【2406】 ○ エドワード・ベネット 「名探偵ポワロ(第13話)/消えた廃坑」 (90年/英) (1990/07 NHK) ★★★☆ (○エドワード・ベネット 「名探偵ポワロ(第14話)/コーンワルの毒殺事件(コーンウォールの毒殺事件)」 (90年/英) (1990/08 NHK) ★★★☆)

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ギャング映画っぽさとユーモアが楽しめる(第13話)。最後は警部に手柄を譲った?(第14話)。

名探偵ポワロ13/消えた廃坑 dvdc.jpg 名探偵ポワロ13/消えた廃坑 01.jpg 名探偵ポワロDVDコレクション 36号 (コンウォールの毒殺事件).jpg
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名探偵ポワロ13/消えた廃坑6.jpg ポワロは残高の確認のため銀行へ行くが、引き出しオーバーで赤字と言われ激昂する。その深夜、ポワロの元にピアソン頭取が訪ねてきた。謝罪に来たのかと思ったポワロだが、事件の依頼である。銀行はウー・リンという中国人から、鉱山の場所を示す高価な地図を買う事になっていたのだが、約束の重役会にウー・リンは現れず、行方が分からないという。その翌日、ウー・リンの死体が発見されるが、地図は消えていた―(第13話「消えた廃坑」)。

名探偵ポワロ13/消えた廃坑.jpg 「名探偵ポワロ」の第13話(第2シーズン第3話)で本国放映は1990年1月21日、本邦初放映は1990年7月25日(NHK)。原作はクリスティー文庫『ポアロ登場』、創元推理文庫『ポワロの事件簿2』(「消えた鉱山」)などに所収。

 米エドガー賞の1992年 TV エピソード部門賞受賞作。中篇の割には結構凝っていたなあと。冒頭のウー・リンが重役会に現れず、焦る頭取など、若干"叙述トリック"っぽい箇所もありますが、まあ、佳作と言えるのでは。名探偵ポワロ13/消えた廃坑 4.jpg中華街のカジノ(アヘン窟でもある)での捜査など、ギャング映画っぽい雰囲気もあったし、一方で、ロンドン警察の最新システムという、無線連絡に沿って3人の婦警が地図上でミニチュアのパトカーを動かす奇妙な捜査方法などが出てきて、"ハードボイルド風"と"ホントウかいな風"が混在し、最後は、ポワロがウー・リンのパスポートと見せかけて...と、色々楽しめました。

名探偵ポワロ13/消えた廃坑 モノポリー.jpg 冒頭のポワロが銀行のピアソン頭取が来たのを、謝罪しに来たのと勘違いする場面も可笑しく(原作のピアソンはビルマ鉱業の重役)、さらに可笑しいのが、モノポリーに真剣にハマっているポワロとへースティングス。ポワロは最初劣勢で、「駅にはホテルは建てられないよ」と指摘され、「実際にはあるじゃないか」「でもルールだし...」「じゃあルールが間違ってるんですよ!」とここでも激昂。「スキルなんかは全然関係のないゲームだね」と言っていたのが、ジャップ警部が訪ねてきてもゲームに熱中。事件が解決する頃にはへースティングスに圧勝し、全く逆の発言に...。因みに、残高不足はポワロの入金し忘れが原因でした。

 第10話「夢」、第11話「エンドハウスの怪事件」、第12話「ベールをかけた女」の犯人は、皆ポワロに悩みを打ち明けたり相談を持ちかけたりするふりをしてポワロを騙そうとして、結局墓穴を掘ってしまった...。このエピソードの犯人も同じ轍を踏んだと言えます。


名探偵ポワロ14/コーンワルの毒殺事件02.png 雨の降る寒い日、ポワロの元に中年の女性が訪ねて来る。コーンワルのポルガーウイズに住む歯科医の妻ペンゲリー夫人である。夫人は胃の痛みを訴え、夫が助手のエドウィナといい仲になり、自分を殺すために毒を盛っているのではないかと話す。翌日、ポワロとヘイスティングスは夫人の住むコーンワルへ赴く。しかし、既に夫人は毒殺されていた―(第14話「コーンワルの毒殺事件」)。

 「名探偵ポワロ」の第14話(第2シーズン第4話)で本国放映は1990年1月28日、本邦初放映は1990年8月1日(NHK)。原作はクリスティー文庫『教会で死んだ男』(「コーンウォールの毒殺事件」)、創元推理文庫『ポワロの事件簿2』(「コーンウォールの謎」)などに所収。

