【2568】 ○ ロアルド・ダール (田口俊樹:訳) 『キス・キス〔新訳版〕』 (2014/05 ハヤカワ・ミステリ文庫) 《(開高 健:訳) 『キス・キス―異色作家短編集〈1〉』 (1960/12 早川書房)》 ★★★★(◎ 「女主人」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」 ★★★★☆)

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「●「アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)」受賞作」の インデックッスへ(「女主人」) 「○海外サスペンス・読み物 【発表・刊行順】」の インデックッスへ「●TV-M (ロアルド・ダール原作)」の インデックッスへ「●アルフレッド・ヒッチコック監督作品」の インデックッスへ(「中年夫婦のために」)「●海外のTVドラマシリーズ」の インデックッスへ(「ヒッチコック劇場」「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」)

個人的ベスト3は、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。

ダール キス・キス.jpgキスキス_0269.JPGキス・キス ダール.jpgキス・キス (異色作家短編集).jpg キス・キス (異色作家短編集) 2005.jpg
Kiss Kiss』『キス・キス (ハヤカワ・ミステリ文庫)』(田口俊樹:訳)'14年新訳版(カバーイラスト:ハッタノリカズ) 『異色作家短篇集〈1〉キス・キス (1974年)』『キス・キス (異色作家短編集)』(開高健:訳)'74年改訂新版/'05年新装版
キス・キス ダールes1.jpg異色作家短編集1「キス・キス」ロアルド・ダール 旧版.jpgRoald Dahl.png 『キス・キス』はロアルド・ダール(Roald Dahl、1916-1990/享年74)の1946年刊行の第一短編集『飛行士たちの話』('81年/ハヤカワ・ミステリ文庫)、1953年刊行の第二短編集『あなたに似た人』('57年/ハヤカワ・ミステリ)に続く1960年刊行の第三短編集で、その後、1974年に第四短編集『来訪者』('89年/ハヤカワ・ミステリ文庫)が刊行されています。『キス・キス』は本邦では、1960年に早川書房より開高健(1930‐1989)の訳で「異色作家短篇集〈1〉」として刊行され('74年に改訂新版)、2005年に新装版が出ましたが、2014年にハヤカワ・ミステリ文庫で田口俊樹氏による新訳版がでました。
『異色作家短編集〈第1集〉キス・キス』ロアルド・ダール(開高 健:訳)(1960/12 早川書房)

「女主人」 "The Landlady"
 夜遅くようやく新しい赴任地に着いた17歳のビリーは、ふと目に入った『お泊りと朝食』という文字と値段の安さに惹かれてその家を滞在先に決める。そこには優しそうにみえる女主人がいた。宿帳を見るとそこに書いてある二人の名前に何となく見覚えが―。初っ端からブラック。徐々に真実が見えてくるところが怖いです。アメリカ探偵作家クラブ最優秀短編賞受賞作。この作品は、CBSで1955年から1962年に放映された「ヒッチコック劇場(Alfred Hitchcock Presents)」で第184話「ロンドンから来た男」(1961)(ヒッチコック劇場の「話数」は本邦のものを採用)として映像化されています。原作で17歳の主人公が22歳のちょうど大学を出るか出ないかくらいの若者(ディーン・ストックウェル)に変更されていて、冒頭、彼が酒場に立ち寄り、たまたま壊れた店のレジを直してあげるというエピソード付きで、意外としっかり者という感じ。泊まることにした宿の女主人(パトリシア・コリンジ)が終始機ヒッチコック 「サイコ」ノーマン.jpg嫌よく、その分怖さとユーモアが同居した(所謂ブラックAlfred Hitchcock 女主人011.jpgユーモアという感じか)作品でした。原作と同じく、女主人の意図を仄めかすところで終わっていますが、このことが原作の最大の上手さのポイントであり、それを生かしていると言えます。ちょっと「サイコ」('60年)を思い出しました。モーテル経営のノーマン青年も最初は親切な好青年として登場しますが、はく製作りが趣味らしいと分かったところから何だか不気味に見えてきます。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 19 #210."The Landlady"(1961)(「ロンドンから来た男」)
  
