【2855】 ○ 今泉 忠明 (監修) 『続ざんねんないきもの事典―おもしろい!進化のふしぎ』 (2017/06 高橋書店) ★★★☆

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やはり進化の不思議を考えさせるのが大きな狙いとなってるシリーズなのかと。

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おもしろい! 進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典』['17年]『ざんねんないきもの事典』['16年]

 ベストセラーとなった『ざんねんないきもの事典』('16年)の続編。個人的に印象に残ったのは―

ダウンロード.jpgハダカデバネズミには、赤ちゃんをあたためる「ふとん係」がいる(34p)地下に住むハダカデバネズミは、1000匹もの大家族で暮らし、「巣を守る係」や「食べ物をとる係」がいて、中でも変わっているのが赤ちゃんをあたためる「ふとん係」がいること。体温を一定に保つ機能が退化しているため、こうした係がいるようです(今月['20年1月]、NHK-BSプレミアム「世界のドキュメンタリー」で"長寿ネズミ 健康の秘密を解明"としてハダカデバネズミの特集(ドイツ・2017年制作)を放送していた。ハダカデバネズミが高度の社会性を有することは知られているが、近年はマウスの10倍の30年は生きるというその長寿に注目が集まっていて、全遺伝子の解析はすでに終わっており、人間の長寿に応用できないか研究が進められているようだ)。

ハシビロコウ どうぶつ王国 .jpgハシビロコウ どうぶつ王国 グッズ.jpgハシビロコウはひたすら待ちの姿勢(50p)動かないことでまわりの風景に溶け込んで、隙を狙うという戦法で、「魚が水面に顔を出すまでひたすら待つ」というもの(個人的には、行きつけのどうぶつ王国のハシビロコウが馴染み(?)だけど、時々首を振るような動きはすることがある。園内でも人気が高いらしくグッズもある)。[写真:神戸どうぶつ王国公式フェイスブックより]

マッコウクジラ.jpgマッコウクジラの頭の中は脳ではなく油でいっぱい(68p)マッコウクジラの脳の重さは約8㎏で、動物界ナンバーワン。ただし、でかい頭の中身のほとんどは「脳油」という油のかたまりで、まわりを探るために出す超音波を強化したり、浮かんだりする時の浮きぶくろの役割を果たしたりしている(シロナガスクジラのようにオキアミをすくって食べているクジラより、マッコウクジラのようにイカなどを捕食するクジラの方が、脳が発達しているようだ)。

ジャイアントチューブワーム.jpg口もおしりのあなもないハオリムシ(76p)深海の海底に生命はなぜ生まれたのか.jpg住むハオリムシは、口もおしりのあなもなく、海底から噴き出す猛毒の「硫化水素」をえらから吸収し、それを体内の微生物に分解させて栄養に変えている(この生き物は、微生物地球学者の高井研氏の『生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る』('11年/幻冬舎新書)の中でも「チューブワーム」として紹介されていた(ハオリムシは和名))。

ヨイアイオイクラゲ.jpg世界一長いクダクラゲはちびクラゲが合体しただけ(83p)世界最長の動物はクダクラゲで、全長が40mを超えるものや、触手が50mにんるものもいるが、実は小さなクラゲが集まってできた「群体」である。大きさくらべに合体した体は反則とも思われるが、そもそもわれわれの体も細胞の集合体であるので文句は言えないと(ギネスブックでも世界最長の動物は〈マヨイアイオイクラゲ〉(クダクラゲの一種)となっていて、最長で40mほどの長さとなり、ホタルのように生物発光を行うとある)。

 正編と同じく冒頭に、進化についてのコマ割り漫画などによる解説があり、ああ、やっぱり進化の不思議を考えさせるのが大きな狙いの1つとなってるシリーズなのだなあと。だから、「ざんねん」に見える面も、実は一定の合理性に裏付けられた進化の帰結(乃至は過程)なのだなあと改めて思った次第です(ある部分においては大人向け?)。

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