【2670】 ◎ 江川 昌史 『アクセンチュア流 生産性を高める「働き方改革」―自社のカルチャーを変革し続けるリーダーシップ×フレームワーク』 (2017/08 日本実業出版社) ★★★★☆

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「働き方改革」は組織風土改革。自社における「意識・制度」両輪での働きかけを紹介。

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アクセンチュア流 生産性を高める「働き方改革」』['17年/日本実業出版社]

 コンサルティング業界は、「徹夜しないなんて、週末に仕事を持ち帰らないなんて、コンサルじゃない!」と言われるくらいの激務が当たり前であると言われ、外資系コンサルティング会社に憧れる大学生が多い一方で、ハードワークのイメージゆえに敬遠する人も多いとのことです。そうした風土の中、コンサルティング会社のアクセンチュアがここ数年にわたり積極的に取り組んできた、生産性を高める働き方改革「プロジェクト・プライド」の軌跡を、それを推し進めてきたトップ自らが紹介した本です。

アクセンチュアChallenges.png 第1章では、業績好調ながらも、人材不足や長時間労働など、さまざまな課題を抱えていた会社で、カルチャーを変えなければ次のステージはないとの危機感のもと、アンケート等による現状把握をもとに優先課題をフォーカスして、「ダイバーシティ」「リクルーティング」「ワークスタイル」の3つのチャレンジを設定し、"なりたい姿"を具体的に定義したとしています。そして、それを社内で共有することから始め、プロフェッショナルとしての誇りのもと、「世の中から認められ、働きやすく、フェアな会社」を目指すことをプロジェクトの方向性としたとしています。

アクセンチュアHPより

 第2章では、プロジェクトを推進する「改革のフレームワーク」として、「第1象限:方向性提示と効果測定」「第2象限:リーダーのコミットメント」「第3象限:仕組み化・テクノロジー活用」「第4象限:文化・風土の定着化」という4つの象限を設定し、3年を目標に改革に至るロードマップを策定したとしています。「改革のフレームワーク」は、会社がビジネスとして顧客に提供している組織改革の方法論を活用したものであり、いわばコンサルティング会社が自社をコンサルティングするかたちになっているのが興味深いです。

アクセンチュアCore-value.jpg 第3章では、プロジェクトが本格始動するに際して、どのようなメッセージをどのような方法で社員に伝えたのか、キックオフやそれに続く「コミュニケーション強化月間」の実施内容を紹介しています。プロジェクトの方向性を高いプロフェッショナリズムの実現に置き、「クライアント価値の創造」「ワン・グローバル・ネットワーク」「個人の尊重」「ベスト・ピープル」「インテグリティ」「スチュワードシップ」の6項目から成るコアバリューの浸透を図ったとしています。

 第4章では、「改革のフレームワーク」の第1象限から第4象限までを具体的にどのように進めていったのかが象限ごとに紹介されていて、この部分が本書で最もページ数が割かれています。例えば、第2象限(リーダーのコミットメント)では労働時間に関する法的なボーダーラインを示したり、第3象限(仕組み化・テクノロジー活用)では、給与制度の変更や短時間勤務制度の導入などを行っていますが、強調されているのは、組織風土改革において「意識」と「制度」の両輪での働きかけを行ったということです。

アクセンチュアHPより

 第5章では、冒頭で八丈島に在宅勤務する社員の例を紹介するとともに、プロジェクトによってもたらされた、ダイバーシティ、リクルーティング、ワークスタイルの3つのチャレンジの成果を掲げ、働き方改革と業績アップは両立できるとし、会社は働き方改革で次なる成長のステージへ動き出しているとしています。

 世間で「働き方改革」が声高に叫ばれるようになる前の、2015年1月にプロジェクトがスタートしているという点で先駆的であり、その分、説得力もあります。「働き方改革」が目指すのは単なる"早帰り運動"ではなく、組織風土改革であることが実感でき、また、コンサルティング会社という知識集約型産業の("紺屋の白袴"になりがちな?)企業における事例であることが関心を引きます。コンサルティング会社であるだけに、概念的に整理するのはお手の物という気がしなくもないですが、それを実地に落とし込むまでの具体的な働きかけや仕組みづくりが数多く紹介されており、人事パーソンにとっても啓発されるだけでなく、具体的に参考になる面も多い本であると思いました。

《読書MEMO》
●目次
1 現状把握から"なりたい姿"を定義する(カルチャーを変えなければ、次のステージはない!;社員のヒアリングで、次々と不満の声が... ほか)
2 改革までのロードマップと体制づくり(プロジェクトを推進する「改革のフレームワーク」;3年を目標にロードマップ策定 ほか)
3 『プロジェクト・プライド』本格始動!(全社集会でのキックオフ宣言;オリジナル映像でビジョンを印象づける ほか)
4 「制度」と「意識」の両輪で働きかける(改革のフレームワーク・第一象限 方向性提示と効果測定;改革のフレームワーク・第二象限 リーダーのコミットメント ほか)
5 働き方改革で次なる成長ステージへ(ケース・スタディ 人材活用の可能性を広げたテレワーク―充実した制度をどう活用するか? 八丈島で働く女性マネジャーのストーリーから探る;ダイバーシティ・チャレンジの成果 ほか)
解説編 『プロジェクト・プライド』の示唆



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和田泰明

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