 また、BBCで1979年から1988年に放映されたドラマシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(Tales of the Unexpected)」では、全9シリーズ112話の内の、第1シリーズ第5話(全シリーズ通し番号。以下、同)「女主人」(1979)としてドラマ化されています。女主人(シヴォーン・マケナ)の宿にやってくる青年(レオナルド・プレストン)は18歳と、原作に近い設定で、ヒッチコック劇場版より頼りない感じ。女主人公の意図を仄めかすところTales of the Unexpected- The Landlady (1979).jpgで終わっている原作に対し、こちらは、彼女がこれから「仕事」にかかろうとするところまで映像化していて、原作の"ネタ"解説的になっています(先行する二人の犠牲者も出てくる)。しっかり者に見える青年が女主人の罠に落ちるヒッチコック劇場の方が上でしょうか。ロアルド・ダール劇場版はロアルド・ダールが冒頭解説で登場しているくらいですから、仮に「原作で描かれなかったその先」を映像化するとこうなるものとみていいのでしょう。
Tales of the Unexpected - The Landlady (1979)(「女主人」)

「ウィリアムとメアリー」 "William and Mary"
オックスフォードの哲学教授ウィリアムは癌に侵され、余命いくばくもなくなったとき、医師ランディに、脳だけを生かす実験に協力するよう頼まれ、これを受け入れて死んでいく。遺書で事の次第を読んだ妻のメアリイは、ランディ医師の病院に赴く―。ラストの妻が怖いです。自分が長年押さえつけていた妻からどういう目に遭うかということも考えておかなければならなかったということか。Tales of the Unexpected' - William and Mary.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第3話「ウィリアムとメアリー」(1979)としてドラマ化されています。ドラマではウィリアムが既に亡くなっているところから始まって、ランディ医師がメアリーにいろいろと状況を説明するようになっていますが、基本的には原作通りです(映像化作品を観ても新たな気づきがあるという感じではない)。ちょっと不気味ですが、最後のメアリーのタバコの吸いっぷりでユーモラスに締めたという感じでしょうか。
Tales of the Unexpected - William and Mary (1979)(「ウィリアムとメアリー」)

「天国への道」 "The Way up to Heaven"
8The Way Up to Heaven.jpg10The Way Up to Heaven.jpg フォスター夫妻はニューヨークの6階建の大邸宅に住む富豪で何不自由ない暮らしに見えるが、妻は夫の底意地の悪さに辟易している。その妻がパリにいる娘に会いに出かける日、フライトの時間に間に合わないと焦る妻は、まだぐずぐず屋敷内にいる夫を呼びに玄関まで来た。そして鍵を開けかけて、中から聞こえる音に耳をすまし、瞬時ためらったものの、そのまま夫を置き去りにして空港へと急ぐ。それから3週間。妻が自邸に戻ってみると、どうやら夫は―。これって、"未必の故意"?「ロアルドダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第9話でドラマ化(「天国へのエレベーター」(1979))されていて、「エデンの東」('55年)、「刑事コロンボ/別れのワイン」('73年)Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven.jpg8エデンの東ポスター.jpg天国へのエレベーター 000.jpgジュリー・ハリスが妻を演じています。ラストは暗示的な原作に対して、ああ、こーゆーことだったのかと"目に見える"結末となっていて、殆ど原作の"オチ"解説みたいな感じでした。つまり、彼女は、夫が乗っているはずのエレベーターが中空で停まっているのに気づいたけれど、知らない素振りをしたわけで、これは"未必の故意"以上かも。
Tales of the Unexpected - The Way up to Heaven(1979)(「天国へのエレベーター」)Julie Harris

「牧師の愉しみ」 "Parson's Pleasure"
 ロンドンの骨董商のボギス氏は、田舎の農家に掘り出し物があることを知り、怪しまれないように牧師の格好で家を訪れ、お目当ての家具を手に入れるために交渉する。今回は名人作の衣装戸棚が見つかり、これで大金持ちになり、業界での名声も得られると有頂天だったが、安く買い叩こうと「脚だけがほしいのだが...」と言ったのが運のつきで、車を取りに戻っている間に、売主は親切心から、戸棚の躯体部分を解体してしまう―。ダールの短編集でお馴染み、農家のラミンズ、バート、クロードの親子トリオが絶妙に可笑しいです。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第3シリーズ第31話でドラマ化(「アンティークの家具」(1980))されています。Parson's Pleasure 3.jpg原題タイトルは「牧師の愉しみ」ですが、骨董商ボギス氏が牧師に化けているのであっTales of the Unexpected - Parson's Pleasure.jpgて、ドラマでは、民家を訪ねたら本物の牧師が出てきて慌てるという場面が冒頭にあります。全体としては原作以上でも以下でもないですが、第6話「」にも執事役で出ていたジョン・ギールグッドの演技達者と、ラミンズ、バート、クロードの親子トリオが実写で見られるのが良いです。
Tales of the Unexpected - Parson's Pleasure(1980)(「アンティークの家具」)John Gielgud

