【2846】 ○ 映画秘宝編集部 (編) 『鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979【愛蔵版】 (映画秘宝COLLECTION)』 (2013/11 洋泉社) ★★★☆

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意外とメジャー。少しごちゃごちゃした感じになったか。川本三郎インタビューが一番面白かった。

鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979.jpg鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979【愛蔵版】2.jpg 映画秘宝EX爆裂! アナーキー日本映画史1980~2011.jpg 完全版アナーキー日本映画史1959-2016.jpg
映画秘宝EX爆裂! アナーキー日本映画史1980~2011 (洋泉社MOOK)』カバー「愛のむきだし」('09年)満島ひかり『完全版アナーキー日本映画史1959-2016 (映画秘宝COLLECTION)』['16年]
鮮烈! アナーキー日本映画史1959-1979【愛蔵版】 (映画秘宝COLLECTION)』['13年]表カバー「月曜日のユカ」('64年/日活)加賀まりこ/裏カバー「竜馬暗殺」('74年/ATG)原田芳雄

 本書は、2012年に「洋泉社MOOK」として刊行された『映画秘宝EX 鮮烈!アナーキー日本映画史1959~1979』('12年)の「映画秘宝COLLECTION」版で、「洋泉社MOOK」では本書の続編にあたる『映画秘宝EX爆裂! アナーキー日本映画史1980~2011』も同年に刊行されていますが、その後、「映画秘宝COLLECTION」版『完全版アナーキー日本映画史1959-2016』('16年)として統合されています。何かが過剰な日本映画のアウトサイダー的作品ばかりを紹介したシリーズで、本章での選評収録作品は以下の通りです。

■60年代
黒い十人の女 ポスター.jpg盲獣poster.jpg 独立愚連隊/野獣死すべし/東海道四谷怪談/地獄/黄線地帯/地平線がぎらぎらっ/黒い十人の女/しとやかな獣/月曜日のユカ/危ないことなら銭になる/君も出世ができる/黒蝪蜒/真田風雲録/座頭市物語/斬る/忍びの者/野獣の青春/十三人の刺客/二匹の牝犬/マタンゴ/太平洋の翼/大魔神/赤い天使/網走番外地飢餓海峡/組織暴力/ある殺し屋/紅の流れ星/「エロ事師たち」より 人類学入門/100発100中/殺人狂時代/日本のいちばん長い日/盲獣/みな殺しの霊歌/江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間/無頼 人斬り五郎/反逆のメロディー/女番長 野良猫ロック/殺しの烙印/荒野のダッチワイフ/処女ゲバゲバ/薔薇の葬列/白昼の襲撃/首/日本暗殺秘録

■70年代
 ゴジラ対ヘドラ/呪いの館 血を吸う眼/でんきくらげ/谷岡ヤスジのメッタメタガキ道講座/新座頭市 破れ!唐人剣/エロス+虐殺/股旅/昭和残侠伝 死んで貰います/博奕打ち いのち札/マル秘色情めす市場/女番長ブルース 牝蜂の逆襲/番格ロック/0課の女 赤い手錠/徳川セックス禁止令 色情大名/女生きてます 盛り場渡り鳥/ポルノの女王 にっぽんSEX旅行/軍旗はためく下に/仁義なき戦い/仁義の墓場/実録 私服銀座警察/子連れ狼 三途の川の乳母車/女囚701号 さそり/修羅雪姫/野獣狩り/旅の重さ/バージンブルース/ノストラダムスの大予言/新幹線大爆破/直撃地獄拳 大逆転/トラック野郎 御意見無用/青春の殺人者犬神家の一族八甲田山/八つ墓村/やくざ残酷秘録 片腕切断/犬神の悪霊/女獄門帖 引き裂かれた尼僧/悶絶!!どんでん返し/悲愁物語/最も危険な遊戯/高校大パニック/復讐するは我にあり/餌食/十九歳の地図

 黒沢明、小津安二郎こそ出てきませんが、娯楽映画として結構メジャーな作品もあり、全体としては、「アナーキー」の定義がやや曖昧なものの、本当にアナーキーと言えるのは半分くらいかも。ただし、一見フツーの娯楽大作に見える作品が、見方によってはアナーキー映画ととれるというを論じ方をしているものもあります。

 これら作品紹介と併せ、中原昌也、斎藤工、町山智浩、桂千穂など識者や俳優などによる「僕の好きな日本映画」というコラムが13本、映画評論家などによる監督評が15本、「モダンホラー」「日活ニューアクション」「ATG映画」といった系譜ごとにみたコラムが32本あり、これらが作品紹介の間々に挿入されています(例えば、「黒い十人の女」('61年)の後に「市川崑」評が、「十三人の刺客」('61年)の後に「東映集団抗争時代劇」のコラムがきている)。したがって、全体としてもほぼ時系列になっているし、切り口も、作品・好み・監督・ジャンルと豊富なのですが、ページをめくるごとにフォーマットが変わったして、ややごちゃごちゃした感じになったかもしれません。

 個人的に一番良かったのは(そこだけ纏まったページになっていたというのもあったかもしれませんが)、中ほどにある川本三郎氏へのインタビューで、「阿佐ヶ谷オデオン座」が彼にとっての映画学校で、そこで「オールナイト」と称して夜10時から名作を1本だけかけていて、「第三の男」などいろいろな作品を観たとのこと。一方で、ピンク映画は「荻窪スター座」で観たというのは、自分も若いころ荻窪に住んでいたことがあるで、何となく懐かしかったです(荻窪東亜会館にあった「荻窪オデヲン」は知っている。荻窪スター座は荻窪オデヲンよりも後に閉館したようだ)。新東宝の三原葉子とか前田通子が好きだっておおぴらには言えなかった(笑)というのは、先々月['19年10月]亡くなった和田誠氏との対談でも言ってたように思います。

 この人、麻布中学、麻布高校、東大法学部、朝日新聞社というエリートコースを歩みながら、ある政治的事件に巻き込まれて朝日新聞社を解雇されるわけですが(その経緯なども記した自伝『マイ・バック・ページ』が'11年に映画化された)、朝日新聞社をクビになったから仕方なく映画評論家になったと言われるけれど、もともとは映画好きで、むしろ非政治的人間で、朝日でも映画記者になりたかったとのこと。でも、今はこの人の過去を知らない人の方が多いと思われ、この人がもとから映画評論家であったと思っている人の方が多いのではないかなあ。

荻窪オデオン座 - 2.jpg荻窪駅付近.jpg荻窪オデヲン.jpg荻窪東亜会館.jpg荻窪オデヲン座・荻窪劇場 1972年7月、荻窪駅西口北「荻窪東亜会館」B1にオープン。1991(平成3)年4月7日閉館。(パンフレット「世にも怪奇な物語」)菅野 正 写真展「平成ラストショー」HPより

     



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