【2979】 ○ ロバート・ゼメキス (原作:チャールズ・ディケンズ)「Disney's クリスマス・キャロル」 (09年/米) (2009/11 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ・ジャパン) ★★★☆

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実写と見紛うCG。「大人の寓話」的要素の強い原作であることを再認識した。

Disney's クリスマス・キャロル  2009.jpg Disney's クリスマス・キャロル01.jpg  クリスマス・カロル 新潮文庫.bmp クリスマス・キャロル (角川文庫).jpg
Disney's クリスマス・キャロル [DVD]」『クリスマス・カロル (新潮文庫)』(村岡花子:訳)『クリスマス・キャロル (角川文庫)』['20年/越前敏弥:訳]
Disney's クリスマス・キャロル1.jpgDisney's クリスマス・キャロル 56.jpg スクルージ&マーレイ商会を営んでいた初老の男スクルージは冷酷で無慈悲な人間で、彼を知る者の多くはエゴイストのスクルージを忌み嫌い、仕事仲間であったマーレイの葬儀の際にも布施を出し渋るばかりか、亡骸の瞼に置かれた冥銭を持ち去るほど金に取り憑かれた男であった。葬儀から7年後のクリスマスイブの夜、亡霊となったマーレイが彼を訪ねてきた。生前、会計事務所に籠って人生を無駄にした自分の愚かさを嘆き、犯した罪の分だけ重Disney's クリスマス・キャロル45.jpgく長くなった鎖に囚われた自らの姿を指して、このままでは「お前も同じ運命を辿る」と忠告をしにきたのだ。そして「お前のもとに3人の精霊が現れる」と言い残して去っていく。程なくして最初の精霊がスクルージの前に姿を現した。彼はスクルージの過去のクリスマスの精霊だと自らを名乗った―。

"A Christmas Carol (Bantam Classic)"
A Christmas Carol (Bantam Classic).jpg 2009年のアメリカ映画で、原作は勿論あの有名なチャールズ・ディケンズが1843年に発表した小説『クリスマス・キャロル』。何しろ、英国では一時家族でクリスマスを祝う風習が廃れていたのが、この小説のお陰で一気に復活し、今に続いている言われているほどの作品です。

Disney's クリスマス・キャロル2.jpg 監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」('85年)、「ロジャー・ラビット」('88年)、「フォレスト・ガンプ/一期一会」('94年)のロバート・ゼメキスであり、「ポーラー・エクスプレス」('04年)、「ベオウルフ/呪われし勇者」('07年)で駆使した3D:CGアニメーション技術を更に発展させたCG技術が使われています。具体的には、通常のモーション・キャプチャーなら数台から10数台程度A CHRISTMAS CAROL 2009 performance capture2.jpgA CHRISTMAS CAROL 2009 performance capture.jpgのカメラで身体の主要な部分に取り付けた数十のガラス球(マーカー)を観測するところを,この映画では200台ものカメラを用意し、マーカーは,ボディ部に約60個に対し、顔面と頭皮には153個も着けてデータを計測しています。表情から指先までしっかりと観測し、俳優の微妙な演技をCGキャラに伝えることができるので、これを「パフォーマンス・キャプチャー」と呼ぶそうです。奥行きの表現が豊かになり、実写と見紛うほどで、かつての、登場人物が皆のっぺりしていて、プラスチック粘土か何かに見えるCG映画からは、格段の進歩を遂げたと言えるでしょう。

ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース.jpg ジム・キャリー、ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、ケイリー・エルウィズといった芸達者が声を担当し、しかもジム・キャリーはスクルージの子供時代から今の大人までの4役に加え3人の亡霊役の全7役、ゲイリー・オールドマンはマーレイとティムの2役、ボブ・ホスキンスも2役、ケイリー・エルウィズは脇役4役とそれぞれ複数役をこなしています。ジム・キャリーが声を担当したスクルージもそうですが、ゲイリー・オールドマンのクラチット(スクルージの事務所で働く事務員)やコリン・ファースのフレッド(スクルージの甥)のアニメは本人とよく似ています。モーション・キャプチャーと原理は同じだから、声だけでなく実際に演技したということでしょうが、「顔芸」も反映されているようです(ジム・キャリーの場合は、スクルージはスクルージ、亡霊は亡霊で別々に撮ったのだろなあ。でも、何れも動きがジム・キャリーっぽい)。

ゲイリー・オールドマン/コリン・ファース(2009)
  
Disney's クリスマス・キャロル7.jpg テクニカルな面はともかく、セリフが原作をかなり忠実に追っているのがいいです。アクションや表情はCGで大袈裟になっていますが、原作を捻じ曲げなかったのは良かったと思います(ディズニー映画は往々にして原作の"毒"の部分を消してしまうことがある)。ただ、結果的に、精巧なCGによる見た目のリアルさと相俟って、大人は楽しめるけれども、極々小さい子どもには怖く感じられる部分もあったように思います。

Disney's クリスマス・キャロル 3.jpg この話は一面で、主人公の金持ちのスクルージが、(ユダヤ人には金持ちが多い)、禁欲的(スクルージやマーレイは贅沢はしていない)で貯金を良しとするユダヤ人の価値観を捨てて、キリスト教徒的価値観を受け入れる話とも読めます。一方で、イエスの誕生や復活を祝うという色合いはさほど強くなく、ディケンズはクリスマスをプディングと七面鳥の日にしてしまったという批判があるくらいです。

IMG_20201223_160122.jpg そもそもこの映画(原作)のテーマは何か。個人的には、過去を振り返って今の自分を見つめ直した時、今の自分はかつてなりたかった自分と一致しているだろうかを振り返ってみよ!ということではないかと思っています。

A CHRISTMAS CAROL 2009es.jpg 長い鎖を引き摺って死後7年間彷徨っているスクルージのかつての同僚マーレイの幽霊は、ある意味、資本主義社会における人間疎外の象徴であり、その幽霊が去っていくとき、スクルージが窓の外から眺めた夜空には、同じように鎖を引き摺る多くの幽霊で満たされていたというのは、アニメで見ると却って怖いかもしれません。寓話的ですが、「大人の寓話」的要素の強い原作であることを、アニメを観て改めて認識させられました。

A CHRISTMAS CAROL 2009  t.jpgDisney's クリスマス・キャロル4.jpg「Disney's クリスマス・キャロル」●原題:A CHRISTMAS CAROL●制作年:2009年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ロバート・ゼメキス●製作:ロバート・ゼメキス/スティーヴ・スターキー/ジャック・ラプケ●撮影:ロバート・プレスリー●音楽:アラン・シルヴェストリ●原作:チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」●時間:97分●出演:ジム・キャリー/ゲイリー・オールドマン/コリン・ファース/ボブ・ホスキンス/ロビン・ライト・ペン/ケイリー・エルウィズ/ダリル・サバラ/フェイ・マスターソン/レスリー・マンヴィル/モリー・C・クイン●日本公開:2009/11●配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ・ジャパン(評価:★★★☆)

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和田泰明

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