【2416】 ○ ケン・グリーブ 「名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱」 (93年/英) (1993/07 NHK) ★★★★

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AXNミステリー「あなたが選ぶ名探偵ポワロ(短編)ベスト10」第1位作品。ドラマ性が高い。

名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱dvd.jpg 名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱 dvdbook.jpg 名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱 00.jpg 名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱  07.jpg
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名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱 01.jpg ポワロはベルギーで「黄金の枝」勲章を叙勲されるジャップ警部に伴い、ブリュッセルを訪れる。警視総監になった旧友のシャンタリエと再会したポワロは、20年前の事件を思い出す。ポワロが警官だった頃、リベラル派の大臣ポール・デルラールが家族や知人たちとの食事後、好物のチョコレートを食べて急死した事件だ。ポワロはシャンタリエと捜査を始めるが、ブシェール警視によって打ち切りを命じられる。それでもポワロは決然と捜査を進めたのだった―。

名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱 05.jpg 「名探偵ポワロ」の第39話(第5シーズン第6話)でショート・バージョン。本国放映は1993年2月21日、本邦初放映は1993年7月10日(NHK)。原作はクリスティー文庫『ポアロ登場』(「チョコレートの箱」)、創元推理文庫『ポワロの事件簿2』(「チョコレートの箱」)などに所収。

名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱09.jpg ポワロがベルギー警察時代に初めて〈私立探偵〉として手がけた事件を描いた作品(警官が捜査打ち切り命令に反して休暇を取って自主的に捜査すれば私立探偵ということになるわけか)。原作では ポワロがヘイステングス相手にロンドンの自室で40年前の事件の回顧談をする設定なのに対し、映像化作品では、ポール・デルラールの死が1913年頃で、20数年前の事件となっています。更に、回顧談の相手がジャップ警部に変更され、どうせ回顧シーンをブリュッセルでロケしなければならないのならば、現在のポワロとついでにジャップ警部もベルギーへ行かせようということになったの名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱 02.jpgか、ジャップ警部がベルギーで勲章を受けることになり、奥さんが長旅がダメで同伴できなくて(ジャップ警部の自宅や奥さんの親戚は出てくることがあっても、当の奥さんは姿を見せ名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱ド.jpgないのが、「刑事コロンボ」のコロンボのカミさん同様にドラマのお決まりになっている)、代わりにポワロがジャップ警部に同行するという設定になっています(旅費2人分は予め表彰する側が負担することになっているということか。ベルギー側が、ジャップ警部の功績はポワロによるところ大であることを知っていて、ポワロも招待したのかと思ってしまった。それではジャップ警部に対して嫌味になってしまう)。

 従って、現在のポワロと警察時代のポワロが交互に交錯してストーリーが進んでいきますが、ポワロ役のデビッド・スーシェは普段ポワロを演じている時は"詰め物"をしているわけで、警察時代を演じる時はそれを抜いているため、若干スリムかになっている感じでしょうか(但し、上司より顔がデカかったりして、これは如何ともしがたい)。階段を駆け下りたり、逃走者を走って追いかけたりと、若々しさを強調しています。

ブローチをしたポワロ.jpgポワロのブローチ.jpg名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱  03.jpg 原作との大きな改変点は、原作でポール・デルラールに想いを寄せる女性ビルジニー・メナール(ポールの亡き妻の従妹)が、何とポワロに想いを寄せているとでも言っていいくらいポワロを信頼しきっている感じになっており、ポワロがいつも身に付けている襟のブローチがその時の彼女からの贈り物であったことが明かされ、同時に、かつてビルジニーへ抱いたポワロ自身の思慕が今も生き続けていることが示唆されます。再会シーンは微妙(個人的には要らなかったかなとも)。夫は薬剤師なのに、息子2人は警官になっているという...(原作では、彼女は女好きのポールに幻滅して修道院に入ってしまうため、ポワロとの恋愛談は無い)。

 もう一つの見所は、未解決事件だとされていたポール・デルラールの死は、実はポワロは当時すでに事件を解決していたけれどもそれを封印し、今ここで充分に月日を経たことを理由にその封印を解いたという作りになっている点で、では何故彼は当時、事件を自分の手柄とすることなく敢えて封印したのか―それは観ていれば分かるのですが、謎解きのプロットもさることながら、このように、ショート・バージョンにしてはドラマ的要素が盛り沢山で、事件が回顧談の中で展開されポワロが警官服で出てくるという変則的なものでありながら、この作品が、AXNミステリー「あなたが選ぶ名探偵ポワロ(短編)ベスト10」の第1位に選ばれているのも分かる気がします。

The Chocolate Box
The Chocolate Box _.jpg名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱 04.jpg ポワロが犯人を見逃すというのは『オリエント急行の殺人』などそのような例がないわけではないですが珍しい方でしょう(警察時代の事件であるということもあるのか。いや、警察官だった本来は犯人逮捕は義務であるはずだが)。チョコレートの箱と蓋の組み合わせを間違えた犯人は、赤と緑を十分に区別できない所謂「赤緑色盲」だったのでしょうか?

「名探偵ポワロ(第39話)/チョコレートの箱」●原題:AGATHA CHRISTIE'S POIROTⅤ: THE CHOCOLATE BOX ●制作国:イギリス●本国放映:1993/02/21●監督:ピーター・バーバー・フレミング●脚本:アンソニー・ホロヴィッツ●時間:52分●出演:デビッド・スーシェ(ポワロ)/フィリップ・ジャクソン(ジャップ警部)/ジェームズ・クームス(ポール・デルラール)/デヴィッド・デ・キーサー(ガストン・ボージュ)●日本放映:1993/07/10●放映局:NHK(評価:★★★★)

■AXNミステリー「あなたが選ぶ名探偵ポワロ(短編(ショート・バージョン))ベスト10」(2010年)(話数は放映順。()内数字はオリジナルの放送順)
チョコレートの箱.jpg1位 第34話 「チョコレートの箱」 (39)
2位 第31話 「黄色いアイリス」 (36)
3位 第4話 「24羽の黒つぐみ」 (4)
4位 第19話 「あなたの庭はどんな庭?」 (21)
5位 第1話 「コックを捜せ」 (1)
6位 第6話 「砂に書かれた三角形」 (6)
7位 第29話 「エジプト墳墓のなぞ」 (34)
8位 第22話 「スズメバチの巣」 (24)
9位 第26話 「盗まれたロイヤル・ルビー」 (28)
10位 第27話 「戦勝舞踏会事件」 (29)

        



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和田泰明

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