【2253】 ○ グロービス経営大学院 『新版 グロービスMBAリーダーシップ (2014/04 ダイヤモンド社) ★★★★

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初期段階で読むテキストの1冊となり得るか。研修への応用をイメージしながら読むのもいい。

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 2006年刊行の『MBAリーダーシップ』の8年ぶりの改訂新版で、前半約160ページの第Ⅰ部「理論編」と、後半約80ページの第Ⅱ部「実践編」から成りますが、各節のテーマごとに節の冒頭にケーススタディが配されていて、それを受けて理論や実践についての解説がなされるというスタイルを取っているため、テキストでありながら読み物を読むように読むこともできます。

 第Ⅰ部「理論編」では、第1章を「リーダーシップ理論の変遷」として、特性理論から始め、行動理論、条件的合理論、交換・交流理論を紹介し、さらに変革のリーダーシップ、サーバント・リーダーシップ、オーセンティック・リーダーシップについて解説しています。
 続く第2章は、「リーダーシップと関連する組織行動」として、リーダーの持つパワーの源泉が人間の心理に与える影響、良きフォロワーとして振る舞うこととリーダーの要件との関係、ネットワークの構築力とリーダーシップ発揮との関係、非常時のリーダーシップの要件といったことを解説しています。
 第3章の「リーダーシップの開発」では、リーダーシップ開発を組織的な取り組みとして体系化する方法や、今後のリーダーシップ開発の方向性について論じています。

 第Ⅱ部「実践編」では、「理論編」で学んだ考え方をいかに行動に落とし込んで実践するかを、第4章「リーダーシップを磨く」と第5章「リーダーシップを破棄する」に分けて示していますが、各テーマの冒頭のケースが経営大学院での双方向の授業内容をミニュチャアで再現したものとなっているのが特徴であり、この部分は、企業内インストラクターがリーダーシップ研修を実施する際の参考になるかと思います。

 企業内インストラクターとしての役割を担うか否かに関わらず、人事パーソンにリーダーシップ理論の基礎知識は必要であり、また、人事パーソンはリーダーシップに対する自分なりの考え方を持つべきであると考えます。そのために巷に溢れるリーダーシップに関する書籍を手当たり次第に読むというのも非効率であるし、と言って、正解を一つの理論フレームに求め過ぎるのも、個別の状況への応用が効きにくいという難点があるように思われます。

 したがって、こうしたテキスト的な書籍によってリーダーシップ理論体系を把握したうえで、自らが関心を持った理論については、その提唱者が直接書いた書物に読み進み、そのエッセンスを深耕していくのが最も効率的であるように思います。

 また、リーダーシップ理論は、理論をそのまま現実に適用するのではなく、基本的エッセンスを応用の足がかりとするというスタンスで臨むことになるのではないかと考えます。こうしたテキスト的な書籍を、実際に社内研修等に応用できるかどうか、応用した場合はどのような使い方になるのか、などとイメージしながら読むことは、そうした思考訓練を兼ねることになるようにも思います。

 テキストは学習者との相性もあるため、本書がそうしたテキストとしてベストであるとまでは言いません。また、本書1冊でこと足りるということもないでしょう。リーダーシップ理論(第1章)と組織行動論(第2章)を併せて120ページというのは、コンパクトであると言えばそうとも言えますが、相当"浅い"とも言えなくもありません。但し、そうした初期段階で読むべき何冊かのテキストとしては比較的オーソドックスであり、その候補のうちの1冊としてはなり得るかもしれません。

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This page contains a single entry by wada published on 2014年12月24日 23:02.

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