【2110】 ○ 宮部 みゆき 『ソロモンの偽証 第Ⅱ部 決意 (2012/09 新潮社) ★★★☆

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これも比較的一気に読めたが、プロット展開が緩慢だった印象も(半分のボリュームで充分?)。

ソロモンの偽証2.JPGソロモンの偽証02.jpgソロモンの偽証 第II部 決意』(2012/09 新潮社)

 もう大人たちに任せておけない――。保身に身を窶す教師たちに見切りをつけ、一人の女子生徒が立ち上がった。校舎を覆う悪意の雲を拭い去り、隠された真実を暴くため、学校内裁判を開廷しよう! 教師による圧力に屈せず走り出す数名の有志たち。そして他校から名乗りを上げた弁護人の降臨。その手捌きに一同は戦慄した―。(新潮社サイトより)

 藤野涼子を中心に生徒達が企図した裁判―その開廷に至る準備が、この第Ⅱ部の中心と言えます。弁護人や検察側、陪審員団が形成されていく過程は「七人の侍」の人材集めみたいで面白いのですが、中には、こんな中学生、いるかなという感じの生徒もいました。

 そして何よりも、現実において大人たちの中で、こうした生徒たちの発想したものに寛大な姿勢を示したりバックアップしたりする人間がどれぐらいいるだろうかと、その実現可能性を考えた時、あっ、この話は半分はジュブナイルの要素が入ったファンタジー・ミステリなのだなあと気づきました。そう割切って読めば、後はそこそこに楽しめました。

 Amazon.comのレビューなどを見ると、読者によっては、最初、ジュブナイル系のライトノベル乃至ファンタジー・ミステリとして読み始めて、読み進むにつれ内容があまりに辛すぎて違和感を覚えた、といったような感想あり(作者のジュブナイル系の作品が"比較基準"になっている)、自分とは全く逆の読み方をした人も結構いたのだなあと。最初からジュブナイル小説として割り切って読んでいる読者は、知識や技能面でのプロ級の「スーパー中学生」が出てこようと、そこでは特に引っ掛かることなく、むしろ、思いの外の話の重さに戸惑うのかも。

 第1部に続いて、これも比較的一気に読めた方でしょうか(偶々個人的には、列車で遠距離2往復する用件があったことが大きいが)。但し、開廷へ向けた準備の間に次なる事件が起きたりはするものの、そのことを考慮しても、やや冗長な印象があったのは否めません。純粋にミステリとして見た場合、この分厚い1冊の間にどれぐらいプロット面での展開があったと言えるのか? 第Ⅲ部への"繋ぎ"の巻だった印象は拭えず、個人的評価は、第Ⅰ部の★★★★に対して星半分減の★★★☆としました。

 第Ⅰ部のレビューのところでも書きましたが、作者5年ぶりの現代ミステリ―と言っても10年間も続いた連載だったわけで、しかもその間に時代ミステリやジュブナイル・ミステリも数多く発表しているわけであって、近年のこの作者は、出版社の要請に応えて原稿を量産し、連載を長持ちさせることが目的化している兆候も見られるように思いました(内容的には半分のボリュームで充分収まったのでは)。

 この時点で、第Ⅲ部で果たしてがっくりさせられるか、それとも驚くべき結末に唸らされるのか、期待したいt楽しみな気持ちと、期待を裏切られるのではないかという不安な気持ちの入り交じった複雑な心境でした。

【2014年文庫化[新潮文庫(上・下)]】

   



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和田泰明

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This page contains a single entry by wada published on 2014年3月29日 00:02.

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