【2558】 ○ リュック・ベッソン 「グラン・ブルー (グレート・ブルー)」 (88年/仏・伊) (1988/08 20世紀フォックス) ★★★★

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海に対するリュック・ベッソン監督の思い入れが、美しい映像に結実。ラストが印象的。

グラン・ブルー オリジナル版.jpg  グレート・ブルー_01.jpg グラン・ブルー 完全版.jpg  グランブルー.jpg
オリジナル版/編集版/完全版 「グラン・ブルー オリジナル版 ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]」「グレート・ブルー」「グラン・ブルー 完全版 ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]」ジャン=マルク・バール

グラン・ブルーs.jpg ギリシャのキクラーデス諸島で1965年に8歳のジャック・マイヨールはエンゾと出会った。そこで二人は初めて素潜りを競うが、翌日にダイバーであるジャックの父の死を目撃し大きな衝撃を受ける。12年後グラン・ブルー 00.jpgの1987年、一流のダイバーとなったエンゾ(ジャン・レノ)は、稼いだ金をつぎ込んでジャック(ジャン=マルク・バール)の行方を探していた。ジャックと共にダイビング選手権に出場して勝利することがエンゾの夢だった。別なところでニューヨークで働く保険調査員ジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は、自動車事故の調査でペルー・アンデス山脈の高地にいた。そこで彼女は、氷結した湖に酸素ボンベもなしに数十分も潜水するジャックに出会う。彼こそがエンゾが捜していた少年ジャックの成長した姿であり、彼は水族館のイルカだけを友として静かに暮らグラン・ブルーes2.jpgしていた。ジョアンナは彼の不思議な魅力に惹かれ、ペルーから故郷へ帰ったジャックの後を追いかグラン・ブルー  04.jpgけるようにヨーロッパへ旅に出る。やがてエンゾはジャックをシチリアの競技会に連れ出すが、そこでのダイビングでジャックに敗れてしまう。ジャックへの対抗心に燃えるエンゾは、無謀な記録に挑んだ挙げ句に命を落としてしまう。その魂に引かれるかのように、ジャックも深夜の海に一人潜って行こうとする。彼を愛し子供を宿したジョアンナはジャックを引き留めようとするも、彼の海への想いを止めることは叶わなかった。やがて人間の限界を超える深海に達したジャックの目の前に一匹のイルカが現われ、彼を底知れぬ深淵へと誘って行った―。

グラン・ブルー 01.jpg リュック・ベッソン監督(1959年生まれ)の1988年 公開作で、ベッソン監督の両親はともにスキューバダイビングのインストラクターであり、ベッソン自身もダイバーとして過ごしましたが、17歳のときに潜水事故に遭いスキューバダイビングが出来なくなったそうです。映画ではスキューバダイビンググラン・ブルーes.jpgグラン・ブルー08.jpgではなくフリーダイダイビングを扱っていますが、海に対するベッソン監督の思い入れが、美しい映像に結実した作品ではないかと思われ、特にラストの主人公がイルカに誘われるように深海に身を委ねるグラン・ブルー bl.jpgグラン・ブルー_3.jpgシーンは印象に残りました(ロケは主にギリシャのキクラデス諸島アモルゴス島やシチリア島のリゾート地タオルミーナで行われた)。

グラン・ブルー02.jpg 世界的なフリーダイバーのジャック・マイヨール(フランス人)とエンゾ・マイオルカ(イタリア人)がモデルグラン。ブルーs.jpgとなっていますが、ジャック・マイヨールは「ジャック・マイヨール」のままの役名でクレジットされているのに対し、ジャン・レノが演じたエンゾは「エンゾ・モリナーリ」の名でクレジットされています。因みに、この作品はジャック・マイヨール自身の自伝を基グラン・ブルー 06.jpgにしているとのことですが、ジャックとエンゾの相互の友情が描かれているものの、ジャックが温厚で素直だが孤独でイルカを友とする青年として描かれているのに対し、エンゾの方はプライドが高くかなり癖のある人物として描かれており、これをジャン・レノが演じて、結果として当時日本ではあまり知られていなかったジャン・レノが、主役のジャン=マルク・バールや、知名度抜群のロザンナ・アークエットよりも印象に残るものとなっています。