「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」 "Mrs Bixby and the Colonel's Coat"
 ビクスビー夫人はニューヨークの歯科医の妻で、月に一度、伯母の介護という名目でボルチモアに出かけ、そこで「大佐」と呼ばれる渋い中年男との逢瀬を楽しんでいたが、やがて別れがやってきて、手切れ金代わりに高価なミンクのコートを貰う。彼女はコートを質屋に預け、質札を拾ったことにして夫への説明を切り抜けようとするが―。質屋にコートを自分で取りに行かなかったのが失敗原因ですが、夫も.........ということなのでしょう。この作品は「ヒッチコック劇場」で第193話「中年夫婦のために」(1960)としてドラマ化されています(「女性専科第一課 中年夫婦のために」)ヒッチコック劇場 中年夫婦のために 01.jpgヒッチコック劇場 中年夫婦のために 04.jpgヒッチコック劇場 中年夫婦のために tum.jpg。ヒッチコック自身が演出していて、原作がいいということもありますが、あらすじを知ったうえで観ていても楽しめました。主役のオードリー・メドウズはいかにもヒッチコックが好んで使いそうな感じの女優でした。
Alfred Hitchcock Presents - Season 6 Episode 1 #192."Mrs. Bixby and the Colonel's Coat"(1961)(「中年夫婦のために」)Audrey Meadows

Mrs Bixby and the Colonel's Coat.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコートロード.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコートロード  ド.jpg また、「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第1シリーズ第1話「南部から来た男」に続く第2話「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」(1979)としてドラマ化されています。これも「天国へのエレベーター」と同じくジュリー・ハリス主演ですが、「ヒッチコック劇場」版と比べると弱いか。
Tales of the Unexpected - Mrs Bixby and the Colonel's Coat(1979)(「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」)Julie Harris

「ロイヤルゼリー」 "Royal Jelly"
Royal Jelly.jpgRoyal Jelly book.jpg 若き養蜂家アルバート・テイラーは、子宝に恵まれたばかりだが、乳飲み児の娘の食が細くて、妻ともどもとても心配している。そこで彼は、ミルクにロイヤルゼリーを混ぜることを思いつき、娘の食欲を回復させることに成功したが、娘は次第に女王蜂さながらになってきて―。シュSusan George.jpgールな恐怖です。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第10話でドラマ化(「新案育児法」(1980))されていて、妻を「わらの犬」('71年)のスーザン・ジョージが演じています。コレ、原作のラストはSF仕立てになっているわけではなく、「ノイロ-ゼ妻」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。
Tales of the Unexpected - Royal Jelly(1980)(「新案育児法」)
Susan George
    
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy.jpg「ジョージー・ポージー」 "Georgy Porgy"
 私ことジョージー・ポージーは若い牧師だが、幼い頃の母親の異常な性教育のお蔭で女性恐怖症となり、女性と付き合ったことがまだ無い。だが、劣情は人一倍強く、教区の独身女性たちの誘惑も激しいため、それらを押し留めるのに苦慮している。そんな折、珍しく清楚で溌剌としてミス・ローチと巡り会い、勧められるままアルコールの飲み物を啜り、気分が高揚して勢いで彼女に迫るも、やり方が拙かったらしく、彼女はいたくおかんむり。私は思わず彼女の口の中に飛び込み、今やその十二指腸の上に小部屋を作って、ほとぼりが醒めるまでしばらくのんびりをJoan Collins GEORGY PORGY31.jpg決め込んでいる―。ということで、これも終盤いきなりシュールになりますが、ネズミを使って雄と雌でどちらが性欲が強いか実験しているのが可笑しかったでJoan Collins GEORGY PORGY.jpgす。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第18話でドラマ化(「ママの面影」(1980)されており、牧師を誘惑するジョーン・コリンズは、第6話「」(1979)にも不倫妻役で出ていましたが、今回は母親との一人二役が楽しめます。これも映像化作品のラストからみるに、原作の終わりの方は、主人公の「ノイロ-ゼ牧師」が幻覚妄想状態になっているということなのでしょう。教会に来た女性たち全員が裸に見える(笑)というあたりが伏線でしょうか。
Tales of the Unexpected - Georgy Porgy(1980)(「ママの面影」)Joan Collins
     
