【2742】 △ 池田 克彦 『薀蓄雑学説教の事典―上司も部下も必携!ビジネスを変える167話』 (2016/08 時事通信社) ★★★

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応用はそう簡単ではない? 単なる「雑学本」として読んでしまった。

薀蓄雑学説教の事典.jpg薀蓄雑学 説教の事典』(2016/08 時事通信社)

 2010年から2011年にかけて警視総監を務めた著者による訓示集で、警察に入って訓示をしてきたある日「だれもちゃんと聞いていない」ことに気づいて、それから、雑学、薀蓄を思いきり入れて、記憶に沁み込む話にしようと考え、訓示に雑学を盛り込むようにしたともこと。著者はまさに博覧強記の人であり、吉本興業に誘われた過去を持つとのことです。

 ただ、読み物としてはそこそこ面白いのですが、こうした"薀蓄雑学"を、これから話を聞く側に伝えようとする趣旨にどのように絡めるかという応用ということになると、そのあたりは個々の創意というかセンスによるものではないかと。一応は、コミュニケーション、危機対応、マネジメント、計画立案、人事管理、人材育成、業務改善、広報戦略、複眼思考と、訓示の内容に沿って9つのジャンルに分けられていますが、本書に出てくるものは警視総監なりが警察幹部なりに話す訓示という枠組みがあるため、本書を読んだだけで読者がすぐに自らに応用するのは難しいかもしれません。

 知識の抽斗(ひきだし)を多く持つことは、ひとつの武器にはなると思いますが、ホントはどんな雑学を開陳するかということよりも、話の趣旨にどう繋げるのかがポイントなのでしょう。本来はそこを押さえながら読むべきなのでしょうが、自分には本書をそこまで敷衍する能力がないのか、単に「雑学本」として読んでしまった感じです(Amazon.comでの分類を見ると、「コミュニケーション」とか「ビジネス」とかでなく、「雑学・クイズ」になっていたりする)。雑学本としてはまずまずでしょうか。

《読書MEMO》
●乾杯は本来「毒殺防止」のために行われた。
●「ローマの休日」は、他人のドタバタを楽しむ悪趣味な人たちの意味
●「本日は晴天なり」(It's fine today)は英文の発音に多くの要素が入っているため使われた。
●NYヤンキースのマークの「Y」はヨークのY。
●エイトマンは警視庁捜査一課の8番目の刑事の意(本来はeighth man(エイスマン))。
●一寸法師の刀である針は、鍼灸師の使う鍼(はり)と考えるべき(鬼は病気の象徴)。
●「少年よ大志を抱け」の後には「この年老いた私のように」と続く。
●やくざ用語の「マッポ」の由来は「待つポリス」から。ヤバいの語源は「速い」からきているとも。
●パッションフルーツのパッションは「受難」の意(花の五本のおしべが十字架のキリストに見えるため)。
ゴディバ.jpg●サッポロビールの星のマークの星は北極星(北海道開拓使の旗のマークより)。
●パネリストは問題提起をする人、パネラーはただのパネルを貼る人。
●ゴディバのマークの由来は、馬に乗った裸のゴディバ伯爵夫人(ピーピング・トムの由来も同じ故事から)。

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