【2434】 ○ ノーマン・ジュイソン (原作:リチャード・ジェサップ) 「シンシナティ・キッド」 (65年/米) (1965/10 MGM映画) ★★★☆

「●さ行の外国映画の監督①」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2435】 ノーマン・ジュイソン 「華麗なる賭け
「●スティーブ・マックイーン 出演作品」の インデックッスへ 「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ

マックイーンのチャレンジ度は高い。演技陣が充実しているだけに、ラストがやや惜しい。

シンシナティ・キッド パンフレット.jpg シンシナティ・キッド dvd.jpg  シンシナティ・キッド  s.jpg
シンシナティ・キッド [DVD]

シンシナティ・キッドa0-s.jpg ニューオーリンズの町に、その世界で30年も君臨するポーカー・プレイヤーの大物"ザ・マン"ことランシー・ハワード(エドワード・G・ロビンソン)がやって来た。自身もポーカーの名手であるシンシナティ・キッドことエリック・ストーナー(スティーブ・マックイーン)は、いつかランシーと手合わせをと考えていた。キッドは早速この社会の長老格シューター(カール・マルデン)にその機会を頼むが、シューターはキッドの自信過剰をたしなめる。かくしてキッドはランシーとの対戦に臨むが―。

 リチャード・ジェサップ原作の小説の映画化作品で1965年公開。監督は、後に「夜の大捜査線」('67年)やこの作品と同じくスティーブ・マックイーン(1930-1980)主演の「華麗なる賭け」('68年)「屋根の上のバイオリン弾き」('71年)や、「ジーザス・クライスト・スーパースター」('73年)、「ローラー・ボール」('75年)を撮ることになるノーマン・ジュイソン(1926年生まれ)です。

シンシナティ・キッド 02.jpg 同じく勝負事を主人公にした作品として、ポール・ニューマン(1925-2008)が英国アカデミー賞主演男優賞を受賞した「ハスラー」('61年)がありますが、、アクターズ・スタジオを経てブロードウェイにデビューしている点で両者は共通するものの、既に「熱いトタン屋根の猫」('58年)など文芸作品にも出ていたポール・ニューマンに比べ、「荒野の七人」('60年)や「大シンシナティ・キッド 03.jpg脱走」('63年)など西部劇やアクション映画への出演がそれまで多かったスティーブ・マックイーンにとっては、ポーカー・ゲームの場面が多くを占めるこの作品へのシンシナティ・キッド1ef-s.jpg出演は、演技力が試される挑戦ではなかったのではないでしょうか。しかも、相手が「キー・ラーゴ」('48年)「十戒」('57年)などで既に名優の名を欲しいままにしていたエドワード・G・ロビンソンですから、チャレンジ度は高かったと言えるのでは(緊張感を醸すため、撮影には本物の紙幣が使われたという)。

シンシナティ・キッド 01.jpg ストーリー展開は、ポール・ニューマン演じる主人公が最初は全然歯が立たなかったベテランの相手を最後に破る「ハスラー」とはちょうど真逆で、スティーブ・マックイーン演じる自信に満ちた若手の主人公が、最後にベテランを追い詰め勝利と栄光を手にするかと思いきや―というもの。これ、封切時に初めて観た人は、スティーブ・マックイーンが演じてきた役柄の全能感のあるイメージもあって、すとーんと落とされたようなギャップがあっただろうなあと思われます。

シンシナティ・キッド 04 (2).jpg エドワード・G・ロビンソンは余裕綽々の名演という感じですが、スティーブ・マックイーンの演技もそれに拮抗すると言っていいのではないでしょうか。キッドを誘惑しようとするシューターの妻メルバを演じたアン・マーグレットも、キッドが自分にはクリスチャン(チューズデイ・ウェルド)という恋人がありながら、ふらっとそっちへ靡いてしまうのが分からなくもないような蠱惑的ムードを醸し、レディ・フィンガーズを演じたジョーン・ブロンデルも名演で、演技が手な下手な人は殆ど出ていなかったような映画のように思えました。

シンシナティ・キッド es.jpg 但し、最後、勝負に敗れ全てを失ったキッドの前に、キッドとメルバの関係を目の当たりにして一旦はキッドの下を去っていたクリスチャンが再び現れるのは、やや甘い結末と言えるでしょうか。一旦すとーんと落としておいて、救ってしまっているので、衝撃緩衝剤みたいになってしまった感じがするなあと思っていたら、これは監督の意向ではなく、スタジオの意向でそうしたシーンが付け加えられたとのことで、ちょっと勿体ない気もします。クリスチャンは安定志向なので、仮にキッドが財政面で彼女に助けてもらうならば、引き換えに勝負師として生きる道は閉ざされるのかなとか、余計な憶測を生む結果にもなっているように思いました(ラストの落ち着きが悪い。子供にも賭けで負けてしまうところで終わっていた方が良かった)。ノーマン・ジュイスン自身も、後に「無用で有害ですらあるセンチメンタルなラストが追加されているのは申し訳ない」と述べているそうです。まだ、当時はそれほど実績が無く、スタジオの意向を聞かざるを得なかったのでしょうが、惜しい気がします。

 エドワード・G・ロビンソンは「キー・ラーゴ」でもカードをやっていたなあ(その時の相手はハンフリー・ボガードだった)。

The Cincinnati Kid (1965).jpgThe Cincinnati Kid (1965) .jpgシンシナティ・キッド poster.pngThe Cincinnati Kid (1965) 「シンシナティ・キッド」●原題:THE CINCINNATI KID●制作年:1965年●制作国:アメリカ●監督:ノーマン・ジュイソン●製作:マーティン・ランソホフ●脚本:リング・ラードナー・ジュニア/テリー・サザーン●撮影:フィリップ・H・ラスロップ●音楽:ラロ・シフリン(主題歌:レイ・チャールズ)●原作:リチャード・ジェサップ●103分●出シンシナティ・キッド s.jpg演:スティーブ・マックイーン/エドワード・G・ロビンソン/アン=マーグレット/カール・マルデン/チューズデイ・ウェルド/チューズデイ・ウェルド/ジョーン・ブロンデル/ジェフ・コーリー/リップ・トーン/ジャック・ウェストン/キャブ・キャロウェイ●日本公開:1965/10●配給:MGM映画(評価:★★★☆)


    
        



ブログランキング・にほんブログ村へ banner_04.gif e_03.gif



和田泰明

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1