「始まりと大惨事―実話―」 "Genesis and Catastrophe"
 ドイツの国境に近い町で、一人の男の子が生まれる。母親にとっては4人目の子だが、これまでは皆幼くして亡くなってしまっていた。健やかに育ってと母親は祈るような気持ちだが、様子を見に来た酔っ払いの税官吏の夫は、子供の小ささを指摘する。見るに見かねた医者がふたりの仲をとりもち、子供の未来をともに祝福するようにと諭す。さてその子とは―。最後の方になって、「実話」(邦題のみに付されている)の意味が分かります。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中では、第2シリーズ第21話でドラマ化(「父親になる日」(1980))されていて、酔っ払いの父親をTales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe.jpgヘルムート・グリーム1.pngルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」('69年)で ナチ指揮官アッシェンバッハを演じたヘルムート・グリーム(「ルートヴィヒ」('69年)にも大佐の役で出ていた)が演じています(今回も税官吏と言うより軍人っぽい)。物語のオチは、原作以上に最後ぎりぎりまでわからないようになっています(ただ、原作を読み、オチを知っていて観るとイマイチか)。
Tales of the Unexpected - Genesis and Catastrophe(1980)Helmut Griem(「父親になる日」)

「勝者エドワード」 "Edward the Conqueror"
 ルイーザとエドワードは初老の夫婦。あるとき庭仕事をしていて、見慣れぬ猫を見つける。猫を家に入れTales of the Unexpected - Edward the Conqueror.jpgたまま、ルイーザがピアノEDWARD THE CONQUEROR.jpgを弾くと、猫はリストの曲に反応する。猫の顔にはリストと同じ位置にホクロがあり、ルイーザはこの猫がリストの生まれ変わりに違いないと思い込むが、エドワードは取り合わない。ルイーザが猫のために特別料理を用意している間、エドワードは猫を伴って庭に出て行く。料理が出来たが、肝心のリスト猫はどこなのか―。開高健は「暴君エドワード」と訳していますが、「暴君」としてしまうと、猫をリストの生まれ変わりだと思い込んで、夫そっちのけで猫に特別料理を作っている妻の方が「暴君」であるともとれるので、ここはやはり「勝者」が妥当でしょう。「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」の中で、第1シリーズ第7話「暴君エドワード」(1979)としてドラマ化されています。夫婦を演じたのは、「旅路」('58年)、「オリエン暴君エドワード.jpgト急行殺人事件」('74年)のウェンディ・ヒラーと「市民ケーン」('41年)、「第三の男」('49年)のジョセフ・コットン。これは原作を更にひと捻りしたのか、それともこれがそのまま原作の解題なのか、どちらにもとれるラストが微妙でした。原作との関係において"傑作"と言え、第1シリーズのエピなので、ロアルド・ダール自身の案でこうなったのかもしれません。
Tales of the Unexpected - Edward the Conqueror(1979)(「暴君エドワード」)Joseph Cotten

「豚」 "Pig"
ダール キス・キス.jpg レキシントンは生後2ヶ月で孤児となり、大叔母に育てら、菜食主義者の彼女の手ほどきで料理を習い、腕前をめきめき上げた。その叔母が死ぬと、遺言に従いニューヨークに行って、さらに料理修行に励むつもりだった。ところが、菜食しかしていないレキシントンは、はじめて食べた豚肉の旨さにとりつかれる。豚肉の仕入先を求めて、屠殺場に赴くが、どうしたことか豚を絞め殺すためのベルトコンベアーに乗せられてしまう―。最後、やはりシュールでした。

