【2570】 ○ ソフィア・コッポラ 「ロスト・イン・トランスレーション」 (03年/米) (2004/04 東北新社) ★★★☆ (× ソフィア・コッポラ (原作:アントニア・フレイザー) 「マリー・アントワネット」 (06年/米) (2007/01 東宝東和=東北新社) ★★)

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エトランゼの孤独。佳作だが、そんなにたくさん賞を獲るほどの映画かなあという気もする「ロスト・イン・トランスレーション」。
ロスト・イン・トランスレーション  dvd2.jpgロスト・イン・トランスレーション  dvd.jpg ロスト・イン・トランスレーション001.jpg  マリー アントワネット 2006 DVD .jpg
ロスト・イン・トランスレーション [DVD]」「ロスト・イン・トランスレーション [DVD]」/「マリー・アントワネット」チラシ
ロスト・イン・トランスレーション003.jpg サントリーウイスキーのテレビCMに200万ドルで出演するために来日した年配のハリウッド俳優ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)は、異国で言葉も通じず孤独を感じていた。同じホテルに滞在していたロスト・イン・トランスレーション004.jpgシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)は大学を卒業したてで結婚したばかりだが、セレブ写真家の夫ジョン(ジョバンニ・リビシ)は仕事に忙しく、彼女もボブと同じく孤独だった。シャーロットは夫が自分よりも、若く人気のある女優ケリー(アンナ・ファリス)のようなセレブなモデルに興味があるのではないかと不安を抱く。ボブの方は、長年の夫婦生活に疲れ、"中年の危機"にある。ある晩、長時間の撮影を終え、ホテルのバーでロスト・イン・トランスレーション009.jpg疲れを癒していたボブに、ジョンや友人達といたシャーロットが気づき、ウエイターに日本酒を渡してもらう。2人はホテル内で顔を合わせる内に親しくなる。シャーロットは日本の友人に会う時にボブを誘い、二人は共に日米の文化の違い、世代間のギャップを経験しながらロスト・イン・トランスレーション014.jpg東京の夜を冒険する。ボブが発つ前々夜、彼はホテルのバーのバンド歌手にアプローチされ、翌朝目を覚ますと彼女が部屋にいて、どうやら一夜を共にしたらしい。シャーロットがボブを朝食に誘いに部屋に行くとその女性がいたため、しゃぶしゃぶの昼食時の空気が悪くなる。その夜、ホテルの火災報知機が鳴るアクシデントがあり、ボブとシャーロットはお互いが寂しかったことを伝えて和解する。そして翌朝、ボブは米国へ帰ることになっていた―。

ロスト・イン・トランスレーション チラシ0.jpg 2003年公開の「ロスト・イン・トランスレーション」は、ソフィア・コッポラ監督の、ジェフリー・ユージェニデスの『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』('01年/ハヤカワepi文庫)を原作とする「ヴァージン・スーサイズ」('99年)に次ぐ第2作で、400万ドルの少予算と27日間で撮影されたこの作品は、本国で4400万ドルの興業収入という成功を収め、2004年のゴールデングローブ賞の脚本賞(ソフィア・コッポラ)、ミュージカル・コメディ部門の作品賞、同主演男優賞(ビル・マーレイ)の3部門で受賞、アカデミー賞では主要4部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・オリジナル脚本賞)にノミネートされて脚本賞を受賞し、ソフィア・コッポラは新鋭若手監督として一躍注目される存在になりました。ビル・マーレイとスカーレット・ヨハンソンは、英国アカデミー賞の主演男優賞と主演女優賞もそれぞれ受賞しており、賞を獲りまくった作品と言えるかもしれません。

ロスト・イン・トランスレーション007.jpg 新宿のパークハイアットホテルのスィート・ルームやバーから始まって、渋谷のクラブやカラオケボックスなど主人公の2人が巡る先々において、外国人から見たTOKYOという都市の生態が上手く描かれているように思いました。また、それが、共にエトランゼである2人の孤独を映し出し、孤独な者同士であるゆえに2人が接近していくプロセスも自然であるし、ところどころにユーモアも織り込まれていたりして、その分、ラストの別れの切なさも際立っています。2人の関係がプラトニックなまま続き、そのままで終わるのもいいです。

ロスト・イン・トランスレーション002.jpg ビル・マーレイの演技も渋いし、スカーレット・ヨハンソンも悪くないです。ビル・マーレイは喜劇のイメージがあるので、演技の幅の広さを感じました。スカーレット・ヨハンソンは、今やすっかり肉体派アクション女優になってしまいましたが、幼い頃から演劇教室(リーストラスバーグ・シアターインスティテュート・フォー・ヤングピープル)に通い、8歳のときオフ・ブロードウェイにデビュー、10歳で映画デビューし、本作出演時は(シャーロットは大学を卒業したてという設定だが)まだ18歳でした。スカーレット・ヨハンソンは、女優人生のこの時でないと出来ない演技をしているように思います。

