【2306】 ○ 増田 晶文 『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ―こうすれば愉しく無理せずに続けられる』 (2014/05 SB新書) ★★★★

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ミドル、シニアエイジ向けの筋トレ入門書・啓発書として良い。

50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ.jpg50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ (SB新書)』 腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング.jpg 井上健二 『腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング (ソフトバンク新書)

 井上健二氏の『腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング』('11年/ソフトバンク新書)に続く(?)、ミドル、シニアエイジ向けの筋トレ入門書です。この本も、ターゲットが絞れていて良いと思いました(筋トレ本は数多いが、シニア向けに複数出している新書はSB新書(旧ソフトバンク新書)だけか?)。

フィットネスクラブ会員年齢構成1.jpg 今回の著者は、ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で「文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞」を受賞した作家であり、1960年生まれの著者自身、1968年から本格的に筋トレを始め、20代、30代の若い頃にボディビルの大会に出場していたとのこと。しかし、34歳で会社を辞めて文筆の世界に入ってから運動不足になり、2000年40歳の時に奮起して筋トレを再開、現在('14年2月)体重60㎏、体脂肪率5.9%だそうです。そうした"筋トレ歴"を持つ著者らしい入門書になっているように思いました。

 本書によれば、近年、中高年のフィットネス参加率はめざましくアップしており(この点は経産省の統計からも窺える)、但し、"筋トレフィフティーズ"は意外と少ないとのこと、筋肉量のピークは20代で、その後、徐々に減っていき、40歳くらいからは年に0.5%ずつ減少、65歳以降に減少率が急増、80歳だと全盛期の30%から40%にまでに減少し、それを阻止するには筋トレを継続するのが得策で、50代ミドル以降は筋肉への投資がシルバーエイジを左右するとのことです。

 第1章・第2章で、ウェイトトレーニングのメリットを説き、50代で鍛えないと筋肉は減り続けるため、アラフィフこそトレーニングすべきだとして、筋トレが効果を発揮する理由からスポーツクラブの選び方まで、自身の体験や利用者の体験談を交え解説しています(スポーツクラブにおいて人間関係で消耗することは避けたいとか、結構リアルだなあ)。

 第3章は約100ページほど費やして筋トレでの工夫やメソッドを説き、ベンチプレスから始まって、全身、胸、背中、のトレーニング、肩こり対策、腰痛防止のトレーニング、足、肩、腕、腹のトレーニングを、マシントレーニングだけでなくストレッチやアイソメトリックスを含め種目別に解説しています(各写真入りで、著者もモデルを務める)。この部分は"実用マニュアル"といった感じでしょうか。

 第4章で再び啓発的解説に戻って、ミドルとシニアに最適なのは無理しないダイエットであることを説いていますが、この中では、著者自身が「炭水化物ダイエット」、段階的な「脂質オフダイエット」を経験してみて最後に「筋トレダイエット」にたどり着いた経緯が興味深かったです。"筋トレダイエット"といのは、ダイエットが本来は食事制限に近い意味であることからすると言葉の矛盾のようにも思われますが、「お腹が減るまで食べない」「本当に食べたいものだけ食べる」ということのようです。

 第5章は更に啓蒙的で、ウェイトトレーニングとは己の肉体、更には精神との対話であるとしています。この中で個人的に関心を持ったのは、著者がトレーニングするときは、レップ数(何回やったか)を原則カウントせず、「もう効いている」か「まだ効いていないか」で判断しているということと、セット間の休憩は40秒程度としていることでした。ベンチプレスの例で、ベンチ1種目で7セットやっています(但し、レップ数は何れも10回を下回る)。

 最終第6章では、"筋トレフィフティーズが気を付けることについて書かれていて、効果が出る人とでない人の違いや筋肉痛への対処法、パーソナルトレーナーの選び方などを述べています。また、プロテインは普通のミドルやシニアには必要ないとしています。

あなたもこんなマッチョボディになれる!.jpegシニアでもマッチョでいたい。.jpg 本書は基本的に、50歳を過ぎても細マッチョやスレンダー体系の理想に近づけるということを説いた本であることを冒頭に謳っていますが、最後に、50代ミドル、60代シニアが筋トレをするのは、人生の道のり半ばにあって体力や筋力の衰えを自覚するところからスタートし、衰えた分を取り返し、プラスに転じていけるから中年のトレーニングは面白しい、味わい深いと。老いと正面衝突したり、老いから逃げ回るのではなく、さらりといなすのが50代、60代の筋トレの極意であるという本書の結語は、なかなか奥深いように思いました。

出典:kin-100.com
出典:plaza.rakuten.co.jp

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