【2817】 ○ 永田 よしのり (編) 『カルト映画館 ホラー (1995/09 現代教養文庫) ★★★★ (△ ナルシソ・イバニェス・セラドール (原作:ファン・ホセ・プランス) 「ザ・チャイルド」 (76年/スペイン) (1977/05 ジョイパックフィルム) ★★★)

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比較的オーソドックスなラインアップ。いろいろ思い出させてくれた。

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カルト映画館 ホラー (現代教養文庫)』(表紙イラスト:永野寿彦(シネマ・イラストライター))「ザ・チャイルド 30周年特別版 [DVD]

 4名の執筆者が、ホラー映画100作品を、「名作ホラーの館」「ホラーカルトの館」「ホラー監督の館」「日本怪奇館」の4篇に分けて紹介したものです。

 「名作ホラーの館」は、共著者全員で作品を分担して紹介しているためか、比較的オーソドックスなラインアップだったように思います。

BRIDE OF FRANKENSTEIN2.jpgフランケンシュタインの花嫁 dvd.jpg 「フランケンシュタインの花嫁」('35年)が、本編「フランケンシュタイン」('31年)と比べ、「どこをとっても第1作目をしのいでいる」というのがよく理解できる解説になっていました。個人的にも、80年代に渋谷の旧ユーロ・スペースで予備知識なしに2本続けて観て、「花嫁」の方が上だと感じました。

サイコ1.jpgPsycho.jpg 「サイコ」('60年)は、あの和田誠氏が『お楽しみはこれからだ Part3』('80年/文藝春秋)で是非見てみたいと言っていた劇場予告編のことが書いてあります(ヒッチコックが登場して映画に登場するモーテルで現場検証よろしく、事件を説明するというもの)。今はネットで見ることができます。

「世にも怪奇な物語」2.jpg世にも怪奇な物語 dvd.jpg 「世にも怪奇な物語」('67年)は、エドガー・アラン・ポーの怪奇小説3作をロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニの3監督が共作したオムニバス映画で、これも和田誠氏が『お楽しみはこれからだ』('75年/文藝春秋)の中で、ロジェ・ヴァディムのパートは「耽美主義的映像が逆に小細工のようでいけなかった」とし、「通俗的にはルイ・マルが面白く、怖さや不思議さではフェリーニが圧巻」としています。ただし、本書は映画の批評と言うより紹介が主であるため、「三人の名匠が個性派俳優たちを使って絶妙な味付けを施した」と同等に評価しています。

ローズマリーの赤ちゃん』(1968).jpgローズマリーの赤ちゃん.jpg 「ローズマリーの赤ちゃん」('68年)は、"悪魔"の存在がローズマリーの被害妄想かと思ったら実は本当に悪魔が存在していたというのが怖いとしていますが、著者が「"オカルト映画"にふさわしい秀逸な悪夢にイメージとして特筆される」としている、ローズマリーがすべてを受け入れ、至福の表情でわが子を抱いて子守歌を口ずさむラストの方が、ある意味それ以上に怖かったかも。

The Shining.bmp「シャイニング」 (1980) 英.jpg 「シャイニング」('80年)は、スタンリー・キューブリックが作品に織り込んだ"狂気"を見事に表現したのがジャック・ニコルソンで、それによって、スティーヴン・キング原作の映画化の中でも、一,二を争う出来になっているというのは同感です(ただし、当のスティーヴン・キングはこの映画化作品を気に入ってなかった)。

ハンガー パンフ.jpg 「ハンガー」('83年)は、デヴィッド・ボウイが吸血鬼役に挑んだ映画でしたが、著者が言うように、あくまでも主役は女吸血鬼を演じたカトリーヌ・ドヌーブでした。仏映画調のようなフィルム・ノワール調で描かれ、「これがMGM映画なの?」と思わずにはいられないとしていますが、カトリーヌ・ドヌーブが"仕切った"いうことも関係しているのではないでしょうか。

フランケンシュタイン (1994年) dvd.jpg 「フランケンシュタイン」('94年)は、ケネス・プラマー監督がロバート・デ・ニーロと組んだ作品ですが、「フランケンシュタインの"花嫁"となったジェームズ・アイヴォリー作品の乙女、ヘレナ・ボナム・カーターの怪奇女優ぶり」を思い出させてくれました。「眺めのいい部屋」('86年)のお嬢様役からの180度イメチェンは、「ハリー・ポッター」シリーズの魔女役よりずっと前から始まっていたわけか。

 「ホラーカルトの館」は、「鷲巣義明プレゼンツ」とあるように、個人のセレクションであるため、その分マニアック度が上がっているように思いました。

 「ロサンゼルス」('81年)のマイケル・ウィナーが監督した、教会と悪魔を対等に描いたためタブー映画とされている「センチネル」('77年)や(個人的には未見)、ナルシソ・イバネ・セッラドール監督の子供たちが大人たちを襲うというスペインのホラー映画「ザ・チャイルド」('76年)などは、本書にあるようにビデオ化されませんでした。「センチネル」にはフリークス(言わば身体障碍者)を悪魔視する描かれ方があり、「日本でのビデオ化はまず不可能」としています。また、「ザ・チャイルド」には、子供が胎児を操って胎内から母親を攻撃、ショック死させる場面があったりします。ところが、2001年には「ザ・チャイルド」が、2009年には「センチネル」もDVD化されました。

映画 ザ・チャイルド.jpg とりわけ、「ザ・チャイルド」は、著者が「劇場公開時に観て、本作の素晴らしさに舌を巻いた」と言うように、初めてこの作品を観たホラー映画ファンの間である種ブームとなり、2008年には、「30周年特別版DVD」が発売されたほどです。個人的には、初めて観たときは「大人を襲っている子供たちもやがて大人になるのになあ」とか「子供と大人の中間にいる人はどうすればいいの?」とか引っ掛かりがありましたが、観たのが学生の時だったというのもあるし、或いは、"怖さ"に飲み込まれないよう、わざと白けたことを考えるようにしていたのかもしれんません(基本的に怖がりなので)。

ザ・チャイルド (1976年の映画).jpg「ザ・チャイルド」●原題:WHO CAN KILL A CHILD?//ISLAND OF THE DAMNED●制作年:1976年●制作国:スペイン●監督:ナルシソ・イバニェス・セラドール●製作:マヌエル・ペレス●脚本:ルイス・ペニャフィエル●撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ●音楽:ワルド・デ・ロス・リオス●原作:ファン・ホセ・プランス●時間:107分●出演:ルイス・フィアンダー/プルネラ・ランサム/アントニオ・イランソ/ルイス・シヘス●日本公開:1977/05●配給:ジョイパックフィルム●最初に観た場所:中野武蔵野館(77-12-12)(評価:★★★☆)●併映:「小さな悪の華」(ジョエル・セリア)

              



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和田泰明

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