「●人事マネジメント全般」の インデックッスへ Prev|NEXT ⇒ 【2248】 ラム・チャラン/ビル・コナティ 『人材管理のすすめ』
「●労働法・就業規則」の インデックッスへ
人事パーソンが自ら自己啓発のために読んでも、人事スタッフに読むのを勧めてもよい。
『ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト 人事・人材開発2級』『ビジネス・キャリア検定試験標準テキスト 人事・人材開発 3級』
「ビジネス・キャリア検定試験」は、事務系職種のビジネス・パーソンを対象に平成6年(1994年)にスタートした、中央職業能力開発協会(JAVADA)が実施する公的資格試験で、事務系職業の労働者に求められる能力の高度化に対処するために、段階的・計画的に自らの職業能力の習得を支援し、キャリアアップのための職業能力の客観的な証明を行うことを目的としています。
分かりやすく言えば、同じくJAVADAが実施する「技能検定」のホワイトカラー版といったところでしょうか。検定分野は「人事・人材開発・労務管理」「企業法務・総務」など8分野に区分され、その中に「人事・人材開発」「労務管理」「企業法務」「総務」など18部門(2級)があり、2級と3級の試験がそれぞれ年2回実施されています。
本書は「人事・人材開発」部門の2級と3級の標準テキストの改定版です。「2級」は課長・マネジャー等を目指す人またはシニアスタッフを対象とし、「3級」は係長・リーダー等を目指す人または新入社員等担当職務を的確に遂行することを目的とする人を対象としているとのことです。直近の試験問題と解答は「ビジネス・キャリア検定」のサイトで確認することができます。
旧版(平成19年刊行)と比較すると、人事・人材開発の最近のトレンドを一部織り込むとともに、近年の労働法等の法改正にも対応させ、労働経済データなども必要に応じて新しいものに差し替えられています。また、2級テキストの章立ては、人事企画、雇用管理、賃金管理、人材開発、3級テキストは、人事企画の概要、雇用管理の概要、賃金・社会保険の概要、人材開発の概要と、各4章立になっていて、2級が6章、3級が11章に分かれていた旧版よりすっきりしたものとなっているとともに、試験の出題要領により即した区分となっています。
試験の問題は、単に基礎知識を問うだけでなく、実務に沿った内容を指向しており、テキストの内容から一歩踏み込んだ専門知識問題や、相応の実務センスが求められる応用問題なども一部に含まれていますが、合格基準が「正答率概ね60%以上」とされていることから、まずはテキストの内容を理解することが基本かと思われ、、今現在「人事・人材開発」の業務に携わっている人であれば、テキストを充分に読み込んでさえいれば、試験に合格することはそう難しくないかと考えます。
企業によってはすでに、社内の「公的資格制度」や「昇格試験制度」に当試験制度を織り込んで、社員に対して受験を奨励したり義務づけたりしている例もあるかと思われますが、そうでない企業の人事パーソンであっても、自らの自己啓発のために本テキストを読んでみるのもよいのではないでしょうか。あるいは、人事スタッフに人事の基本を学ばせるために読むことを勧めるのもよいかと思います。試験の受験・合格を目標にすれば、習得効果はより高まるものと思われます。お薦めです('16年に『ビジネス・キャリア検定試験過去問題集(解説付き) 人事・人材開発2級・3級』が刊行された)。
【2020年第3版刊行】