【2651】 ○ スチュアート・クレイナー/デス・ディアラブ (東方雅美:訳) 『Thinkers50 リーダーシップ (2014/11 プレジデント社) ★★★★

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リーダーシップ研究の最近の歩みをシズル感を持ちつつ概観するには手頃。

Thinkers50 リーダーシップ.jpg 『Thinkers50 リーダーシップ』(2014/11 プレジデント社)

 「Thinkers 50」は、マネジメント思想を調査、ランク付けしたうえで世の中に広く紹介する取り組みで、2001年以降、隔年で発表されているランキングは、「マネジメント思想のアカデミー賞」とも言われています。歴代の第1位は、ピーター・ドラッカー(2001年、2003年)、マイケル・ポーター(2005年)、C.K.プラハラード(2007年、2009年、クレイトン・クリステンセン(2011年、2013年)。日本では「経営思想家トップ50」などと訳されていますが、日本人では過去に大前研一氏が複数回ランクインしているほか、2013年に野中郁次郎氏が"Lifetime Achievement Award(生涯業績賞、功労賞)"を受賞しています。

 当シリーズは、「Thinkers 50」にランクインした経営思想家を、直接インタビューした内容とともに紹介し、ジャンル別に分けてそれぞれ1冊に要約することで、テーマごとの本質に迫る入門書であり、本書「リーダーシップ」は、「マネジメント」「ストラテジー」「イノベーション」の3ジャンルの邦訳に続くシリーズ第4弾になります。

 第1章でリーダーシップ研究の変遷を概観した後、第2章では『リーダーシップの王道』などの著者として知られ、今年['14年]逝去したウォレン・ベニスの思想を、本人へのインタビューを中心に紹介していますが、その中でベニスは、「クルーシブル(厳しい試練)」がリーダーを作ることを強調しています。そして、今の若いリーダーにとって難しいのは、クルーシブルが滅多に存在しないことであり、次世代のリーダーは自分でそれを見つけねばならないとしています。

 第3章では、インタビューにおいてC.K.プラハラードがリーダーに求められる謙虚さを語り、『ビジョナリー・カンパニー2飛躍の法則』の著者ジム・コリンズが、企業を「まあまあ良い」水準から「偉大」な水準に飛躍させる「レベル5リーダーシップ」とは何かについて語っています。コリンズが提唱する「レベル5リーダーシップ」も、謙虚さと強い意志の組み合わせからなり、レベル5のリーダーは「物静かなリーダー」だとしています。

 第4章では、『なぜ、あなたがリーダーなのか?』の共著者ロバート・ゴーフィーガレス・ジョーンズが、自分らしいリーダーシップとは何かを語り、さらにエリザベス・メロンがリーダーの思考についての自らの考えを述べています。それらを統合すると、自分らしいリーダーシップにおいては、自分がすでに保有している資質を最大限に活用するものであって、他の成功したリーダーのスタイルを真似るものではなく、また、内省と高い自己意識が求められる―その際に近道をしたり、自己開発に不可欠な段階を省略したりすると、自分の価値観と異なる人格を装ってしまう―としています。

 第5章では、著者がカリスマとリーダーシップの関係について考察するとともに、『カリスマCEOの呪縛』の著者ラケシュ・クラナ『名経営者が、なぜ失敗するのか?』の著者シドニー・フィンケルシュタインとの対話を通して、カリスマはリーダーの特性として、以前は望ましいもの、或いは不可欠なものと考えられていたが、現在では、リーダーとして効果ある特性なのか、疑問視されていることを示唆しています。

 第6章では、フォロワーについての研究の歩みを概観し、フォロワーの類型を再整理するとともに、『フォロワーシップ(未訳)』の著者バーバラ・ケラーマン『経営の未来』の著者ゲーリー・ハメルへのインタビューを行っています。ケラーマンは、フォロワーを孤立者・傍観者・参加者・活動家・硬骨漢の5つのタイプに分けるとともに、「フォロワーが権力と影響力を拡大する一方で、リーダーは権力と影響力を失いつつある」とも主張しています。

 第7章では、『トータル・リーダーシップ―世界最強ビジネススクール ウォートン校流「人生を変える授業」』の著者スチュワート・フリードマンとの対話を通して、リーダーシップは企業や組織の中だけに存在するのではなく、リーダーの人生のそれ以外の部分とも重なり合い、影響を与えるとし、仕事とプライベートな生活のバランスをとるトータル・リーダーシップという考えが紹介されています。

 第8章では、現場で活用できるリーダーシップについて考察するとともに、『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』『コーチングの神様が教える後継者の育て方』『コーチングの神様が教える「前向き思考」の見つけ方』『リーダーシップ・マスター』の共著者マーシャル・ゴールドスミスにリーダーシップの実践的な側面についてインタビューしています。

 以上のように、リーダーシップに関する代表的な考えと論者を紹介しながらも、インタビューで構成されている部分の比重が大きいため、とっつきやすいものとなっています。リーダーシップ研究の最近10年の歩みを、単なる項目主義ではなくある種シズル感を持ちつつ概観するには手頃であり、興味を持たれた経営思想家がいれば、その著書に読み進むと更によいかと思います。

《読書MEMO》
【目次】
◆第1章 リーダーシップ研究の変遷
◆第2章 クルーシブルがリーダーをつくる
◆第3章 レベル5リーダーシップ
◆第4章 自分らしいリーダーシップ
◆第5章 カリスマと影
◆第6章 フォロワーシップ
◆第7章 トータル・リーダーシップ
◆第8章 現場で活用できるリーダーシップ

                



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