ジャック・マイヨール.jpg 因みに、ジャック・マイヨール(1927-2001)は、1976年、49歳で人類史上初めて素潜りで100メートルを超える記録を作り、55歳の時には105メートルを記録していますが、映画では時代を少し後にして、逆に年齢の方は30年分若くしている感じでしょうか(映画でのジャックは1965年時点で8歳という設定になっている)。テレビでジャック・マイヨールがプールに潜って座禅を組んでいる間に脈拍数など体がどのように変化するかをやっていたのを見たことがありますが、その頃は気骨はあるが気のいい老人といった感じだったでしょうか。まさか、その何年か後に74歳で首吊り自殺を遂げるとは思ってみませんでしたが、うつ病を患っていたようです。

エンゾ・マイオルカ.jpg 一方のエンゾ・マイオルカ(1931-2016)は、映画の「エンゾ・モリナーリ」ように無理なダイビングをグラン・ブルー ジャック・マイヨール&エンゾ・マイオルカ.jpgして亡くなったわけではなく、実際には一命を取り留め、医師から潜水を禁じられて一線を退き、昨年['16年]11月85歳で亡くなっています。この映画については生前、「監督と同じフランス人であるジャック・マイヨールを主役にしているため、マイヨールは本人より美化され、自分は悪く描かれている」との発言をしています。実際マイヨールは、饒舌で自己主張が強く、怒りっぽい人物だったと言われています。

Jacques Mayol & Enzo Maiorca

1992年版VHS
グレート・ブルー vhs_.jpg この映画は、'88年公開時は「グレート・ブルー」というタイトルの120分英語版でした。有楽町の日劇プラザで公開日の1週間後に観ましたが、公開後2週間で打ち切りとなっています(新宿プラザ劇場は1週間で打ち切り)。フランスでも公開時は惨憺たる興行成績だったのが、その後じわじわとカルト的な人気が出てきたとのことです。それを受けて日本でも'89年にセルビデオが発売されると同じように人気が出て、'92年に「グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版」がシネセゾン渋谷で独占グラン・ブルー 日本人.jpg公開されています(同時にビデオも発売)。「グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版」は、個人的には'94年にビデオで観ましたが、「グレート・ブルー」が英語版だったのに対して、こちらは48分の未公開シーン(変な日本人ダイビング・チームとかも出てくる)を加えて再編集した168分のフランス語版でした。最近、132分のオリジナル版「グラン・ブルー」を劇場で観ましたが、これはフランス国内で最初に公開された版で、この映画は元々国際マーケットグレート・ブルー ビデオ.jpg向けに製作されたものでセリフはすべて英語だったものを、俳優本人たちがフランス語に吹替えたものです(変な日本人ダイビング・チームはやはり出てくる)。要するに、最初に観た「グレート・ブルー」(変な日本人ダイビング・チームは出てこない)は、国際マーケット向けに製作された132分英語版を12分縮めたものだったのだということを初めて知りました(カットされた12分の中に変な日本人ダイビング・チームの話があったことになる。やはり、日本公開に向けて配給会社側が配慮したのか)。

1998年版VHS

ギリシア・アモルゴス島 海岸、町の風景と難破船
グランブルー ロケ地 アモルゴス1.jpg グランブルー  アモルゴス島s.jpg グランブルー ロケ地 アモルゴス2.jpg
イタリア・シチリア島タオルミーナとホテルのテラスレストラン
グランブルー ロケ地 タオルミーナ.jpg グランブルー ロケ地 シチリア.jpg

ロザンナ・アークエット in「グラン・ブルー」(1988)/in「アフター・アワーズ」(1985) with グリフィン・ダン
グラン・ブルー ロザンナ・アークエット1.jpg グラン・ブルー ロザンナ.jpg  『アフターアワーズ』.jpg

LE GRAND BLEU 1988.jpgグラン・ブルー 90.jpg「グラン・ブルー(グレート・ブルー)」●原題:LE GRAND BLEU(BIG BLUE)●制作年:1988年●制作国:フランス・イタリア●監督:リュック・ベッソン●製作:パトリス・ルドゥー●脚本:リュック・ベッソン/ロバート・ガーグラン・ブルー  03.jpgランド●撮グラン・ブルー44.JPG影:カルロ・ヴァリーニ●音楽:エリック・セラ●時間:132分(オリジナル版)/120分(編集版(「グレート・ブルー」))/168分(完全版)●出演:ロザンナ・アークエット/ジャン=マルク・バール/ジャン・レノ/ポール・シェナー/セルジオ・カステリット/マルク・デュレ/ジャン・ブイーズ/グリフィン・ダン●日本公開:1988/08●配給:20世紀フォックス●最初に観た場所(「グレート・ブルー」):有楽町・日劇プラザ(88-08-27)●2回目(「グラン・ブルー」):北千住・シネマブルースタジオ(17-06-12)(評価★★★★)

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和田泰明

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