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冬の寒い日は、自宅でサーフィン映画を...か。意外と乙かも。
「ビッグ ウェンズデー [DVD]」/「Big Wednesday」(CD, Soundtrack, Import)/「魅惑の女優シリーズ カリフォルニア・ドリーミング [DVD]」/AMERICA - California Dreaming - Music From The Motion Picture Soundtrack
60年代初め、カリフォルニアの海辺の町で、マット(ジャン=マイケル・ヴィンセント)、ジャック(ウィリアム・カット)、リロイ(ゲイリー・ビジー)を中心とする若者たちで作るサーフィン・グループは、水曜日にやって来るという世界最大の波"ビッグ・ウェンズデー"に挑戦することを夢見ていた。そんな頃、彼らにもベトナム戦争の徴兵令状がきた。グループの大半が懲兵を免れようとしている中で、優等生だったジャックは懲兵検査を受けて、ベトナムへと出征していった―。
サーファーの一部には、夏の天気がいい日は海辺でサーフィンに勤しみ、冬の寒い日や海が時化たりした日などには、自宅でサーフィン映画を観たりする習慣があるそうな(サーファーでなくとも、意外と乙かも)。「ビッグ・ウェンズデー」('78年/米)は、そうした際の定番映画らしく、ジョン・ミリアス監督が35歳の頃に「自分たちの青春時代を思い出して作った」そうですが、青春の悩み、暴走、反発、落胆、挫折、恋などを盛り込んだ青春映画であるとともに、ベトナム戦争への若者の複雑な思いも反映されています。
ジョージ・ルーカス監督の「アメリカン・グラフィティ」('73年)では、ラストシーン(エピローグ)で、青春時代の仲間たちの一人がベトナムで戦死(行方不明)したことを伝えていましたが、この映画では、ベトナムへ行った仲間の戦死を悼む場面はあるものの、ジャックは生きて戻ってきます。そのジャックを2人が迎えるシーン、更に3人で颯爽と"ビッグ・ウェンズデー"へ向かうシーンがいいです。「生きていて良かった」という実感があり、アメリカ中心的と言えばそう言えなくもないですが、そうした見方に対しては、アメリカ側からすれば「戦争をやっていない国の人間が何を言うか」という感じになるのかも(因みに、ジョン・ミリアスはアーノルド・シュワルツェネッガー主演の「コナン・ザ・グレート」('82年)の監督でもあり、共和党支持者であると共に反共主義者としても知られている)。
この映画を観て、ジャン=マイケル・ヴィンセント(Jan-Michael Vincent)は、結構スター性があるように思ったけれど、意外と伸びなかったなあ(「アメリカン・グラフィティ」のポール・ル・マットなどもそうだったが)。ジャン=マイケル・ヴィンセントは菜食主義者だそうで、自分の私生活を大切にするタイプだったのかと思ったら、アルコール依存症とドラッグの問題で映画界から消えていきました(ゲイリー・ビジーの方がまだ、アクション映画に悪役としてよく出演している)。
徴兵に応じたジャックを演じたウィリアム・カット(William Katt)は、80年代に入って「新・弁護士ペリー・メイスン」で腕利き調査員ポール・ドレイク・ジュニア役でその姿を見られたのが嬉しかったです。この役どころは約30年前の旧シリーズ(日本ではフジテレビが1959年3月の開局時に放映)での調査員の息子役。当時の調査員ポール・ドレイク役のウィリアム・ホッパーが既に亡くなっていたためで、一方、レイモンド・バーと秘書デラ役のバーバラ・ヘイルは30年ぶりのシリーズ共演でした。
ハイスクールを卒業し、大学入学までの夏期休暇を憧れのカリフォルニアで過ごすためシカゴからやってきたTT(デニス・クリストファー)は、初老のデューク(シーモア・カッセル)の家に泊まることになる。そこの娘コーキー(グリニス・オコナー)は最初はTTのことを田舎者として疎んじていたが―。
『カリフォルニア・ドリーミング』映画パンフレット
「カリフォルニア・ドリーミング」('79年/米)は、サーフィン映画とまで言えるかどうか分かりませんが、「ビッグ・ウェンズデー」と同じ頃の青春映画で、シカゴから憧れの地カリフォルニアにやってきた少年が体験するビーチ・ライフを描いた作品でした。
結局、"ひと夏の体験"物語という感じで、デュークが昔サーフィンの世界チャンピオンだったのは、実は法螺話では無かったというサイドストーリーがありますが、そもそも主人公は女の子をゲットしたくてカリフォルニアに来ただけだったのか、そこのところがよく分からない。様々な男女の恋愛模様を見せつつも、やや薄っぺらい印象も
ママス&パパスのデビュー・シングルにして最大のヒット曲となった「夢のカリフォルニア」(映画内ではアメリカがカバー)が耳に心地よいですが、このオールディーズ・ナンバーだけが強く耳に残ったかな。あとはグリニス・オコナー(Glynnis O'Connor/右)の当時の豊胸か(最近では「LAW & ORDER ロー&オーダー」に出ている)。後に「チャーリーズ・エンジェル」のレギュラーメンバーとなり(シーズン5/'80年--'81年)、ボンド・ガールにもなるタニア・ロバーツ(Tanya Roberts/左)も出ていました(「007 美しき獲物たち」('85年/英)に出る前に、「ミラクルマスター 七つの大冒険」('82年/米)や「シーナ」('84年/米)にも出ていた)。この「カリフォルニア・ドリーミング」は、個人的評価は別にして、それなりに固定ファンがいるはずなのに、永らくDVD化されず今年['13年]になってやっとリリースされたのは、カバー曲の著作権関係が複雑なためなのでしょうか?(VHS及びこれまでのCS放映版では、「CALIFORNIA DREAMIN」の歌が無くて別のインストルメンタルの曲になっている)、それともB級青春映画として近年になって再評価されたためなのか?