Kiss Kiss

「世界チャンピオン」 "The Champion of the World"
ダニーは世界チャンピオン.jpg ガソリンスタンドの共同経営者クロードとゴードンは、ミスター・ヘイゼル所有の森で密猟をすることする。ミスター・ヘイゼルは成金で、上流階級に入り込むための手段として、年に一度、自分の森でキジの狩猟会を催している。その前に、睡眠薬入りのレーズンを使った狩猟法でごっそりキジをせしめ、ヘイゼルの鼻を明かしてやろうというわけだ。ことは予定通り進んだはずだったが―。開高健訳では「ほしぶどう作戦」。「クロードの犬」のクロードとゴードンがまたも登場し、何か企みをするのも同じですが、「クロードの犬」の時は金儲けのためでしたが、今回は成金の鼻を明かすため。そして、今回も失敗でした(おそらく逃げたキジは森に帰るのだろう)。因みに、この話はロアルド・ダール自身によって児童文学として翻案されていて、『チョコレート工場の秘密』などのロアルド・ダールの児童文学作品の代表的挿画家であるクェンティン・ブレイクの挿絵入りで子どもが読めるものとなっています。
ダニーは世界チャンピオン (ロアルド・ダールコレクション 6)

"Landlady(全文)
Roald Dahl The Landlady 2.jpgMrs Bixby and the Colonel's Coat cover.jpg 全体の中で個人的には「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「豚」が良かったでしょうか。順位をつければ、①「女主人」、②「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」、③「豚」。「女主人」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」はヒッチコック劇場版の映像化作品(それぞれ「ロンドンから来た男」「中年夫婦のために」)も良かったです(映像化作品では「中年夫婦のために」が一番か)。好みはおそらく人によって違ってくると思いますが、「ウィリアムとメアリー」「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」「天国への道」に見られるように夫婦物は押しなべてブラックで、訳者あとがきで「O・ヘンリーの名短編集『賢者の贈り物』に出てくるような中睦まじくも麗しい夫婦とは言えない夫婦ばかりで、そのあたりがいかにもダールである」(笑)とあり、まさにその通りでした。
     
        
         
        
The Landlady
ロンドンから来た男()_.jpg
ロンドンから来た男 02.jpg「ヒッチコック劇場(第184話)/ロンドンから来た男●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 19-#210)THE LANDLADY●制作年:1961年●制作国:アメリカ●本国放映:1961/02/21●監督:ポール・ヘンリード●脚本:Robert Bloch●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/パトリシア・コリンジ/ディーン・ストックウェル/Laurie Main●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
          
The Landlady  imdb.jpgロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第5話)/女主人●原題:Tales of the Unexpected -THE LANDLADY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/21●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「女主人」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/シヴォーン・マケナ/レオナルド・プレストン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)
      
ウィリアムとメアリー メアリー.jpgウィリアムとメアリー ドクター.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第3話)/ウィリアムとメアリー●原題:Tales of the Unexpected -WILLIAM AND MARY●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/07●監督:ドナルド・マクウィニー●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ウィリアムとメアリー」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/エレイン・ストリッチ/マリウス・ゴーリング/リチャード・ハンプトン/ジミー・マック●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

The Way Up to Heaven h.jpgThe Way Up to Heaven 5.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第9話)/天国へのエレベーター●原題:Tales of the Unexpected -THE WAY UP TO HEAVEN●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/05/19●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「天国への道」●時間:24分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/ローランド・カルヴァー/アンガス・マッケイ/ジェレミー・ロングハースト●日本放映:1980/06●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
     
Parson's Pleasure s.jpgParson's Pleasureード.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第31話)/アンティークの家具●原題:Tales of the Unexpected -PARSON'S PLEASURE●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集.jpg放映:1980/11/30●監督:ジョン・ブルース●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「牧師の愉しみ」●時間:27分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョン・ギールグッド/バーナード・マイルズ/リー・モンタギュー/ゴッドフリー・ジェームス●DVD発売:2006/09●発売元:JVD(評価★★★☆)
ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 第三集 [DVD]」(「負け犬」「動かぬ証拠」「最高の同居人」「死者の悪口にご用心」「隠された悪意」「アンティークの家具」「音響捕獲機」「満ち潮」「望みすぎた女」「パーティ」「妻の遺産」「おとり捜査」)

