【2834】 ○ 室橋 裕和 『日本の異国―在日外国人の知られざる日常』 (2019/05 晶文社) ★★★★

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地域のコミュニティに生きる外国人の、ポジティブに頑張っている面にスポットを当てている。

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日本の異国: 在日外国人の知られざる日常』 竹ノ塚のリトル・マニラ「カリン」(本書ではモノクロ)AERA dot.

 最近では街を歩けば外国人の姿がフツーに目に入るようになりましたが、本書は、そうした外国人が集まって暮らしている街々を取材して、なぜそこにその国の人たちが集まって暮らすようになったのかという歴史や、彼らは今どのような問題を抱えているかいったことも含め、彼らの暮らしぶりを紹介したルポルタージュです。

 取り上げあっれているのは、竹ノ塚のリトル・マニラ、八潮市のヤシオスタン(パキスタン人)、代々木上原の東京ジャーミー(トルコ人)、西葛西のリトル・インディア、池袋のバングラデシュ独立のシンボル、練馬のモンゴル春祭り、大和市のいちょう団地(ベトナム・カンボジア・ラオス人)、茗荷谷シーク寺院(インド人)、成田市のタイ寺院、御殿場の中国人コミュニティ、蕨市のクルド人難民、川口市の「多文化共生」の最前線(東南アジア・韓国・中国人)、そして最後に新大久保。新大久保も、コリアン・タウンというより、今は多国籍化しているのだなあと(今度行ったらよく注意して見ておこう)。

 本書に、「日本に住む外国人は'17年末で250万人を超えたという」とありますが、出入国在留管理庁は10月、今年['19年]6月末時点の在留外国人数が282万9416人だったと発表しており、これは日本の総人口の2.24%を占めるることになります。'17年末から'18年末の増加率は7%で、12年末以降は7年連続で増加し、日本社会の外国人の存在感が高まりつつあるのは数字にもはっきり表れています('18年末の在留資格別、国籍・地域別のそ内訳は下図の通り)。

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 あるシンクタンクによれば、日本だけではなく、海外でも外国人は大都市に集まる傾向があるそうで、その主な理由は、賃金が地方に比べて高いことと、生活を支える外国人コミュニティが発達していることのようです。日本政府は「移民」政策は取らないとしていますが、来年['20年]4月から「特定技能」の新設をに外国人労働者受入れ拡大を目指す改正入管法が施行され、実質的には移民受け入れに舵を切ったようなもの。この人不足で今後も外国人労働者はどんどん入ってき続けるだろうし、そうした際の日本で働く外国人の拠り所となるのが、本書に紹介されているような外国人コミュニティなのだろなあと思って本書を読みました。

 外国人タウンの探訪というと何となくディープな世界に足を踏み入れる印象がありますが、著者はアジアをテーマに文章を書いてきたライターで、自身もタイで外国人として暮らした経験を持つとのことで、取材相手と適度な距離感を保ちつつ、地域のコミュニティに生きる外国人の、ポジティブに頑張っている面にスポットを当てています(ちょうどヘイトスピーチなどをやるグループと真逆の立ち位置)。

 取材先が1都3県(+御殿場)に限らているので、今度は地方の状況ももっと知りたいものだと思いました。

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和田泰明

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