【2659】 ◎ 柳沢 正和/村木 真紀/後藤 純一 『職場のLGBT読本―「ありのままの自分」で働ける環境を目指して』 (2015/07 実務教育出版) ★★★★☆

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「LGBT」について知ることからはじめ、対応施策を分かりやす説いたハンドブック。

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職場のLGBT読本:「ありのままの自分」で働ける環境を目指して』(2015/07 実務教育出版)

村木 真紀氏(朝日新聞2016年6月11日付「フロントランナー」)
職場のLGBT読本 著者.jpg 「LGBT」とは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)をはじめとする性的マイノリティの総称であり、調査(電通総研)によると全人口のおよそ5%~7%強存在するといわれています。その意味で、1人でも多くの人がLGBTであることを隠さず、ストレスなく働けるという、性的マイノリティと共に気持ちよく働く職場づくりというのは、最先端の経営課題であると言え、本書は、そのあとがきによれば、おそらく日本で初めて「ビジネス書・人事」の棚に置かれるLGBTの本であるとのことです。

 第1章「LGBTについて理解を深めよう」と第2章「LGBT当事者アンケートで見る職場環境の現状」では、LGBTに関する一般的な情報が提供されています。第1章では、LGBTとは何か、その直面しがちな困難や苦悩は何か、LGBT人口はどのくらいいるのか、人はなぜ同性愛者に生まれるのか、LGBTはなぜ差別されるのか、国際的な基準はどうなっているのか、同性愛者やトランスジェンダーの社会的課題は何か、といったことを解説し、更には、LGBTの世界史、日本史を概観することで、LGBTに関する基礎知識を網羅しています。

 第2章「LGBT当事者アンケートで見る職場環境の現状」では、具体的にLGBTを取り巻く職場環境の現状がアンケート調査により明らかにされており、求職時から実際の勤務までLGBTが直面する様々な問題と、それに対してどのような施策が求められ、また、実際そうした施策がLGBTの勤労意欲にどう関係しているかを示すとともに、LGBT施策は当事者に限らず、ほかの人の職場環境にもプラスの効果があるとしています。

 第3章「LGBTが職場で抱える10の課題」では、LGBTが働く上で抱えている具体的な問題を当事者の声を交えて紹介し、LGBTのそれぞれの悩みに対して相談窓口、福利厚生、社会保障の各面からどのような対応が可能か、また、LGBTのキャリア設計や取引先・顧客との関係の在り方などについても解説しています。

 第4章「先進的な企業の取り組み事例10選」では、LGBTの存在を認め、支援し、積極的に取り込もうとする、そうしたダイバーシティ&インクルージョン施策を実施している企業の取り組み事例を紹介しています。

 第5章「職場環境整備における10のポイント」では、2014年7月から男女雇用機会均等法のセクハラ指針が改正され、LGBTへの差別もセクハラの対象であるされていることを前提に、企業としてLGBT差別をどう認知し、どのような対策をとっていくべきか、実務的なフレームワークが紹介されています。

 第6章「当事者やアライが語る自分らしく働ける社会」では、LGBT当事者や、その人たちと共に働く人たちへのインタビュー集になっており、理解がある職場に恵まれ、すでに自分らしくいきいきと働くことができているLGBT当事者や、その上司や同僚などアライ(LGBTを応援するストレート)の人たちの話も収められています。

 本書によれば、LGBTがストレートと共に互いに気持ちよく働ける職場をつくるということは、最先端の経営課題であるとともに、そのことをCSRの1テーマであると見なす動きが日本でも出てきたとのことです。一方で、LGBT対策にまったく手つかずで、どこから手をつけていいのかわからないという企業も多くあるように思われますが、本書は、そうした企業の人事担当者のみならず、マネジャーや一般ワーカーにも分かり易いハンドブックとなっています。

 まずLGBTについて知ることからはじめ、人事におけるLGBT施策をどのような流れで進めていけばよいか、LBGTフレンドリー化(アライ化)への流れなどについても解説されていますが、アライになるには、理解(LGBTをよく知ること)と共感(LGBTと実際に触れ合うこと)が必要であるとの視点に立っています。知識的側面及び啓発的側面、個人の行動的側面及び企業としての施策的側面をカバーした、バランスのとれた入門書であるように思いました。



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和田泰明

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