【2912】 ○ 飯島 敏宏 「怪奇大作戦(第26話)ゆきおんな (1969/03 TBS) ★★★☆

「●TVドラマ①50年代・60年代制作ドラマ」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2913】 藤田 敏八 「恐怖劇場アンバランス(第2話)/死を予告する女
「○日本映画 【制作年順】」の インデックッスへ

雪女の正体とは? 相変わらずのユル~イ終わり方だが、これが最終回。

26話)ゆきおんな1.jpg k26_14.jpg 26話)ゆきおんな0.jpg
第26話「ゆきおんな」
26話)ゆきおんな21.jpg さおり(小橋玲子)の友人・秋子(松木路子)のもとに、那須のホテルへの差出人不明の招待状が届く。彼女はその招待に応じてホテルに26話)ゆきおんな31.jpg行き、SRIのメンバーがホテルのスタッフに変装するなどしてのガードのもと、さおりと共にホテルに泊まることに。彼女たちの部屋には謎めいた雪女の絵が飾られていた。26話)ゆきおんな41.png秋子は、今回の招待は死んだはずの自分の父からのものではないかと考える。 そして彼女の周りに謎の男達がうろつき始める。やがて銃を持った男が捕らえられ、警察の取り調べで、15年前のダイヤ盗難事件の犯人の一味であ<ることが分かる。彼女の父はそのグループの首謀者だったのだ。部屋の雪女の絵から地図を入手した彼女は、地図に書かれた場所に行ってダイヤを手に入れるが、一味が彼女を追って来る。雪降る中、ダイヤをばらまき助けを求めながら荒野を逃げる彼女。 突如、地平の彼方に巨大な雪女の顔が現れる―。

飯島敏宏.jpg 第26話で、制作№も26で、26話中5本メガホンを取った飯島敏宏(1932年生まれ)監督作。那須高原のホテルにメンバー揃ってのロケで、番組も高視聴率で予算も潤沢なのだろうなあと思ったら、ホテルとのタイアップだったため、変な(?)ショーのシーンとかホテルの全景を入れるたk26_08.jpgk26_01那須ロイヤルホテル.jpgk26_28ダンサー(那須ロイヤルダンスチーム).jpgめに大雪の中、夏タイヤの赤いスポーツカーで無理矢理坂道を登るシーンを撮った、とか予算にも恵まれず大変だったそうです。そして、結局これがシリーズ最終作になりました。タイトルはモロに「怪奇」ですが、内容は娘と父母の愛情物語の色合いが濃かったです。

 しかし、母親が雪女に雪女になって現れるというのもスゴイね。ラスト、ヒロインの秋子が「雪女が私を守ってくれたんだ、私のおかあさんよ」と感激に打ち震え、的矢所長(原保美)も、「秋子さんを守ってくれたのは雪女だ。君とそっくりなおかあさんだったんだ」と。

26話)ゆきおんな61.jpg なぜ、彼女のことを母親を知らない的矢が「君とそっくりなおかあさん」と言うのかと思ったら、すぐ後で三沢(勝呂誉)が、牧(岸田森)や野村(松山省二)と野原に散らばったダイヤを探しながら、「ある時の気象条件によって自分自身の影が雪のスクリーンに映し出されることがある」と説明しています(雪女役も松木路子だったということ26話)ゆきおんな5.jpgか)。「雪女の現象っていうのはだいたいそんなようなもんだ」とまで言われてしまうとエエーッと言いたくなりますが、「しかし、現在は広い原っぱにばら撒かれたダイヤモンドを探すことの方がはるk26_59.jpgかに難しい」って、どういう文脈になっているのか(笑)。視聴者に深く突っ込まれないようにするため? ダイヤが見つかる可能性に比べれば、雪女現象の方が簡単に起こり得ると言いたい?

 広い荒野で3人でダイヤを探し出すのは「難しい」と言うより「絶対無理」だし、そう思ってるのか思ってないのか、全然本気で探している風でもなく極めていい加減な感じで、このユル~イ終わり方も「怪奇大作戦」の1つの特徴と言えば特徴ですが、全然最終回らしくはなく、「また来週」といった感じでした。

 ここまでの視聴率は平均22.2%と当時としても悪くない数字だと思いますが、わずか2クールで終わってしまったのは、スポンサーの武田薬品の要求水準が高かったのと、世間全体に「妖怪」ブームが「スポ根」ブームにとって代わられる兆しが見られたことが原因らしいです。ただ、この「打ち切り」にも近い番組終了によって円谷プロは受注が途絶え、リストラを断行せざるを得なくなり、ウルトラマンの生みの親の一人、金城哲夫なども円谷プロを去ることになります。

松木路子.jpg井上秋子、雪女(2役)(松木路子).jpg 因みに、このエピソードでヒロインの秋子(雪女と二役)を演じた松木路子(1946年生まれ)は、デビュー当時は聖みち子の芸名で活動していましたが、1968年に当時の本名である松木路子に改名、26歳の時にテレビドラマ監督の永野靖忠と結婚し、1974年引退後2児をもうけますが、この間、70年に主演したライオン奥様劇場「罪人形」が高視聴率をマーク、70年代には「昼帯(ひるおび)の女王」と呼ばれるほど昼ドラマなどで活躍しています。さらに、夫・永野の病死(肝臓がん)により今度は「経済のため」和服デザインの仕事をし、2013年アメリカ人の大学教員と国際結婚、帰国後は1998年に着物デザイナーとしてデビューし、女優業も再開して、最近では料理教室の運営やコラム執筆も手掛けるというマルチぶりを見せています。

小松方正(秋子の父・角田彦次郎)
k26_16.jpgk26_46雪女.jpg「怪奇大作戦(第26話)/ゆきおんな」●制作年:1969年(制作№26)●監督:飯島敏宏●監修:円谷英二●制作:円谷プロダクション/TBS●脚本:藤川桂介●音楽:玉木宏樹●出演:勝呂誉/岸田森/松山省二/小橋玲子/原保美/小林昭二/小松方正/松木路子/阿部希郎/稲吉靖/宮浩之/上西弘次/大木史郎/山口雅生/小松方正岡﨑夏子●放送:1969/03/09●放送局:TBS(評価:★★★☆)

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1