【2128】 ○ レニー・ライ 「バーナビー警部(第78話)/選ばれし者の遺伝子」 (10年/英) (2013/10 AXNミステリー) ★★★☆ (△ リチャード・ホルトハウス 「バーナビー警部(第79話)/ボクシングに沸く村」 (10年/英) (2013/11 AXNミステリー) ★★★)

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卿の方が娘たちに利用されていた(?)「選ばれし者の遺伝子」。

第78話/選ばれし者の遺伝子 dvd.jpg第78話/選ばれし者の遺伝子 dvd2.jpg 第79話/ボクシングに沸く村 dvd.jpg
"Midsomer Murders" Master Class (選ばれし者の遺伝子)/The Noble Art (ボクシングに沸く村)

第78話/選ばれし者の遺伝子0.jpg マイケル・フィールディング卿(ジェームズ・フォックス)と2人の娘は、ピアノの英才教育を行うプライベート・スクールを運営していた。生徒の中でも優れた才能を持つ一人ゾーイが、ある日、白いドレスの若い娘が川で溺れるのを目撃する。早速、捜索が行われるが何も発見されなかった―(「第78話/選ばれし者の遺伝子」)。

バーナビー警部(第78話)/選ばれし者の遺伝子.jpg 最初にゾーイが川で見たものがあまりにクリアで、そこからミスリードされてしまいましたが、犯人もまた個人的には想定外の人物でした。このシリーズ、「第40話/千里眼の系譜」で超能力を存在を肯定的に扱っていましたが、ここでは、音楽における「遺伝的才能」の絶対性を肯定的に扱っていて、こうした本来ならば議論が分かれそうなものについて、大胆に一つの"見解"を示しているところが、なかなか興味深かったです。

第78話/選ばれし者の遺伝子 1.jpg 犯人としては自分は絶対に「天才」なわけで、あとは天賦の才を持った女性と交わり、今度はその娘と―といった具合に"再生産"していくわけかあ。それにしても「父親でもあり祖父でもある」というのがスゴかったなあ。その前の代からそれを繰り返しているのか。

 これ、完全に近親相姦であり、遺伝学上危ないです。でも、自分の遺伝子が入っていることに意義があるわけだから、そうしたことも織り込み済みなのでしょう。あの有名なバッハの家系などはこれと似たようなものだったらしいし(演奏中に鼻血が出てしまったは、劣勢遺伝だったのか)。

2第78話/選ばれし者の遺伝子 .jpg第78話/選ばれし者の遺伝子 3.jpg しかし、音楽学校の生徒も変なのが多かったなあ。特にマスタークラスの最終選抜に漏れてストーカーみたいになってしまった男子。それと、子供ながらに、ゾーイとそのライバル(性格悪そうな娘だなあ)の二股かけて、結局、殺害されてしまった男子。その子の母親はその時、フィールディング卿に対する色仕掛け攻勢の真っ最中だったわけで、卿自身にはアリバイがあるわけだけど、まさか、学校全体でやっていたとはねえ。「魔女の館」みたいで、卿よりも娘(オバサン)達の方が怖かった(若干「ローズマリーの赤ちゃん」風)。見方によっては卿の方が彼女らに利用されていたのかも。


第79話/ボクシングに沸く村 1.jpg ミッドサマー・モーチャード出身のジョン・キンセラ対ガルシア・ラ・トサのボクシング試合が行われ、キンセラが勝利する。キンセラの祝賀会が催されるが、飛行機の遅れで本人やトレーナー、プロモーターは参加できなかった―(「第79話/ボクシングに沸く村」)。

第79話/ボクシングに沸く村 0.jpg 最初、登場人物が皆あまり乱脈で、誰と誰が不倫していて誰が二股かけているのか、本筋の人物相関はどうなっているのか、把握するのが難しかったです。仕舞には、ゲイ関係まで出て来るし...領主ジェラルド(ケビン・R・マクナリー、「ミス・マープル(第19話)/青いゼラニウム」('10年)にサマーセット警部役で出演)の息子セバスチャンが何を嘆いているのか最初は解らなかったけれど、実は殺害された弁護士とそういう関係だったのか...)。

第79話/ボクシングに沸く村 8.jpg でも、バーナビーが領主ジェラルドに対し、やけに友人としての信頼を置いているところで、ああ、これ、彼が往年のロックスターに再会した歓びでその目が曇った「第55話/悲憤の刃」と、もしかしたら同じパターンではないかと思いました。

Midsomer Murders (The Noble Art) house.jpg しかし、今度は、自分が意識的に彼を容疑者から外していることを充分に自覚していたなあ。ジョイスに自分が情に流され易いタイプか訊いているところで、観ている側としてはほぼ犯人は判ったという感じでしょうか。但し、それもかなり後半の方で、そTHE NOBLE ART.jpgれまでは自分もミスリードされ続けたわけですが(ジョーンズとのアクション付きボクシング談義で、一応、容疑者候補の一人ではあったけれど)。
 金に執着が無いと思われた人物の方が実は一発勝負を賭けていたわけかあ(邸を賭けの担保にするかね、フツー。それも大邸宅!)。冒頭のマジソン・スクェア・ガーデンからのタイトルマッチ中継でキンセラが勝った瞬間の映像が謎解きの時に改めて流れたけれど、全然印象に無かったなあ。

 犯人の目星がついてからは、意外と余裕のように見えたバーナビーでした。全く無駄な殺人を3件もやってしまった、その皮肉を嘆く犯人に関して、「我々の目の前で3件の殺人をやってのけるような人間は、我々とは別の人間だ」と部下ジョーンズに言い聞かせるくらい割り切った様子(最初の頃の、「判事(領主)はこちら側の人間だ」発言はもうさっぱり忘れてしまっている?)。

 まあ、バーナビーは学習した(?)のか以前の轍は踏まなかったわけで、その点では満足しているみたいだし、イギリスはとっくの昔に死刑制度を廃止していることもあって、この軽さなのかも。

Midsomer Murders Master Class .png第78話/選ばれし者の遺伝子 2.jpg「バーナビー警部(第78話)/選ばれし者の遺伝子」●原題:MIDSOMER MURDERS:MASTER CLASS●制作年:2010年●制作国:イギリス●本国上映:2010/10/06●監督:レニー・ライ●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:ニコラス・マーティン●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/カースティ・ディロン/ジェームズ・フォックス●日本放映:2013/10/25●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)

第79話/ボクシングに沸く村.jpg第79話/ボクシングに沸く村 si.jpg「バーナビー警部(第79話)/ボクシングに沸く村」●原題:MIDSOMER MURDERS:THE NOBLE ART●制作年:2010年●制作国:イギリス●本国上映:2010/10/13●監督:リチャード・ホルトハウス●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:Barry Purchese●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/カースティ・ディロン/ケビン・R・マクナリー●日本放映:2013/11/02●放映局:AXNミステリー(評価:★★★)

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