【2512】 △ 荒井 良平 (原作:陣出達朗) 「エノケンの豪傑一代男 (豪傑一代男)」 (1950/10 新東宝=エノケンプロ) ★★★

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戦後久しぶりの時代劇で役者もスタッフも張り切って作ったという感じ。

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豪傑一代男 [DVD]

エノケンの豪傑一代男36.JPG 時は戦国、三方ヶ原の戦いで、武田方に敗れ敗走する徳川家康(田中春男)と家康の家臣・鬼姫弥九郎太(榎本健一)の主従(DVD解説では「関ケ原の戦いで豊臣の軍勢を破って勝利を収めた徳川家康」とあるが、後から信長が出て来るためこれは誤り)。小柄な弥九郎太は家康を背負ったまま兜がずれて前が見えなくなり、足を滑らせ家康を川へ落としてしまう。その責任をとって腹を切ろうとするも家康に止められる弥九郎太の「豪傑」ぶり。家康は、今や破竹の勢いである織田信長(岡譲二)から、信長所縁の寺への寄進を命じられエノケンの豪傑一代男52.JPGていたが、財政難のためそれを先延ばししていたことから、信長と一発触発の状況にあったため、今は家臣を大事にしたい。一方、無学で女嫌いで嫁を取るくらいなら腹を切るという弥九郎太は、村はずれで子供らに読み書きを教えている親友の伊織(森健二)と恋仲にある松平家の優しい次女・美雪(山本照子)との縁結びを引き受け、エノケンの豪傑一代男49.JPG美雪の父・松平内蔵助(瀬川路三郎)に「娘を嫁に」と掛け合って、内蔵助と木刀勝負して打ちのめす。内蔵助は弥九郎太の豪傑ぶりに惚れ込み、「娘を嫁に」という弥九郎太の言葉を、弥九郎太自身が娘を嫁に欲しがっていると勘違い。加えて松平家には勝気な長女・糸路(山本和子)がいて、姉妹がそっくりの双子だっために、縁談はもとより、弥九郎太を娘婿に望む小寺十内(渡辺篤)も加わって、間違い続きの恋愛騒動が展開する。そんな中、弥九郎太は家康から信長との対立を仲裁する特使に選ばれる―。

エノケンの豪傑一代男55.JPG 1950(昭和25)年公開作で、GHQ統治下におけるヤンバラ禁止令が戦後6年目でやっと解かれて作られた荒井良平(1901-1980)監督の時代映画監督復帰第一作です(因みに、エノケンが出演した黒澤明監督の「虎の尾を踏む男達」(1945/09 完成)の公開はこの更に2年後の1952年だった)。1981(昭和56)年の第6回湯布院映画祭で上映されて以来、VHS化もされなかったのが、2005年にリバイバルDVD化され、2009年には「新東宝大全集」の中の1作としてシネマート六本木で上映されています。

エノケンの豪傑一代男37.JPG 久しぶりの時代劇で役者もスタッフも張り切って作ったという感じで、セットなどもなかなか豪華です。エノケンもただ飛び回っているだけではなく、早馬に乗ったり刀や木刀を振るったりと存分にアクションをしています。ストーリーもまずまずのテンポでエノケンの豪傑一代男44.JPG進みますが、弥九郎太の勘違い騒動を最後まで引っ張ったのが良かったのかどうか。ただ、松平家の長女・糸路と次女・美雪を演じた山本和子と山本照子という女優は本物の双子なのでしょう、すごく似ていて、観ていて弥九郎太ならずとも最後まで区別がつきませんでした。

エノケンの豪傑一代男42.JPG 何でもかんでもすぐに「腹を切る」というのが果たして「豪傑」と言えるのかどうかというのはありますが、ラスト、弥九郎太が伊織と美雪の結婚式の仲人を務めたつもりが、いつのまにか自分自身も糸路と結婚式を挙げさせられていたというのが可笑しく、それでも弥九郎太が自分は結婚しないと強情を張るのは、ここまで来ればもうある種の照れ隠しであるということなのでしょう。となると、タイトルにある「一代男」も、最終的には"返上"されるものであること示唆して終わっているように思いました。

 DVD化されて、画質の面では良好ですが、エノケンの作品はやはり戦前のものの方が若干テンポがいいかなあという感じでした。

エノケンの豪傑一代男50.JPG「エノケンの豪傑一代男 (豪傑一代男)」●制作年:1950年●監督:荒井良平●脚本:秋篠珊次郎●撮影:友成達雄●音楽:栗原重一●原作:陣出達朗●時間:81分●出演:榎本健一/岡譲二/山本和子/山本照子/田中春男/森健二/瀬川路三郎/清川荘司/渡辺篤/大倉文雄/田島辰夫/曽根通彦/弘松三郎●公開:1950/10●配給:新東宝=エノケンプロ(評価:★★★)



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