【2118】 ○ レニー・ライ 「バーナビー警部(第69話)/スパイたちの秘密」 (09年/英) (2013/01 AXNミステリー) ★★★☆

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冷戦時代の裏切り行為に対する壮絶な復讐劇。制服警官から私服刑事になったゲイル。ジョーンズとの関係はどうなる?

バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」dvd1.jpgバーナビー警部 69「スパイたちの秘密」dvd2.jpg バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」01.jpg
Midsomer Murders: Season 12, Episode 3 Secrets and Spies(スパイたちの秘密)

SECRETS AND SPIES.jpg アレンビー・ハウスの当主フレーザー卿は、かつてMI6に所属し、ベルリンの壁崩壊以前に東ベルリンから西側へ逃亡者を送る作戦を指揮していた。そのチームには彼の息子ニッキーと妻ジェニーも入っていた。しかしフレーザー卿は現在は、自分の棺を用意したり、葬儀のリハーサルをするなどして家族に持て余されていた。フレーザー卿は、生活維持費のために、アレンビー・ハウスバーナビー警部 69「スパイたちの秘密」6.jpgをMI6のセイフ・ハウスとして提供することに了承する。そこへやってきたバーナビー警部 69「スパイたちの秘密」3.jpgラーキンは、フレイザー卿とも息子ニッキーとも反りの合わなかったが、その彼が、クリケットの試合の直後に死体で発見される。死体には、獣に噛まれたような痕があり、羊番のセスは「ミッドサマーの伝説」の復活をマスコミに吹聴する―。

バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」4.jpg クリケットの試合が出てくるのは、このシリーズでは「第8話/不実の王(採石場にのろいの叫び)」('99年)以来で、その時はトロイ巡査部長が試合に出ましたが、今度はジョーンズ巡査部長が試合に出ています。一方のバーナビーも、ジョーンズに依頼されて審判をやることになってルールを猛勉強。「主任警部モース」シリーズの「第10話/欺かれた過去」('89年)でもクリケット・シーンがありましたが、モースが試合を見ているだけで、しかもそのうち居眠りしてしまうのとは対照的(一方のモースの部下ルイス巡査部長はプロ級の腕前を見せる)。

バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」05.jpg クリケットの試合って、合間に「お茶とお菓子の時間」があるのが普通なのか。バーナビーがその際に妻ジョイスに、クリケットの審判は「神になれる」から楽しいと漏らした背景には、事件の方が情報機関の管轄になって捜査権を奪われてしまったことへの不満があったのでしバーナビー警部 69「スパイたちの秘密」2.jpgょう。そのバーナビーもかつてMI6に所属していたことをジョイスは初めてバーナビーから知らされますが、その彼女が読んでいる本が、John Le Carréのスパイ小説の古典"Tinker Tailor Soldier Spy"(邦題も『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』)で、2011年に「裏切りのサーカス」(英・独・仏合作)として映画化されており、ジョイスは映画化に合わせて原作を読んでいたのかも。

 事件は、冷戦時代の裏切り行為に対する壮絶な復讐劇だったわけで、考えてみれば随分と時間をかけた且つ手の込んだ復讐方法だったように思われますが、推理音痴の自分にとっては犯人の意外性はありました。プロローグをよく注意して見て考えれば、分からないことはないのですが...(妻ジェニー(アリス・クリーグ)の"スゴ技"って何だ?? )。
Alice Krige

バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」03.jpg ジョーンズは同僚の女性警官ゲイル・スティーブンス(カースティ・ディロン)が念願叶ってDC(DC DITECTIV Constable=巡査)になったことを自らも喜んでいるけれど(因みにジョーンズ自身は第51話「呼ばれた殺人者」でDCからDS(DS DITECTIV Sergeant=巡査部長)に昇進しており、前々任のトロイはそのDS(番組表記はSgt.)からDI(DI DITECTIV Inspector=警部補)に昇進した。バーナビーは更にその1つ上のDCI(DCI DITECTIV Chief Inspector=警部))、いざ仕事となるとやりにくいのか、彼女を置いてきぼり気味。事件関係者の聞き込みの際に女性学芸員の甘い誘惑に乗らないところ(上)は彼らしいけれど、制服警官から私服刑事になってどんな服を着ればよいか迷っているスティーブンスの相談に対してもつれないです。
バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」02.jpg 彼女からチームワークで仕事すべきだと言われ、防犯カメラの映像分析の仕事をさせると、彼女の方がそこから犯人の絞り込みに繋がるヒントを見つけ出し、逆に一歩遅れをとる(スティーブンスはその前には容疑者の情事が映っている場面を見て、男女の付き合いの長いことを断言し、男性らを絶句とさせている(左))―といった具合に、いいコンビと言えばいいコンビだし、お互い頭にくることもあると言えばそうとも言えます。バーナビーの娘カリーの結婚で「娘の恋愛」ネタが無くなった後は、このジョーンズとスティーブンスの「異性の同僚」ネタがしばらく続いており、男女ネタのサイドストーリーで視聴者を惹きつけるのが上手いなあと思いました(スティーブンスは制服姿の印象が強くて、彼女の私服姿を見慣れるのに時間がかかりそう)。

バーナビー警部 69「スパイたちの秘密」ロケ地.jpg「バーナビー警部(第69話)/スパイたちの秘密」●原題:MIDSOMER MURDERS:SECRETS AND SPIES●制作年:2009年●制作国:イギリス●本国上映:2009/06/29●監督:レニー・ライ●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:マイケル・エイトケンス●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジェイソン・ヒューズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/カースティ・ディロン/アリス・クリーグ●日本放映:2013/01/18●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)

The cricket match was filmed at Wormsley Park, former home of Sir Paul Getty, where he built a replica of The Oval cricket ground, Kennington, London.

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This page contains a single entry by wada published on 2014年4月 6日 23:26.

【2117】 ○ レニー・ライ 「バーナビー警部(第55話)/悲憤の刃」 (07年/英) (2011/02 AXNミステリー) ★★★☆ was the previous entry in this blog.

【2119】 ○ 横山 光輝 『鉄のサムソン―完全版』 (2010/04 小学館クリエイティブ) ★★★★ is the next entry in this blog.

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