【2153】 ○ バスター・キートン/エドワード・F・クライン 「キートンの文化生活一週間 (マイホーム/One Week)」 (20年/米) (1925年 日本公開) ★★★★

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キートンの短編の中では一番よく出来ている。仕掛けもアクションもギャグもいい。

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マイ・ホーム [VHS]」「バスター・キートン傑作集(1) [DVD]

キートンの文化生活一週間1新婚.jpg (9日月曜日)...結婚式を終えた新郎(バスター・キートン)と新婦(シビル・シーリー)は、叔父から貰った新居に車で向かうが、運転していたのは新婦にフラれた男ハンキートンの文化生活一週間2部品.jpgクで、彼は2人の新生活を邪魔したりする。新居の場所に着くとそこには土地しかなく、届けられた木材と工具で自分で組み立てなければならなかったのだ。(10日火曜日)...早速翌日から2人は新居の組み立て作業に入るが、ハンクの妨害により間違った手順で新居が出来上がってしまう。(11日水曜日)...平行四辺形のような奇妙なキートンの文化生活一週間4完成.jpg形の新居に引っ越し業者(ジョー・ロバーツ)が運んできたピアノを入れようとするが、これがまた大騒動になる。(12日木曜日)...新郎は煙突を取り付けようとして、入浴キートンの文化生活一週間5嵐の後.jpg中の新婦がいる2階の風呂の浴槽に落ち、恥ずかしがる新婦に風呂から追い出され、出口かと思ったドアを開けて外に転落する。(13日金曜日)...2人は新居完成披露パーティに友人らを呼ぶが、雨漏りがして新郎は室内で傘をさしている。やがて雨は暴雨風となり、新居は風に煽られ土台ごと猛烈な勢いで回転しはじめる。客は帰り、2人は外で一夜を過ごす。(14日土曜日)...嵐キートンの文化生活一週間6線路上.jpgが去った翌朝、新居はボロボロになっていたが、そもそも家を建てる場所が間違っていたことに気づいた2人は車で新居を移動させる。その途中で線路に引っ掛かって立ち往生してしまうが、そこへ猛烈なスピードで蒸気機関車がやってくる―。

 キートン1920年発表の約20分の短編で、日本公開はいつだか明確ではありませんが、一部資料(KINENOTEなど)に1925年とありました(後に「キートンのマイホーム」の邦題で公開されたこともあり、VHSのタイトルはそうなっている)。この頃の2本組で製作していたキートンの短編作品の中では一番よく出来ているのではないかと思われ、仕掛けが大掛かりであるばかりでなく、当時25歳のキートンのアクションも冴え、また、ギャグの密度も極めて濃く、愉しんでいる内にあっという間に終わってしまう感じです。

 誤った組立手順で出来上がった新居の奇抜さが秀逸で、面白いと思われたアイデアを実際に形にしてしまうところがスゴイなあと。これが映画ではどんどん変形していくわけで、結局これ、また別に最初から作り直しているのかなあ。時を経れば経るほど手作りの良さが引き立ってきて、この"我が家"は作品のまさに「主役」と言っていいのでは。

キートンの文化生活一週間入浴.jpg 新郎が入浴中のシーンでカメラに手が覆いかぶさったりするのが遊び心を感じさせ、そこへキートンが落ちてくるという繋がりもまた良く、更に、ドアを開けたら外に転落してしてしまったキートンが、新居披露パーティに来たハンクに追いかけ回されて、そキートンの文化生活一週間7後のギャグ.jpgの経験を活かして彼を自ら外へ追いやってしまう場面は痛快(山崎バニラ氏はその活弁の中で敵役の彼をストーカーと呼んでいるが、まさにピッタリ)。その他にも、後のキートンの長編に見られるアクションの原点が幾つもここにあるという印象でした。

キートンの文化生活一週間ラスト.jpg ラストで新居が機関車で粉砕されてしまうのは本来ならば悲しい結末ですが、「売家」の札と「組立説明書」を置いて2人でその場を去っていくシーンはカラっと乾いていて、いかにもキートンらしいです。この2人が手をつないで新たな道に向かって歩いていくエンディングは、チャップリンの「モダン・タイムス」('36年)のエンディングとダブらないこともないですが、そこで観客を感動させるような余韻を持たせるチャップリンに対し、1秒間くらいでとっとと終わらせてしまうキートンに、両者の作風の違いを感じます。
   
キートンの文化生活一週間 新婦.jpgキートンの文化生活.jpg 新婦役のシビル・シーリー(Sybil Seely)は「キートンの船出(漂流)」(1921)でも奥さん役でした(コレ、パニック映画だったなあ)。この人は1902年生まれでこの作品の当時18歳でしたが、20歳で映画界を引退し、1984年に82歳で亡くなっています。
 
One Week (1920).jpg「キートンの文化生活一週間(マイホーム)」●原題:ONE WEEK●制作年:1920年●制作国:アメリカ●監督・脚本:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●撮影:エルジン・レスリー●原作:バスター・キートン/エドワード・F・クライン●時間:19分●出演:バスター・キートン/シビル・シーリー/ジョー・ロバーツ●日本公開:1925年●最初に観た場所:渋谷ユーロスペース(84-01-15)●2回目:アートシアター新宿(84-05-27)(評価:★★★★)●併映:(1回目)「キートンの強キートンの船出 0.jpg盗騒動(悪太郎)」「キートンの船出(漂流)」「キートンの警官騒動」「キートンの鍛冶屋」「キートンの空中結婚」/併映:(2回目)「キートンのコニー・アイランド(デブ君の浜遊び)」「デブの自動車屋」「キートン・ライズ・アゲイン」 One Week (1920)

「キートンの船出(漂流/The Boat)」(1921)
         
バスター・キートン THE GREAT STONE FACE.jpgバスター・キートン THE GREAT STONE FACE DVD-BOX 【初回生産限定】
収録作品:(全33タイトル)
「文化生活一週間」「ゴルフ狂」「案山子」「隣同志」「化物屋敷」「ハード・ラック」「ザ・ハイ・サイン」「悪太郎」「即席百人芸」「漂流」「酋長」「警官騒動」「キートン半殺し」「鍛冶屋」「北極無宿」「電気屋敷」「成功成功」「空中結婚」「捨小舟」「コニー・アイランド」「自動車屋」「馬鹿息子」「海底王キートン」「キートンのカメラマン」「拳闘屋キートン」「キートンの大学生」「キートンの結婚狂」「キートンのエキストラ」「キートンの恋愛三代記【淀川長治解説映像付き」「キートンの探偵学入門【淀川長治解説映像付き】」「キートンのセブン・チャンス【淀川長治解説映像付き】」「荒武者キートン」「キートンの蒸気船」
          
Top 10 Buster Keaton Films: Shorts(海外サイト)
1. The Haunted House(キートンの化物屋敷)(1921)
2. One Week(キートンの文化生活一週間) (1920)
3. Cops(キートンの警官騒動)(1922)
4. The Scarecrow(キートンのスケアクロウ)(1920)
5. The Play House(キートンの即席百人芸)(1921)
6. The Boat(キートンの船出)(1921)
7. Neighbors(キートンの隣同士)(1920)
8. The Goat(キートンの強盗騒動)(1921)
9. The 'High Sign'(キートンのハイ・サイン)(1921)
10. Convict 13(キートンの囚人13号)(1920)

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