【2130】 ○ ダニー・ボイル (原案:コリン・デクスター) 「主任警部モース(第15話)/魔笛〜メソニック・ミステリー~」 (90年/英) (2001/01 日本クラウン 【VHS】) ★★★☆

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モース vs. 天才詐欺師。面白かったが、犯人には犯罪哲学があるような無いような...。

モース第15話「魔笛〜メソニック・ミステリー」dvd.jpg  INSPECTOR MORSE:MASONIC MYSTERIES.jpg Inspector Morse・episode 15 (Masonic Mysteries).jpg
Inspector Morse: Masonic Mysteries [DVD] [Import]」(魔笛〜メソニック・ミステリー~)

モース第15話「魔笛〜メソニック・ミステリー」2.jpg モースも一員である合唱団のオペラ公演「魔笛」のリハーサルに、彼は車で女友達のベリル(マデリーン・ニュートン)と駆けつけるが、運転の荒っぽさを彼女に詰られ、帰りは別行動でと言われてしまう。そのベリスが、一時稽古場を離れた隙に殺害された。悲鳴を聞き、第一発見者となったモースは、凶器の包丁を拾い上げて容疑者となってしまう。モースのことを良くは思っていないボトムリー警部(リチャード・ケイン)が捜査の指揮を執り、ルイスがその配下に付くが、次々とモースに不利な証拠が現れ、濡れ衣を晴らそうとするモースは、逆に追いつめられていく―。

Romeland Gardens, St Albans, Herts, UK - Inspector Morse, Masonic Mysteries (1990)

 英国ITVの「主任警部モース」シリーズモース第15話「魔笛〜メソニック・ミステリー」vhs輸入版.jpgの第15話で、1990年に本国で放映され、2001年に日本語字幕付きVHSが発売されています(監督ダニー・ボイル、脚本ジュリアン・ミッチェル)。「IMDb」のレーティングは8.4という高さ。実際、面白かったですが、ややもやっとした印象も。

モース第15話「魔笛〜メソニック・ミステリー」デクスター.jpg オペラ好きのモースは、オペラの合唱団にも入っていたわけか(モースの前列には、原作コリン・デクスター .jpg者のコリン・デクスターがいて、結構大映しになっているカットがある)。殺害されたべリルは、モースが好意を抱き、かなり積極的にアプローチしていた女性。モース自身も自宅で不審火に見舞われ、自慢のLP盤コレクションがかなりの被害に遭った模様です(トスカニーニの「魔笛」を最悪としているけれど、これ、演奏はBBC交響楽団のものか?)
Inspector Morse: Masonic Mysteries [VHS] [Import]

INSPECTOR MORSE:MASONIC MYSTERIES 2.jpg かつて自分が捕まえた天才的詐欺師ド・フリースが怪しいと睨んだモースでしたが、彼は記録上は海外で獄死したことになっていて、但し、ルイスが調べてみると、コンピュータをハッキングしてデータを改竄していたらしい。時としてモースに反感を抱き、前話ではモースの強引な捜査に反発していたルイスですが、今回は最初から無能なボトムリー警部(フリーメーソン信者らしい)は相手にせず、モース一辺倒でした。しかも、得意なコンピュータでハッキングを突き止めるという、IT犯罪捜査官のような活躍ぶり(操っているのは、黒い画面にグリーンの文字が出るMS-DOSコンピュータみたいだが)。

INSPECTOR MORSE:MASONIC MYSTERIES1.jpg 「機械オンチのモースに犯行は無理で、犯人はモースよりずっと頭がいい」というルイスの言い分は可笑しいですが、やはりド・フリースは生きていて(冒頭のオペラ・リハーサルの衣装係に注目)、モースをその命を奪えるところまで追い詰めるも、アッカンベーするみたいな感じで逃げていく。そして、意外な共犯者と合流。しかし、その途端に警察に包囲され、モースがちょっと前に見た幻視通りに―。

 見た目は気色悪いけれど、「魔笛」に準えて犯行を実行するなど犯罪哲学のようなものを持っているように思えた詐欺師ド・フリースについては、逃げ延びさせる手もあったのでないかなあとも。
 彼を崇拝する共犯者の女性(最初はモースの協力者を装っていた)の方がワルだったような気もするけれど、結局ド・フリースも実行犯だったのか? 「誰も殺さない」という犯罪哲学ではなく、復讐相手の愛している者を奪うことによってその相手に復讐するという、単なる方法論に過ぎなかったのかなあ。それにしても自分はあっさり死んじゃったなあ(そんなに監獄が嫌なのか)。終盤はそれなりに緊迫感はありましたが、その辺りのもやっとした感じが個人的にはちょっと引っ掛かったかも。

INSPECTOR MORSE:MASONIC MYSTERIES 5.jpg モースはルイスに「魔笛」を知らないと事件の話が通じにくいと言い放ち、自分はもう(こんな事件があって)合唱隊は辞めるとしながらも、ルイスにはベリル追悼公演となった「魔笛」を半ば無理矢理聴きに行かせますが、ルイスは台詞がさっぱり聴き取れないと言って途中で夫婦で会場を抜け出してしまいました。「魔笛」は普通ドイツ語でやりますから、台詞が解らなくて当然なのですが、この辺りは労働者階級出身のルイスらしかったかな(映画「アマデウス」では映画観客層に合わせてモーツアルト歌劇を全部英語でやっていたけれど)。でも、ルイスがハッキングを突き止め、自分の疑いを晴らした時などは、モースは感謝の祝杯を挙げるという心遣いもみせています(これも、自分が久しぶりに呑みたかったという理由の方が大きいか)。
Fishpool St, St Albans, Herts, UK - Inspector Morse, Masonic Mysteries (1990)

 新米刑事時代のモースを描いた当シリーズの前日譚「新米刑事モース~オックスフォード事件簿~」(2012年1月からITVで放送)の脚本家ラッセル・ルイスがこのエピソードに影響を受けて、「Case3/殺しのフーガ」(2013年)というエピソードの脚本を書いているそうなので、機会があれば観てみたいと思います。

「主任警部モース(第15話)/魔笛〜メソニック・ミステリー~」●原題:INSPECTOR MORSE:MASONIC MYSTERIES●制作年:1990年●制作国:イギリス●本国放映:1990/01/24 ●監督:ダニー・ボイル●脚本:ジュリアン・ミッチェル●原案:コリン・デクスター●時間:104分●出演:ジョン・ソウ/ケヴィン・ウェイトリー/マデリーン・ニュートン/イーアン・マクディアミット/セレスティーン・ランダル/リチャード・ケイン●ⅤHS発売:2001/01●発売元:日本クラウン(評価:★★★☆)

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