【2933】 ○ 東野 圭吾 『沈黙のパレード (2018/10 文藝春秋) ★★★☆

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理科系推理小説? 中盤の意外な展開と後半の連続どんでん返しは楽しめた。

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沈黙のパレード

ctangle.jpg 2018 (平成30)年度「週刊文春ミステリーベスト10」(国内部門)第1位。

 突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは? 超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める―。

 ガリレオシリーズ第9作は、同シリーズでは『真夏の方程式』('11年/文藝春秋)以来となる久しぶりの長編(長編としては第4作)。作者の「週刊文春ミステリーベスト10」(国内部門)第1位は、'85年の『放課後』、'99年の『白夜行』、'05年の『容疑者xの献身』、'09年の『新参者』に続いて5度目の載冠で、「週刊文春」によれば作者は受賞の知らせに「会心の一作である『沈黙のパレード』が、皆さんに届いたことが嬉しいですね」と語っています。

 また、作者は、「長編であれば、湯川が事件に関わる"理由"が必要で、今回も"それなりのもの"を用意しました」と。この"それなりのもの"とは、湯川と犯人の関係を指しますが、複雑に入り混じる人間関係の中にそうしたものも組み込んで、加えて、登場人物の思いや切なさもきっちり描いてみせているのは、さすがの力量だと思いました。

 一方で、『容疑者xの献身』同様、読み手は誰が犯人か薄々分かった上でストーリーを追うことになりますが、湯川は『容疑者xの献身』の時の失敗を語っていながら、結局は同じく中途半端な結果になったかも。(偶然にも助けられているし)。「"私刑"はダメ」という作者の考えは他の作品でも見られ、それと読者のカタルシスをどう折り合いつけるかは難しいところかもしれません。

 でも、それ以上に気になったのが、今回のトリックで、こんな理科実験的な仕掛けで犯行を完成させることが出来るのかなあと。作者が何よりも、小説の中でこの手法を描きたかったのではないかと思ってしまいます。でも、実際に犯行を実行する立場からすると、結構大掛かりで、そのくせ成否は蓋然性によって左右されるような気もして、リアリティにやや疑問を持ちました。

 ただ、中盤の意外な展開と後半の連続どんでん返しは楽しめたので、一応「〇」だったでしようか。



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和田泰明

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This page contains a single entry by wada published on 2020年8月15日 01:11.

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