【2119】 ○ 横山 光輝 『鉄のサムソン―完全版』 (2010/04 小学館クリエイティブ) ★★★★

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美しく再現されたカラーページが懐かしい。もしかして「鉄人28号」より強いのではと...。

完全版「鉄のサムソン」.jpg鉄のサムソン1.jpg鉄のサムソン2.jpg鉄のサムソン - 完全版.jpg  横山光輝.jpg 横山光輝(1934-2004/享年69)
鉄のサムソン―完全版』(2010/04 小学館クリエイティブ)

復刻「鉄のサムソン」4巻セット.jpg 1962(昭和37)年から1964(昭和39)年にかけて小学館の学年誌「小学一年生」('62年1月号~'64年8月号)から持ち上がりで「小学四年生」まで連載された横山光輝(1934-2004/享年69)によるロボットSF漫画です。「鉄人28号」から「魔法使いサリー」まで幅広い創作活動をし、「三国志」など中国史モノにも強かった漫画家でした(『三国志』(全60巻)は全巻持っているのだが、なかなか再読できないでいる)。

 この「鉄のサムソン」は1991年に「アップルBOXクリエート」から復刻版(全4巻)が刊行されていたものの、とうに絶版となり入手困難となっていたところ、2010年に「小学館クリエイティブ」から第1部と第2部を復刻し、2冊を一函に収め、複製原画を付録につけた函入りの豪華限定版として刊行されました(同年には『鉄のサムソン』の後連載の『みどりの魔王』も復刻)。

 「完全版」というのは、(雑誌からではなく)原画から"完全再生"したことを指し、元のストーリー自体は「ガイタンクの巻」「第2部:サタン博士の巻」「第3部:海賊ロボットの巻」の通算32回の連載から成っています。

てつのサムソン.jpg 「サムソン」は「鉄人28号」と同様リモコンで少年に操られ、悪と戦う巨大ロボット。なぜその少年「のぼる君」がサムソンを操っているのかというと、近所のマッドサイエンティストから偶々サムソンを譲り受けたということで、完全に少年の個人所有物となっています(因みに「鉄人28号」は、太平洋戦争中に秘密兵器として開発されたものが、戦争が終結して使われずに眠っていたという設定)。まあ、この辺りはかなり緩い状況設定ですが(「鉄腕アトム」の生みの親・天馬博士もマッドサイエンティストと言えばそういうことになる)、動かない時のサムソンは野晒しになっていて何だか寂しそう。個人が格納庫を有するはずもありませんが、メンテナンスは大丈夫なのか? 「小学3年生」1968年8月号(連載第30回) 「てつのサムソン - 横山光輝「光ロボ」と昭和の操縦」より

鉄のサムソン―完全版2.jpg 本書は"完全"と謳うだけに原画から復刻したカラー部分が美しく再現されています。連載時は巻頭にカラーページがあった時と無かった時がありましたが、改めてカラーで見るとほれぼれします(価格も相応に高いけれど)。夕焼け空をびゅーんと飛んでいくサムソンを夢想した子供時代の記憶が甦ってきました。テレビアニメのイメージが浮かぶ「鉄人28号」に対し、こちらは雑誌漫画のイメージで(テレビアニメ化されなかった)、個人的に懐かしい作品です。

 「鉄人28号」の初出は月刊「少年」1956(昭和31)年7月号で、テレビアニメ「鉄人28号」は1963(昭和38)年から1965年まで全83話がフジテレビ系で放送されていますが、そうすると、「鉄のサムソン」の後半部分の連載時期は、「鉄人28号」のアニメ放映の前半部分と重なっていたことになります。「鉄人28号」も強いイメージはありますが、「鉄のサムソン」は自分より遥かに図体のデカい「ガイタンク」と戦って勝ったことで、もしかして「鉄人28号」より強いのではないかと思ったりもしていたことを思い出します。

アニメ 鉄人28号2.jpgアニメ 鉄人28号 1.jpg「鉄人28号」●演出:庵原和夫/渡辺米彦/山本功/若林忠雄/上金史朗/瀬古常時/河内功/松木功●脚本:岡本欣三/大野満男●音楽:越部信義(主題歌:西六郷少年合唱団(一部資料ではデューク・エイセス))●原作:横山光輝●出演(声):高橋和枝/矢田稔/富田耕生/久野四郎/加茂喜久/田畑明彦/安藤敏夫/高津杏子/梅屋かおる/浦野光/安田隆/白石冬美/はせさんじ/森山周一郎/永山一夫/藤本譲/兼本新吾/富山敬/坂本新兵●放映:1963/10~1965/05(全84回)●放送局:フジテレビ

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