名探偵ポワロ14/コーンワルの毒殺事件0.jpg ペンゲリー夫人への訪問を、彼女の方から訪ねて来た日の翌日ではなくその日にしていれば、夫人は殺害されずに済んだのではないかとの自責の念から、ポワロの事件捜査は夫人の弔い合戦の様相を呈し、また、おそらく裁判にかけられるであろう夫のペンゲリーを絞首台送りにしないためにも―と、結構最初から力が入っています。そして、ペンゲリーは実際に捕まり、裁判にかけられます(推理ドラマの"逆転のセオリー"からすれば、まず間違いなく無実だろうとの予測はつくが、その割には、当のペンゲリーは法廷でも無力化していたなあ。妻が亡くなったショックからか。毒殺事件において自らの無実を実証することの困難さというのもあるかも)。

 事件そのものは、犯人は登場した時から何となく犯人っぽかったし、ポワロにとってそう難しくなかったかなあ。最後に犯人に、自白書にサインすること(結局、状況証拠しか無かったから?)とバーターで24時間の逃げる猶予を与えたというのは、最初捜査に力が入っていた割にはあれっという感じでしたが、と思ったらその直後、すたすたと裁判所に行って自白書を見せ、今度はへースティングスの方が、24時間の猶予を与えたことに拘っている?

名探偵ポワロ14/コーンワルの毒殺事件 last.jpg 最後、公判中のペンゲリーが犯人だと信じきって、のんびり立ち食いなんぞをしているジャップ警部に、ポワロが「勝算のない戦を続けるより、負けを認めるほうが利口です」と言って去っていったところへ、部下からの真犯人は別にいたとの報。ジャップ警部は「ポアロめぇっ!」と怒鳴りますが、ポワロが犯人を逃がす際に「2日以内に捕まる」と予言していることからすると、ジャップ警部に手柄を立てさせるための所為だったともとれます。因みに、それより前の事件直後に、ポワロはヘイスティングスに対し、警察はペンゲリーを逮捕し、彼が裁判にかけられることも予言しており、"ポワロの予言は的中する"ことの伏線になっているという構図が上手いと思いました。

 2篇とも星4つに限りなく近い星3つ半といったところでしょうか。

名探偵ポワロ13/消えた廃坑splash.jpg「名探偵ポワロ(第13話)/消えた廃坑」●原題:AGATHA CHRISTIE'S POIROT Ⅱ:THE LOST MINE●制作国:イギリス●本国放映:1990/01/14●監督:エドワード・ベネット●名探偵ポワロ[完全版]Vol.7.jpg脚本:マイケル・ベイカー/デビッド・レンウィック●時間:55分●出演:デビッド・スーシェ(ポワロ)/ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス) /フィリップ・ジャクソン(ジャップ警部) /ポーリン・モラン(ミス・レモン)/アンソニー・ベイト(ピアソン頭取)/ジェームズ・サクソン(レジー・ダイアー)●日本放映:1990/07/25●放映局:NHK(評価:★★★☆)
名探偵ポワロ[完全版]Vol.7 [DVD]」(「ベールをかけた女」「消えた廃坑」所収)

名探偵ポワロ14/コーンワルの毒殺事件01.jpg「名探偵ポワロ(第14話)/コーンワルの毒殺事件(コーンウォールの毒殺事件)」●原題:AGATHA CHRISTIE'S POIROT Ⅱ:THE CORNISH MYSTERY●制作国:イギリス●本国放映:1990/01/28●監督:エドワード・ベネット●脚本:クライブ・エク名探偵ポワロ[完全版]Vol.8.jpgストン●時間:55分●出演:デビッド・スーシェ(ポワロ)/ヒュー・フレイザー(ヘイスティングス) /フィリップ・ジャクソン(ジャップ警部) /ポーリン・モラン(ミス・レモン)/ジェローム・ウィリス(エドワード・ペンゲリー)/アマンダ・ウォーカー(ペンゲリー夫人)●日本放映:1990/08/01●放映局:NHK(評価:★★★☆)
名探偵ポワロ[完全版]Vol.8 [DVD]」(「コーンワルの毒殺事件」「ダベンハイム失そう事件」の2話収録)

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