ロスト・イン・トランスレーション しゃぶ.jpg この映画に関しては、日本人を上から目線で戯画化していて、日本や日本人を馬鹿にしているといった批判も一部にあるようですが、その点はそれほど気になりませんでした。例えば、ボブがシャーロットとしゃぶしゃぶ料理店に行って、「自分で料理する店だなんて」と憤慨しているのも、歌手の女性と一夜を共にしてしまったことをシャーロットに知られた気まずさから、しゃぶしゃぶ料理店に八つ当たりしているという、いわばユーモアの構図なのでしょう(「ぐるなび」の渋谷「しゃぶ禅」のページに「ロストイントランスレーションで使われた席」という写真が今も出ている)。

Sofia Coppola & her Father Francis Ford Coppola.jpgソフィア・コッポラ.jpg 佳作ではありますが、そんなにたくさん賞を獲るほどの映画かなあという気もします。ソフィア・コッポラ監督の才能は、他の作品をもっと観てみないと分からないといった感じでしょうか。スカーレット・ヨハンソンを見るとソフィア・コッポラ監督の演出力を感じますが、ビル・マーレイを見ると、俳優が元々有している実力のような気もします。

Sofia Coppola (1971- )
Sofia Coppola & her Father Francis Ford Coppola

マリー アントワネット 2006_1.jpg そこで、ソフィア・コッポラ監督の次の作品「マリー・アントワネット」('06年)も観てみましたが、何でこんな駄作を撮ってしまったのかなあという感じでした。主演は「ヴァージン・スーサイズ」のキルスティン・ダンストで、撮影はフランスのヴェルサイユ宮殿で行われましたが(撮影料は1日1万6千ユーロで、3か月かかったという。製作費は4000万ドルで前作の10倍)、カンヌ国際映画祭に出品された際に、プレス試写ではブーイングが起き、フランスのマリー・アントワネット協会の会長も「この映画のせいで、アントワネットのイメージを改善しようとしてきた我々の努力が水の泡だ」とコメントしたとのことです。

マリー アントワネット 2006 8.jpg ものすごく時代がかった背景でしたが(アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞)、14歳から33歳までのマリー・アントワネットを演じたキルスティン・ダンストは当時24歳で、一人その演技だけが現代の女子大生みたいで、周囲からすごく浮いていたように思います。Wikipediaによると、「根本的なテーマが誰も知る人のいない異国にわずか14歳で単身やってきた少女の孤独である点は、監督の前作の『ロスト・イン・トランスレーション』と類似している」とのことで、ナルホドね。どうやらソフィア・コッポラ監督はこうしたテーマを追い続けているようですが、この作品に関して言えば、オーストリアからフランスにやって来た少女というより、21世紀のアメリカから18世紀のフランスにタイムスリップした女子大生といった感じでしょうか。この作品を支持する人もいますが、個人的には、ソフィア・コッポラ監督の作品は、出来不出来のムラが大きいのかもしれないと思いました。

ゴーストバスターズ ビル・マーレイ.jpg3人のゴースト SCROOGED 1988  ビル.jpgビル・マーレイ in「ゴーストバスターズ」(1984)/「3人のゴースト」(1988)(原作:チャールス・ディッケンス「クリスマス・カロル」)
   
「ロスト・イン・トランスレーション」●原題:LOST IN TRANSLATION●制作年:2003年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ソフィア・コッポラ●製作:ソフィア・コッポラ/ロス・カッツ(製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ/フレッド・ルース)●撮影:ランス・アコード●音楽:ブライアン・レイツェル/ケヴィン・シールズスカーレット・ヨハンソン『エスクワイア』.jpgスカーレット・ヨハンソン『ヴァニティ・フェア』.jpg●時間:102分●出演:ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソン/ジョバロスト・イン・トランスレーション015.jpgンニ・リビシ/アンナ・ファリス/フランソワ・デュ・ボワ/キャサリン・ランバート/ティム・レフマン/藤井隆●日本公開:2004/04●配給:東北新社●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(17-04-17)(評価★★★☆)
スカーレット・ヨハンソン in 『エスクワイア』/『ヴァニティ・フェア』/「ロスト・イン・トランスレーション」

マリー アントワネット 2006s.jpg「マリー・アントワネット」●原題:MARIE-ANTOINETTE●制作年:2006年●制作国:アメリカ●監督・脚本:ソフィア・コッポラ●製作:ソフィア・コッポラ/ロス・カッツ(製作総指揮:マリー・アントワネット dvd.jpgフランシス・フォード・コッポラ/フレッド・ルース/ポール・ラッサム)●撮影:ランス・アコード●原作:アントニア・フレイザー「マリー・アントワネット」●時間:122分●出演:キルスティン・ダンスト/ジェイソン・シュワルツマン/アーシア・アルジェント/マリアンヌ・フェイスフル/ジュディ・デイヴィス/ジェイミー・ドーナン/リップ・トーン/スティーヴ・クーガン/ローズ・バーン●日本公開:2007/01●配給:東宝東和=東北新社●最初に観た場所:北千住・シネマブルースタジオ(17-05-02)(評価★★)
マリー・アントワネット (通常版) [DVD]

      
   



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和田泰明

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