【2440】 ○ ビレ・アウグスト (原作:ヴィクトル・ユゴー) 「レ・ミゼラブル」 (98年/米) (1999/02 ソニー・ピクチャーズ) ★★★☆

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演技陣は皆悪くなかった。バルジャンとジャベールに焦点。他を'端折った'感は否めない。

レ・ミゼラブル [DVD].jpg レ・ミゼラブル 1998 03.jpg  レ・ミゼラブル 1998 84.jpg
レ・ミゼラブル [DVD]」ジェフリー・ラッシュ(ジャベール警部)/リーアム・ニーソン(ジャン・バルジャン)

レ・ミゼラブル 1998 バルジャン.jpgレ・ミゼラブル 1998 fannte-nu .jpg ビレ・アウグスト監督による1998年作品で、ジャン・バルジャンが「シンドラーのリスト」('93年/米)でオスカー・シンドラーを演じたリーアム・ニーソン、ジャベール警部が「シャイン」('96年/豪)でアカデミー主演レ・ミゼラブル 1998 じゃベール.jpg男優賞をを受賞したジェフリー・ラッシュ(オーストラリア人初の演技部門でのオスカー受賞者)、ファンテーヌが「パルプ・フィクション」('94年/米)でアカデミー助演女優賞にノミネートされたユマ・サーマン、コゼットが「アンジェラ 15歳の日々」でレ・ミゼラブル 1998  ゴゼット.jpgゴールデングローブ賞主演女優賞(テレビドラマシリーズ部門)を受賞したクレア・デインズと、配役は何れも手堅い演技派で固めたという感じで、また、実際レ・ミゼラブル 1998 5.jpg、この作品での演技はそれぞれが良かったです(中でもジェフリー・ラッシュのジャベール警部がピカイチか。でも、幼少期のコゼットを演じた子役ミミ・ニューマンも含め、皆悪くなかった)。

レ・ミゼラブル 1998 02.jpg 残念だったのは脚本でしょうか(序盤で銀器を盗むのを'司教に見られた'バルジャンが司教を'殴り倒して'逃走するところから、ええっと思ったのだが)。2時間を少しだけ超えるくらいに収めるためか、全体にかなり端折っています

 まず、エポニーヌ(バルジャンの運営する工場を解雇されたファンテーヌの娘コゼットが預けられていた宿屋テナルディエ一家の娘。大人になってコゼットの恋人マリウスに一方的に恋をし、一時2人の恋路を邪魔するが、最期はマリウスを守って自らは犠牲となる)が、子役は出てますが大人になってから出てきません(ミュージカルなどでは結構なウェイトを占めるエポニーヌの悲恋話がすっぽり抜けていることになる)。

レ・ミゼラブル 1998 mariusu .jpgレ・ミゼラブル 1998 abc.jpg それから、マリユスが反政府派である共和派の秘密結社ABC(アー・ベー・セー)の首領になっています(本来はマリユスも主要メンバーではあるが、首領はアンジョルラス)。だとしたら、司令官が決戦を前にしてそうちょくちょく恋人に会いにいくのは難しいのではないかと思ってしまうのですが、これがちょくちょく会いに行く―そうしたマリユスをしばしば牽制するアンジョルラスの役は、それはそれで黒人のレニー・ジェームズが演じている―といった具合です。

「レ・ミゼラブル」 (98年/米) .jpg ジャベールが、同じ自殺するにしても、バルジャンの見ている前で自らの命を絶つというのも原作やミュージカルとは異なり(罪人にするはずだった手錠を自身にして川へ身を投げたことに監督の解釈が示唆されているようだが)、また、原作ではジャベールの死後も話はまだまだ続くところを、ミュージカルではそこのところはかなり圧縮されていますが、それがこの作品では「圧縮」どころか、ジャベールの死を以って映画は終わってしまいます(「‎Wikipedia」によれば、「本作ではジャン・バルジャンとジャベールの関係に焦点が絞られている。そのため、ジャベール警部の身投げと共に映画は幕を閉じる」ということらしい。成人後のエポニーヌは全く登場しないのも同様の理由によるようだ)。何度も映画化されている作品なので、オリジナルの視点があってもいいとは思いますが、ジャベールの死を以って終わるのはともかく、最後にバルジャンが浮かべる笑みの意味がイマイチよく分かりませんでした。

レ・ミゼラブル 1998 684.jpg また、後の方をカットしているために、バルジャンの秘密をマリユスが知るのは、コゼットとの結婚式の後にバルジャンから知らされるのではなく、反政府派のバリケード内に潜入しようとして捕まってしまったジャベールの口から知らされるという展開になっていて、更には、反政府運動の最中に負傷した自分を担ぎ、官憲の目を逃れるため下水道を通って包囲網を突破し救ってくれたのは誰かという、マリユスにとっての謎解きは、バルジャンの死の間際になってマリユスは初めて全てを知るというのではなく、そもそもそうした謎は最初からカットされています(これだと、父娘が離れ離れに暮らす理由は無くなるのでは? まあ、この映画では後のことはどうなったか分からないわけだが)。

 長さ的には、自分が観たものでは、ジャン=ポール・ル・シャノワ監督、ジャン・ギャバン主演の「レ・ミゼラブル」 ('57年/仏・伊)が186分で、トム・フーパー監督、ヒュー・ジャックマン主演のミュージカルの映画化である「レ・ミゼラブル」 ('12年/英)は158分でした。ミュージカルが通常3時間強ですからこれでもやや圧縮していますが、この作品は、134分という長さの割にはかなりの「'端折った'感」があるのはどうしてでしょうか。ミュージカル版と比べるのではなく(例えば、ジャベールの死を本作品はロジックで説明しているが、ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル版では感情で表しているため時間がかからない(?))、ジャン・ギャバン主演の「レ・ミゼラブル」のような通常版同士で比べるべきなのかもしれません(134分/186分=72%)。

レ・ミゼラブル.jpgレ・ミゼラブル 1998 04.jpg このように気になった点は多くありましたが、原作に忠実なところの方が当然に多い訳で、やはりあの「レ・ミゼラブル」だけあって見ているうちに引き込まれ、この作品だけ観る分には楽しめます。但し、先に原作を読んだり、ミュージカルを観ていたりすると、今度はどこが端折られるのか...といった方向につい気持ちが行ってしまう、そんな映像化作品でした。

レ・ミゼラブル 1998 title2.jpg「レ・ミゼラブル」●原題:LES MISERABLES●制作年:1998年●制作国:アメリカ●監督:ビレ・アウグスト●製作:サラ・ラドクリフ/ジェームズ・ゴーマン●脚本:ラファエル・イグレシアス●撮影:ヨルゲン・ペルソン●音楽:ベイジル・ポールドゥリス●原作:ヴィクトル・ユゴー●134分●出演:リーアム・ニーソン/ジェフリー・ラッシュ/ユマ・サーマン/クレア・デインズ/ミミ・ニューマン/ハンス・マシソン/ジョン・ケニー/ジリアン・ハンナ/シルヴィ・コヴィルィズコヴァ/シェイン・ハーヴィ/レニー・ジェームズ/ジョン・マッグリン/リーネ・ブリュノルフソン/ピーター・ヴォーン●日本公開:1999/02●配給:ソニー・ピクチャーズ(評価:★★★☆)

ユマ・サーマン パルプフィクション.jpgレ・ミゼラブル 1998 ファンテーヌ.jpgユマ・サーマン キルビル.jpg ユマ・サーマン in 「パルプ・フィクション」('94年)/「レ・ミゼラブル」('98年)/「キル・ビル Vol.1」('03年)

       



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