【2303】 ○ 井上 健二 『腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング (2011/03 ソフトバンク新書) ★★★★

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ジムに通いを前提とし、体系的、理論的、網羅的(ジムでのマナーも含め)に纏まっている。

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腹が凹む!体脂肪が減る!40歳からのジム・トレーニング (ソフトバンク新書)

 序章「40歳からのジム・ライフ」で、運動不足だと30代以降、下半身の筋肉は年1%のペースで減り、その結果、太腿の筋肉は70歳になると30歳の半分ほどに減ると書かれています。40歳から始まる所謂"中年太り"のバックグラウンドにあるのは、この筋肉の減少であり、運動することは将来への投資であって、アンチエイジングには運動しかない、運動をしないと骨は強くならないし、有酸素運動でスタミナアップが図れると―。

 そこで、目標を決めてから運動を始めようということで、第1章「ジム・トレを続ける技術」では、「続ける」にはどうしたらよいかということが書かれていて、週3回ジムに通うことを目標とし、結果的に2回いければOKとしています。また、行きたくない日でも敢えて行ってみると、ロッカールームで着替えてウォーミングアップしているうちに、意欲が湧いてくることがあるとしていますが、個人的にはその通りだなあと思います。

 第2章「失敗しないジム・トレの原則」では、「過負荷の原則」「漸進性の原則」「反復性の原則」「意識性の原則」「個別性の原則」など、トレーニング効果を効率よく上げるために知っておくべき原則について解説しています。その上で更に第3章「効果を高める3大トレーニング」で、筋トレ、有酸素運動、ストレッチの3大トレーニングを取り上げ、中でも本書の中核テーマである筋トレの効果アップ術について解説しています。

 更に第4章「実践・ジムの作法」で、「ジムエリア」「カーディオエリア」「スタジオエリア」「プール&アクアエリア」の4大エリアごとのマナーを解説し、例えばジムエリアであれば、マシンゾーン以外のフリーウェイトゾーンやストレッチゾーンにおけるマナーなども解説し、カーディオエリアであれば、トレッドミドルとステーショナリーバイク、或いはステップマシンとエリプティカルトレーナーといった具合に、それぞれにおける使い方のマナーを説明しているのが丁寧です。

 最終第5章「40歳からの悩み解消プログラム」で、運動プログラムを作る際の原則を解説していますが、「40歳から」に限らず幅広い層にとって参考になるものであり、それはこの章に限らず、本書全体に言えることかと思います。まあ、ソフトバンク新書であるということに加え、運動不足が気になり始めるのがその年代だろうということで、「40歳から」としたのでしょう。

 もう一つは、理論解説がしっかりしているというのも、若さの勢いで筋トレをやりがちな(それでいてそれなりに効果が出てしまったりもする)若年層に比べ、論理的な体系を理解し、自分なりに納得したうえで、限られた時間の中で効果を出したいと考える中年層には向いているかもしれません。

 タイトルに「腹が凹む!」とありますが、腹筋のやり方が書いてある本ではありませんし、ベンチプレスやスクワットといった一つ一つの種目のやり方が書いてある本でもありません。但し、ジムに通って、そこのジム(マシンやウェト、ストレッチゾーン)やカーディオ、スタジオエリアやプールなどの施設を使うということを前提とし、その前提に特化して、心構えや続けるコツを説いた本だと思います。体系的、理論的に纏まっていて、ジムでのマナーなどにも触れられていることから。網羅的でもあると思います。

 「実用新書」というより、本来の新書らしい作りになっていると思いました。
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井上 健二(いのうえ・けんじ)
1963年生まれ。九州大学経済学部卒。フィットネスエディター。20年前から雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)の編集と執筆に関わる。
これまで医師、運動生理学者、管理栄養士など数百名のフィットネス&健康専門家への取材とインタビューを行う。
『MISS』(世界文化社)、『美的』(小学館)、『ar』(主婦と生活社)、『an・an』(マガジンハウス)など女性誌での健康関連の連載、
香取慎吾、SHIHO、草刈民代ら著名人のトレーニング本の編集にも関わる。

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