Mrs. Bixby and the Colonel's Coat
ミセス・ビクスビーと大佐のコート 1960.jpg中年夫婦のために (1).jpg「ヒッチコック劇場(第193話)/中年夫婦のために●原題:Alfred Hitchcock Presents(S 6 E 1-#192)MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1960中年夫婦のために   (1).jpg年●制作国:アメリヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック.jpgカ●本国放映:1960/09/27●監督:アルフレッド・ヒッチコック●脚本:Halsted Welles●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:30分●出演:アルフレッド・ヒッチコック(ストーリーテラー)/オードリー・メドウズ/レス・トレメイン/ステファン・チェイス/サリー・ヒューズ/ハワード・ケイン●日本放映:「ヒチコック劇場」(1957-1963)●放映局:日本テレビ(評価★★★★)
ヒッチコック劇場 第ニ集 バリューパック [DVD]」【Disc1】「兇器」「亡霊の見える椅子」「女性専科第一課 中年不夫婦のために」所収

ヴィクスビー夫人と大佐のコート32.jpgヴィクスビー夫人と大佐のコート33.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第2話)/ヴィクスビー夫人と大佐のコート●原題:Tales of the Unexpected -MRS. BIXBY AND THE COLONEL'S COAT●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/03/31●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「ミセス・ビクスビーと大佐のコート」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジュリー・ハリス/マイケル・ホーダーン/リチャード・グリーン/フレデリック・ファーリー/サンドラ・ペイン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★☆)
Julie Harris/Sandra Payne
Susan George
10 新案育児法 Tales of the Unexpected  Royal Jelly.jpg10 新案育児法  Royal Jelly.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第10話)/新案育児法●原題:Tales of the Unexpected -ROYAL JELLY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/03/01●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ロイヤルゼリー」●時間:26分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ティモシー・ウェスト/スーザン・ジョージ/アンドリュー・レイ●日本放映:1980/07●放映局:東京12チャンネル(現テレビ予期せぬ出来事 第二集 BOX.jpg東京)(評価★★★☆)

予期せぬ出来事 第二集 BOX [DVD]」(「永遠の名作」「見知らぬ乗客」「ママの面影」「或る夜の事件」「新案育児法」「ヒッチハイク」「父親になる日」「男の夢」「疑惑」「ハエとり紙」「骨董屋の結婚」「太りすぎに注意」)
       
ママの面影.png18ママの面影Georgy Porgy.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第18話)/ママの面影●原題:Tales of the Unexpected -GEORGY PORGY●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1980/04/26●監督:グレアム・エヴァンズ●脚本:ロビン・チャップマン●原作:ロアルド・ダール「ジョージー・ポージー」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ジョーン・コリンズ/ジョン・アルダートン/ラリー・バウワーズ/マーガレッタ・ス>コット●日本放映:1980/07●放映局:東京12Joan Collins  pin-nap.jpgチャンネル(現テレビ東京)(評ジョーン・コリンズ  001.jpgGeorgy Porgy Joan Collins.jpgジョーン・コリンズ 002.jpg価★★★☆)

Joan Collins(pin-up/1980 in GEORGY PORGY/2012.Age79)

           
21 父親になる日 Genesis and Catastrophe.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第21話)/父親になる日●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1980年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/17●監督:ハーバート・ワイズ●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「始まりと大惨事―実話―」●時間:25分●出演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ヘルムート・グリーム/Zhivila Roche/ハナ・マリア・プラブダ/Alastair Llewellyn/グラハム・シード●日本放映:1980/08●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★)

暴君エドワード EDWARD THE CONQUEROR.jpg07暴君エドワード Edward the Conqueror.jpg「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事(第7話)/暴君エドワード●原題:Tales of the Unexpected -EDWARD THE CONQUEROR●制作年:1979年●制作国:イギリス●放映局:BBC●本国放映:1979/05/05●監督:サイモン・ラングトン●脚本:ロナルド・ハーウッド●原作:ロアルド・ダール「勝者エドワード」●時間:30分●出ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事 dvd.jpg演:ロアルド・ダール(Self-Introduced)/ウェンディ・ヒラー/ジョゼフ・コットン/フィル・ブラウン●日本放映:1980/05●放映局:東京12チャンネル(現テレビ東京)(評価★★★★)

予期せぬ出来事 3枚組BOX [DVD] JVDD1157」(「南から来た男」「ヴィクスビー夫人と大佐のコート」「ウィリアムとメリー」「おとなしい凶器」「女主人」「首」「暴君エドワード」「海の中へ」「天国へのエレベーター」)
 
  

