【2854】 ○ 今泉 忠明 (監修) 『ざんねんないきもの事典―おもしろい!進化のふしぎ』 (2016/05 高橋書店) ★★★☆

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「ざんねん」と思われた部分も実は生存競争の帰結、進化の結果であると。

ざんねんないきもの事典_5273.JPGざんねんないきもの事典.jpgおもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』['16年]

 「ざんねんないきもの」という切り口で、さままな生物の不思議を楽しめるよう解説したもの。イラスト入りで1~2ぺージの読み切りであるため、子どもにとってはとっつきやすく、また、大人が読んでも面白いということでベストセラーになりました。個人的に印象に残ったのは―

ダチョウの脳みそは目玉より小さい(26p)ダチョウは世界最大の鳥で、その卵は1.5㎏あり、その黄身は世界最大の細胞。目玉は直径5㎝、重さ60gでニワトリの卵と同じくらいの大きさ。一方の脳は40gしかなく、実際ダチョウはかなり記憶力が悪いとのこと(調べてみたら、ダチョウよりずっと小ぶりのカラスの脳は10グラムから13グラム程で、体重に対する脳の重さの指標「脳化指数」(ヒト10.0チンパンジー4.3、サルは2.0、ニワトリ0.3)がカラスの場合2.1で、サルより高いそうだ)。

オランウータン.jpgオランウータンはけんかの強さが顔に出る(37p)フランジのあるオランウータンは強そうに見えますが、若いオスがけんかに勝つと男性ホルモンが分泌され、フランジが発達するとのだとのこと。ただし、たまたまけんかに勝ってもフランジが発達してしまい、より強い相手に目をつけられたりもすることになる場合もあると。

メガネザル.jpgメガネザルは目玉が大きすぎて動かせない(52p)メガネザルの目玉は一つで脳と同じ重さがあり、頭蓋骨からはみ出すほど大きいため、きょろきょろと動かせないと。目玉が大きくなったのは、昼行性から夜行性へ進化して、たくさん光が集められる目が必要だったためで、これはこれで進化の結果と言えます。

ユカタンビワハゴロモ.jpgユカタンビワハゴロモの頭の中はからっぽ(57p)頭に見えるのはにせもので、にせものの頭は横から見るとワニの頭に見えなくもなく、鳥などが怖がるという説があるそうです。本物の頭を守るためのおとりという意見もあるが、実際はどちらの説に立っても目立った効果はないそうです。

カカポ.jpgカカポは太りすぎて飛べなくなった(71p)ニュージーランドには100万年の間、カカポの天敵となる生物がいなかったため、飛ぶための筋肉が退化し、代わりにたくさんの脂肪がついたと(NHK「ダーウィンが来た!」で取り上げられたことがあって、その際の呼称は〈フクロウオウム〉だったか〈カカポ〉だったか)。

ドウケツエビ.jpgドウケツエビはおりの中で一生をすごす(121p)カイロウドウケツという動物の中で一生をすごすのがドウケツエビ。カイロウドウケツをマイホームにしいるわけで、敵から身を守れて食事にも困らず、成長して体が大きくなると、出られなくなる(沼津港深海水族館の石垣幸二館長の 『深海生物 捕った、育てた、判った!―"世界唯一の深海水族館"館長が初めて明かす』('14年/小学館101ビジュアル新書)でも紹介されていた。雌雄1ペアだけが残って成長して出られなくなり、そのままその中で一生を送るので、カイロウドウケツ自体が諺で言う"偕老同穴"なのではなくて、ドウケツエビが"偕老同穴"なのだなあ)。

 メガネザルの項などのように、「ざんねん」と思われた部分も実は生存競争の帰結、つまり進化の結果であったりもするので(冒頭に進化とは何かをコマ割り漫画などで解説している)、本書に対し、「ざんねん」という表現はどうなのかという批判もあるようです。でも、取り敢えず関心を持つことから入って、その上で最終的には、それらが生物たちの巧妙な生き残り戦略であることの思いを馳せて欲しいというのが監修者の狙いでしょう(読者が小さい子どもだと、ちょっと難しいか)。

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