【2973】 △ ピエール・ルメートル (橘 明美:訳) 『傷だらけのカミーユ (2016/10 文春文庫) ★★★

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本当に「傷だらけ」になったなあ、カミーユ警部。シリーズを終わらせるところまでいくとは...。

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Sacrifices (A.M.THRIL.POLAR) (French Edition)『傷だらけのカミーユ (文春文庫)』 Pierre Lemaitre(2014)

 妻を失って5年、ようやく立ち直りかけたカミーユ。ところが恋人のアンヌがたまたま事件に巻き込まれ、二人組の強盗に殴られ瀕死の重傷を負う。アンヌの携帯の連絡先のトップにカミーユの電話番号があったため、警察からカミーユに電話があり、カミーユは病院に駆けつけ、アンヌとの関係を誰にも明かすことなく、事件を担当することにする。しかしながら、強引なうえに秘密裏の捜査活動は上司たちから批判され、事件の担当を外されるどころか、刑事として失格の烙印さえ押されそうになる―。

 2012年10月原著刊行のピエール・ルメートルの、『悲しみのイレーヌ』『その女アレックス』に続くカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第三作であり(原題:Sacrifices)、シリーズ完結編となるとのことです。英国推理作家協会賞のインターナショナル・ダガー賞を2013年に受賞した『その女アレックス』に続いて、この作品でも2015年のインターナショナル・ダガー賞を受賞しています。また日本では、2016年「週刊文春ミステリーベスト10」の第1位となり、『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』に続く3年連続の第1位でした(別冊宝島の「このミステリーがすごい!」(2016年)では第2位、早川書房の「ミステリーが読みたい!」(2017年)では第5位)。

 時系列でいうと、『その女アレックス』のすぐあとの事件ですが、本書で繰り返し言及されるのは、悲劇的な死をとげたイレーヌのことです(日本では、翻訳の順序が『その女アレックス』→『悲しみのイレーヌ』と逆になった)。ようやく立ち直りかけたカミーユに襲いかかる新たな悲劇! これ、ほとんどの読者は完全に騙されると思いますが、プロットのこと以上に、作者というのはここまで主人公を苛めるものなのかなあと考えてしまいました。

 事件は解決しても、カミーユは本当に「傷だらけ」になったなあ。警察も辞めることになり、シリーズもこれで終わらせるということだそうで、そこまで普通やるかね。アガサ・クリスティはエルキュール・ポワロのことを好きではなかったと言われていますが、この作者もこの物語の主人公である身長145㎝のカミーユ・ヴェルーヴェン警部のことをあまり好きではないのかも、と思ってしまいました。

 ただ、後に作者はシリーズの復活も示唆しており、今のところ個人的にはこのシリーズとは相性がイマイチですが(すべてにおいてカミーユ警部が強引すぎる)、新作が出れば読んでみるかもしれません。

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