【2674】 ○ 木村 亮示/木山 聡 『BCGの特訓―成長し続ける人材を生む徒弟制』 (2015/11 日本経済新聞出版社) ★★★☆

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BCGでの人材育成を成功させるうえでの取り組みを「暗黙知」から「形式知」化した本。

BCGの特訓2.jpg『BCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制』['15年]BCGの特訓 bunnko.jpgBCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制 (日経ビジネス人文庫)』['18年]

 ボストンコンサルティンググループ(BCG)の若手コンサルティングスタッフの人材育成責任者を務める著者らによる本書は、第1部(第1章・第2章)で、BCGの人材育成のベースにある2つの考え方を紹介したうえで、第2部(第3章・第4章)で、成長が必要なメンバーの視点でできること、育成するマネジャーおよび組織の視点でできることを紹介しています。

 まず第1章で、「成長の方程式①」として、「マインドセット(基本姿勢)+スキル」ということを掲げています。ここでは、コンサルタントのノウハウ=スキルというのは誤解であり、個別のスキルをいくら増やしたり突き詰めたりしても、しっかりしたマインドセットを持たない限り成長は難しいとしています。スキルマニアの人たちは、そのまま一生「作業屋」、あるいはフォロワーであり続けるのであり、他人の答えで仕事するフォロワーから、自分の答えで仕事するリーダーになりたいのであれば、①他者への貢献に対する強い想い、②何度もチャレンジできる折れない心、③できない事実を受け入れる素直さ、という3つのマインドセットが必要だとしています。また、こうしたマインドセットは、経験をベースとした「気づき」があれば変えられるとしており、「成長する経験」として、①クライアントと対峙する場に飛び込む、②小さな成功体験を積む、③失敗経験を上手に振り返る、という3つを挙げています。

 第2章では、「成長の方程式②」として、「正しい目標設定+正しい自己認識」ということを掲げています。頑張っているのになぜ伸び悩むのか、伸び悩むタイプとして、①手段が目的化する人、②勘違いな人、③作業屋止まりな人の3つを挙げ、成長には正しい目標設定と正しい自己認識が必要であるとしています。さらに、目標設定における落とし穴として、①具体性のない「スローガン」を掲げる、②「憧れのあの人」になりたがる、③目の前の「モグラたたき」に夢中になる、の3つ挙げ、自己認識の落とし穴として、①まじめな人も無意識に抱く「原因他人論」、②永遠の「青い鳥探し」、③誰にでも、「無意識の思考のクセ」がある、の3つを挙げています。そして、こうした「思考のクセ」はなくならないが、無意識の思考のクセを意識化することでコントロールはでき、思考の特徴を武器にすることも可能だとしています。

 第3章では、今問われているのは、成長の"スピード"であるが、成長を加速させるにはどうすればよいか、その鉄則として、①学びのスイッチが"オン"の時間を増やす、②自分の「目を肥やす」、③自分の行動を「分解」する、④とにかく実践する、変化する、の4つを掲げ、成長が加速しないタイプとして、「育てられ下手」「任され下手」があり、「育てられ上手」「任され上手」になるにはどうすればよいかを説いています。

 第4章では、成長をPDCAで「自動化」するにはどうすればよいかを説き、そのためには、仕事を分解し、どこまで任せるかを考えるとともに、モチベーションをマネジメントすることが肝要であるとしています。そして、育成を着実に進めるには、育成を狙った適切な仕事を任せる(PLAN)、あえて転ぶまでやらせてみる(DO)、適切なタイミングでフィードバックする(CHECK)、具体的な行動を意識したアドバイスを行う(ACTION)とPDCAを回すことが必要あるとし、短期集中特訓で成長を自動化する方法などを紹介しています。

 本書は、人材育成を成功させるうえでの取り組みについて、BCG内において暗黙知であった内容を、「育つ側」「育てられる側」のそれぞれの視点に分けて形式知化を試みたものであるとのことです。ですから、先にシステムやルールがあったわけではなく、実際に行われていることの「勘所」を改めて整理してみたということになるのでしょう。コンサル会社らしく、各ポイントを3項目程度にまとめ、噛んで含めるように分かり易く書かれていますが、スキルについて書いた本ではなく、基本姿勢について書かれた啓発書である分、それほど目新しいことが書かれているわけではありません。いずれも経験に基づくもので、奇を衒ったものではないという意味ではしっくりきますが、やっている人はすでにやっているのではないかとの印象も持ちました。

 但し、BCGの若手人材の育成において、「多様なバックグラウンドの人材」を「短期間で」戦力化するということが強く意識されているというのは充分に感じられました(コンサルファームって特にそうだろうな。士業出者、商社出身者、SE・プログラマ出身者、金融機関出身者、医療系出身者など、出身業界別の行動特性について書かれた部分は、個人的に興味深かった)。

【2018年文庫化[日経ビジネス人文庫]】

  



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