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ソース工場の経営を巡る一族の確執。後味は良くないけれど、そこそこに巧いエピソード。
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1851年創業のソース工場プラマー社のピリ辛ソースは、英国内外で愛され、売れ続けていたが、いつしか経営難に陥り、フィールドウェイ社から買収話がもちかけられていた。今年の年次総会でプラマー社の一族が集まった時、工場見学に来ていた男が殺される―。
被害者の死体が全裸で高熱消毒のベルトコンベアから出てきたというのが凄いね。検視官ブラード博士が、今回の死体は"見もの"だと言ってるぐらいですから、確かに充分にユニーク且つグロテスク。バーナビーらの調べで、殺害された男はフィールドウェイの社員デクスター・ロックウッドで、消毒される前にフォークリフトでソース瓶の壁に挟まれて圧死していたことが判り、彼は買収会社の社員であるだけでなく、祖父がプラマー社の創業メンバーの一人でありながら、解雇され自殺したという過去経緯もありました。
プラマー社の経営権は、母親と3人の兄弟・妹にあるものの、長男レイフは社長でありながらも会社経営よりバードウォッチングに執心しており、実質的にはその妻ヘレンが経営を仕切っていて、残るアンセルム、キャロラインの弟妹は遊び人みたいな感じで、工場を売却することで金を得たいと考えていますが、大株主の母親と長男がそれを拒んでいるという状況です。
バーナビーは長男の妻ヘレンに事情聴取しようとして逆にレストランを指定され、そこでいい雰囲気で話していると、スコットもキャロラインを伴って同じレストランへやってきて"Wデート"みたいな感じになりますが、スコットの方はキャロラインから事件に関する事実を聞き出そうとして、彼女から"実利主義者"呼ばわりされて決裂(キャロラインは「実利主義の家族から自由になろうとする女の話」を小説に書こうとしていて、その話をスコットに聴いて欲しかったみたい)、一方のバーナビーは"いい雰囲気"でヘレンと別れ、外で待っていたスコットに、「偏見を持ってはいけませんよ」と負け惜しみ的に言われ、やや憮然とするのが可笑しいです。
一族の中でも最も意外な線が犯人だったというのはこのシリーズらしいですが、夫が妻を庇って全ての罪を被ろうとしていたのに、妻の方は夫が所有し大事にしている森を売って(そっか、自分の森だったのか)経営を立て直そうとしていて、その齟齬が哀しいなあ。こうなると、純粋な人ではあるが、社長なのにあまりにも経営から逃げ続けてきた夫も問題ありでしょう。
バナービーが事件の進捗を家族に話すのはいつものことですが、容疑者の一人と食事したことを妻ジョイスに話す際に、相手は美人だったとかそんなことまで話しちゃったのかなあ。最後は、自分が捜査に偏見を持っていないことをスコットの前で実証してみせたけれど、ジョイスはずっと不機嫌だったなあ。
最後、母親が認知症になってしまうのも哀しいけれど、会社を売りたがっていたはずのアンセルムらが、働くことを覚えなきゃなんてことを言い出したということは、プラマー社の存続を示唆しているのでしょうか(その場合、森を売るんだろうなあ)。どちらにしても、バーナビーが、昔の好きだった味とは違ってしまったプラマー社のピリ辛ソースはもう要らないと言っているは、事件の後味の悪さと重なっているように思いました。確かに後味は良くないけれど、そこそこに巧いエピソードではあると言えるかも。
「バーナビー警部(第42話)/斜陽の喧騒」●原題:MIDSOMER MURDERS:SAUCE FOR THE GOOSE●制作年:2005年●制作国:イギリス●本国上映:2005/04/03●監督:レニー・ライ●製作:ブライアン・トゥルー=メイ●脚本:アンドリュー・ペイン●時間:102分●出演:ジョン・ネトルズ/ジョン・ホプキンズ/ジェーン・ワイマーク/バリー・ジャクソン/ジェームズ・フリート/ジェラルディン・アレクサンダー●日本放映:2010/04●放映局:AXNミステリー(評価:★★★☆)
80 High St, Amersham, Bucks, UK - Midsomer Murders, Sauce For The Goose