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「上司学」「仕事術」という域にも達していない、毒にも薬にもならない「処世術」本。
伊藤洋介氏/安倍昭恵氏
『上司は部下の手柄を奪え、部下は上司にゴマをすれ 会社にしがみついて勝つ47の仕事術 (幻冬舎新書)』
景気回復期こそ企業はリストラを進めるということで、ビジネスパーソンの"リストラ防錆策"を説いた本が結構出されていますが、これも、「上司学」や「仕事術」の本というより、どちらかと言うとその手の本だったかも。少なくとも、「上司学」「仕事術」という域に達しておらず、毒にも薬にもならない「処世術」本という感じでした。
第1章「上司は何を思う」、第2章「部下は何を願う」、第3章「組織人としての誇りと果たすべき役割」の3部構成ですが、第1章も含め、どちらかと言うと部下から見た視点で書かかれていて、そこから無理矢理、インパクトがありそうな項目をアイキャッチ的にタイトルにもってきた感じ。それも、「手柄はどんどん上司に渡そう」と部下の立場から書いてあるのであって、「上司は部下の仕事を奪え」なんて書いてないんだよなあ。
「会社が提供してくれる安定やメリットを最大限に享受すべく努めることこそが、幸福な人生の第一歩」との考えのもと、「絶対にクビにならず会社人生をまっとうするための、忘れ去られた美徳ともいうべきマナーや義務を説いた」本であるとのことで、何となく"昭和"的な上司-部下関係の再構築を説いているマニュアル本みたいな印象でした。
著者は、山一証券勤務時代に「シャインズ」を結成して(相方は杉村太郎(1963-2011/享年47))、その後、森永製菓に転職し、「東京プリン」を結成して(相方は牧野隆志(1964-2014.2.7/享年49))森永の方は辞めるなど、会社員とアーティスト(?)を兼業したり、フリーで活動したりを繰り返しているような人で、この人自身は何度か会社を辞めているわけでしょ。「会社にしがみついて生きろ」と言っているこの人自身のアイデンティティがどうなっているのかよく解りません(会社を辞めてからよっぽどシンドイ思いをしたのか)。
'13年7月の参院選挙で比例区から自由民主党公認で立候補して(安倍晋三首相の夫人・昭恵氏が森永製菓創業家の娘として伊藤と旧知だったことで公認を得られたらしい)、結局落選していますが、こうしたマニュアル本のような本を書いている人が、何のために国会議員になりたいのか、国会議員になって何をしたいのかもよく解らないね。選挙の前の、知名度アップ作戦だったのかな。