2016年から2017年にかけて、「鉄人28号」連載60周年を記念し、雑誌掲載時の体裁を忠実に再現した「鉄人28号《少年 オリジナル版》 復刻大全集」全7ユニットを刊行していた。そして今年['22年]4月から、新たに「鉄人28号《オリジナル版》」が刊行されることになった。これは、その「鉄人28号《少年 オリジナル版》復刻大全集」をベースにしたもので、同じ収録作品を新たな仕様で楽しめるようになっているとのこと。


 

アニメ 鉄人28号 1.jpg「鉄人28号」アニメt.jpg「鉄人28号」●演出:庵原和夫/渡辺米彦/山本功/若林忠雄/上金史朗/瀬古常時/河内功/松木功●脚本:岡本欣三/大野満男●音楽:越部信義(主題歌:西六郷少年合唱団(一部資料ではデューク・エイセス))●原作:横山光輝●出演(声):高橋和枝/矢田稔/富田耕生/久野四郎/加茂喜久/田畑明彦/安藤敏夫/高津杏子/梅屋かおる/浦野光/安田隆/白石冬美/はせさんじ/森山周一郎/永山一夫/藤本譲/兼本新吾/富山敬/坂本新兵●放映:1963/10~1965/05(全84回)●放送局:フジテレビ  

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