Alfred Hitchcock Presents.jpgヒッチコック劇場00.jpgヒッチコック劇場01.jpgヒッチコック劇場_0.jpg■TVシリーズ「ヒッチコック劇場」Alfred Hitchcock Presents (CBS 1955.10.2~62.7.3)○日本での放映チャネル:日本テレビ(1957~63)声:熊倉一雄(アルフレッド・ヒッチコック)
 Alfred Hitchcock Presents  

Tales of the Unexpected  1979.jpgTales of the Unexpected.jpgロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事 第二集 全4巻.jpg■TVシリーズ「ロアルド・ダール劇場 予期せぬ出来事」Tales of the Unexpected (BBC 1979.3.24~88.5.13)○日本での放映チャネル:東京12チャンネル(現テレビ東京)(1980)/ミステリチャンネルなど
●「ロアルド ダール劇場 予期せぬ出来事」東京12チャンネルで1980年放映時のラインアップ(本国での全9シリーズ112作中)()内は放映時タイトル。
1 南から来た男 Man From the South [#1]
2 ヴィクスビー夫人と大佐のコート Mrs Bixby and the Colonel's Coat [#2]
3 ウィリアムとメリー(永遠の結婚) William and Mary [#3]
4 おとなしい凶器 Lamb to the Slaughter [#4]
5 女主人 The Land lady [#5]
6 首 Neck [#6]
7 暴君エドワード Edward the Conqueror [#7]
8 海の中へ(イチかバチか) A Dip in the Pool [#8]
9 天国へのエレベーター The Way Up to Heaven [#9]
10 永遠の名作 Skin [#11]
11 見知らぬ乗客 Galloping Foxley [#12]
12 ママの面影 Georgy Porgy [#18]
13 或る夜の事件 Poison [#14]
14 新案育児法 Royal Jelly [#10]
15 ヒッチハイク The Hitch-Hiker [#13]
16 父親になる日 Genisis and Catastorophe [#21]
17 男の夢 Mr Botibol's First Love [#22]
18 疑惑 The Umbrella Man [#20]
19 ハエとり紙 The Flypaper [#26]
20 骨董屋の結婚 The Ordery World of Mr. Appleby [#24]
21 太りすぎにご注意 Fat Chance [#15]
22 顔役 The Man at the Top [#25]
23 クリスマスに帰る Back for Christmas [#23]
24 風景画 A Picture of a Place [#27]
25 負け犬 The Stinker [#32]
26 動かぬ証拠 Shattorproof [#40]
27 最高の同居人 The Best of Everything [#38]
28 死者の悪口にご用心 Never Speak Ill of the Dead [#42]

【1960年単行本・1974年改訂新派版[早川書房・異色作家短編集〈1〉(開高健:訳)]・2005年新装版[早川書房(開高健:訳)]/2014年文庫化[ハヤカワ・ミステリ文庫(田口俊樹:訳)]】

《読書MEMO》
●早川書房・異色作家短篇集(新装版刊行年/写真は旧・改訂新版)
異色作家短編集.jpg1.ロアルド・ダール『キス・キス』開高健訳、2005年
2.フレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』星新一訳、2005年
3.シオドア・スタージョン『一角獣・多角獣』小笠原豊樹訳、2005年

4.リチャード・マシスン『13のショック』吉田誠一訳、2005年
5.ジョルジュ・ランジュラン『蠅』稲葉明雄訳、2006年
6.シャーリイ・ジャクスン『くじ』深町眞理子訳、2006年
7.ジョン・コリア『炎のなかの絵』村上啓夫訳、2006年
8.ロバート・ブロック『血は冷たく流れる』小笠原豊樹訳、2006年
9.ロバート・シェクリイ『無限がいっぱい』宇野利泰訳、2006年
10.ダフネ・デュ・モーリア『破局』吉田誠一訳、2006年
11.スタンリイ・エリン『特別料理』田中融二訳、2006年
12.チャールズ・ボーモント『夜の旅 その他の旅』小笠原豊樹訳、2006年
13.ジャック・フィニイ『レベル3』福島正実訳、2006年

14.ジェイムズ・サーバー『虹をつかむ男』鳴海四郎訳、2006年
15.レイ・ブラッドベリ『メランコリイの妙薬』吉田誠一訳、2006年
16.レイ・ラッセル『嘲笑う男』永井淳訳、2006年
17.マルセル・エイメ『壁抜け男』中村真一郎訳、2007年

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