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中小企業向けにオーソドック且つ丁寧に解説。人物を見抜く工夫の各社の例が良かった。
『なぜあの会社には使える人材が集まるのか (PHPビジネス新書)』
パート・アルバイトの戦力化支援などで豊富な経験を持つ著者が、主に中小企業の事業主・採用担当者向けに、人材の採用・定着・戦力化に成功している企業の特徴や、採用実務に関して留意すべき点を、募集から面接、実際の採用に至るまで丁寧に解説し、採用できなかった際の対処法などについても述べています。更には、募集・採用に纏わる最近の法改正なども押さえています。
人材の採用・定着・戦力化に成功している企業は、企業と従業員の間の「相思相愛」を常に意識しているとするなど、テクニカルな解説だけでなく、啓発的な要素も多分に含んでおり、本書に対するネットなどの評価も高いようです。
そのような「心得」的な部分は、言ってみれば普遍的なものであり、書いてあること自体はオーソドックスですが、その分説得力はありました(著者の示す"働く側の「相思相愛」判断基準"は、60年代に提唱された「PM理論」に通じるものがあったように思った)。ただし、著者が求人広告会社(「アイデム」)の出身者であることもあり、募集広告の出し方と、最適なメディアの選び方(インターネットから、タウン誌・新聞折込み広告なども含めたそれぞれのメリット・デメリット)については、各1章を割いてさすがに詳しく書かれています。
応募受付のやり方も軽視できないとしているのには共感させらえました。面接で人を見抜く方についても書かれていますが、やはり、これが一番難しいのではないかと思います。その中でも興味深かったのが、相手の仮面を剥がして本質を見極めるためのトーク技術や面接方法について、企業が実際にどのような工夫をしているのかその実例が紹介されている箇所でした。
面接の際に、履歴書に書かれている内容から、面接官個人との共通点を探し出してそれを話題にし、相手にリラックスしてもらい本音を聞くとか、最寄駅まで車で送迎してその際の態度をミラーでチェックするとか(地方の中小企業だったりするとこうしたことが結構あり得るかも)、幾つも独自の工夫例が出てきます。中小企業の採用担当者は、自分たちで知恵を絞っていろいろな試みをしているのだなあと、その熱意に感心しました。テクニックをそのまま採り入れるかどうかはともかく、面接で人を見抜こうと思ったら、採用担当者もそれなりに知恵を絞ることが必要だと改めて感じました。