【2814】 ◎ 佐々木 マキ (小原央明:編) 『佐々木 マキ―アナーキーなナンセンス詩人 (らんぷの本)』 (2013/10 河出書房新社) ★★★★☆

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作家のこれまでの軌跡を一望する、決定版「佐々木マキ入門」。コンパクトかつ充実の一冊。

佐々木マキ  アナーキーなナンセンス詩人.jpg佐々木マキ アナーキーなナンセンス詩人.jpg 『佐々木 マキ―アナーキーなナンセンス詩人 1.jpg
佐々木マキ: アナーキーなナンセンス詩人 (らんぷの本)』['13年]

 佐々木マキ(1946年神戸市生まれ)氏はマンガ家・絵本作家・イラストレーターということで、その作品を集めてこれまでの仕事を振り返った本書も、版元による紹介が「あるときはアヴァンギャルドなマンガ家。またあるときはキュートな絵本作家。そしてまたあるときはクールなイラストレーター...。はたして、その正体は!?」となっています(そのあと"作家のこれまでの軌跡を一望する、決定版「佐々木マキ入門」"と続く)。

IMG_3804 佐々木マキ.JPG 個人的には村上春樹氏の小説の表紙イラストなどが馴染みがあって「イラストレーター」というイメージが強いのです佐々木マキ アナーキーなナンセンス詩人 マンガ.jpgが、1966年に「ガロ」でマンガ家デビューし、「ガロ」「朝日ジャーナル」を中心に自由で実験的なマンガを立て続けに発表したことから、自分よりもう少し前の年代には、「マンガ家」の印象が強いかも。本書では、個人的には今まであまり触れることのなかったマンガ作品の数々を垣間見ることが出来て良かったです。

佐々木マキ アナーキーなナンセンス詩人01.jpg それと、全5章構成の内、第5章の資料編を除くと、第1章が「マンガの世界」、第3章が「イラストレーションの世界」となっているのに対して第2章、第4章の二章が「絵本の世界」となっていて、実際、1973年に福音館書店より『やっぱりおおかみ』で絵本デビューして以来、その仕事に占める絵本の割合がかなり大きいのだなあと改めて知りました(本人名義で刊行されている本も圧倒的に絵本が多い)。

 マンガ、絵本作品をみて、ポップアートの影響がみられるのが分かる一方、「アナーキーなナンセンス」というのも改めて感じられ、「つげ義春と並ぶ前衛漫画の代表作家」と言われるのも分かる気がしました(ネット情報によれば、マンガ家時代に「ガロ」などで描いていたマンガはシュール、ナンセンス、旅行記風、SF風のなんでもござれで、その前衛すぎる作風に、手塚治虫が「あれは狂ってる」「あの連載をすぐにやめろ、載せるべきではない」などと言ったとか)。また、それらのマンガはある種「不条理マンガ」でもあったりするものが多く、"カフカ"っぽい点で村上春樹作品と相性が良かったりもするのかなと思いました。

まよなかの台所.jpg 絵本において、初期にモーリス・センダックの『まよなかの台所』の影響を受け、そこからあのコマ割りやそこからあのコマ割りやフキダシが生まれたということを本書で知りましたが、全体を通しての何となく洒落た雰囲気というのは、やはり海外のものから吸収していただなあと(見ればすぐ分かると言われればそうだが、どことなく無国籍感が漂う)。この辺りも、ちょっと村上春樹作品に通じるところがあるかと思いました。

 これまでの仕事がよく纏まっていて、巻末の本人へのインタビューも含め充実の1冊です。つげ義春(1937年生まれ)氏はすっかり寡作になってしまい、安西水丸(1941-2014)は亡くなってしまいましたが、和田誠(1936年)氏などよりも若いです。まだまだ活躍し続けてほしい作家ですが、最近新作が少ないのが少し気になります。

     
    
    
    
    
    
      



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和田泰明

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