グリニス・オコンナー/デニス・クリストファー
「カリフォルニア・ドリーミング」の主人公の、見ている方が気恥ずかしくなるような青臭さと対比すると、「ビッグ・ウェンズデー」の男同士の強固な友情からは(精神的な)ホモセクシュアルの雰囲気すら感じられるというのは穿った見方でしょうか。
「ビッグ・ウェンズデー」●原題:BIG WENSDAY●制作年:1978年●制作国:アメリカ●監督:ジョン・ミリアス●製作:バズ・フェイトシャンズ/アレクサンドラ・ローズ●脚本:ジョン・ミリアス/デニス・アーバーグ●撮影:ブルース・サーティース●音楽:ベイジル・ポールドゥリス●時間:119分●出演:ジャン=マイケル・ヴィンセント/ウィリアム・カット/ゲイリー・ビジー/リー・パーセル/サム・メルヴィル/パティ・ダーバンヴィル/ダレル・フェティ/ジェフ・パークス/レブ・ブラウン/デニス・アーバーグ/リック・ダノ/バーバラ・ヘイル/ジョー・スピネル/ロバート・イングランド●日本公開:1979/04●配給:ワーナー・ブラザーズ●最初に観た場所:テアトル吉祥寺(82-03-13)(評価:★★★☆)●併映:「カッコーの巣の上で」(ミロシュ・フォアマン)
テアトル吉祥寺 (1999年〜吉祥寺ピカデリー) 1979年、吉祥寺パーキングプラザ(右写真・現)地下1階にオープン。2000(平成12)年5月22日閉館
「新・弁護士ペリー・メイスン」(原作:E・S・ガードナー)PERRY MASON (CBS 1985~1988) ○日本での放映チャネル:NHK‐BS2
出演:レイモンド・バー/バーバラ・ヘイル/ウィリアム・カット
「カリフォルニア・ドリーミング」●原題:CALIFORNIA DREAMING●制作年:1979年●制作国:●アメリカ●監督:ジョン・ハンコック●製作:クリス・ウィティカー●脚本:ネッド・ウィン●撮影:ボビー・バーン●音楽:フレッド・カーリン(主題歌「カリフォルニア・ドリーミング」(アメリカ) )●時間:93分●出演:デニス・クリストファー/グリニス・オコナー/シーモア・カッセル/ドロシー・トリスタンジョン・カルヴィン/トッド・サスマン/アリス・プレイトン/ネッド・ウィン/ジェームズ・ヴァン・パタン/ヴィヴィアン・ボネル/ジェームズ・ステイリー/ ボニー・バートレット●日本公開:1979/06●配給:松竹=富士映画●最初に観た場所:高田馬場/ネッド・ウィーン/ジョン・カルビン/タニア・ロバーツ/パール座(83-02-27)(評価:★★☆)●併映:「さらば青春の光」(フランク・ロダム)
タニア・ロバーツ(「007 美しき獲物たち」('85年/英))
「地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル」 CHARLIE'S ANGELS (ABC 1976~1981) ○日本での放映チャネル:日本テレビ(1977~1982)
「チャーリーズ・エンジェル シーズン5(1980-81)」ジャクリーン・スミス/タニア・ロバーツ/シェリル・ラッド
「チャーリーズ・エンジェル シーズン1(1976-77)」ケイト・ジャクソン/ファラ・フォーセット・メジャーズ/ジャクリーン・スミス
ジャン・マイケル・ビンセント(米俳優)が2019年2月10日、心不全のためノースカロライナ州の病院で死去、73歳。米メディアが伝えた。 '78年の青春映画「ビッグ・ウェンズデー」のサーファー役で知られる。[朝日新聞デジタル](2019-03-11)
タニア・ロバーツ
尿路感染症のため2021年1月4日夜に死去。満65歳没。映画「カリフォルニア・ドリーミング」「ミラクルマスター/7つの大冒険」「シーナ」「007 美しき獲物たち」、TVシリーズ「地上最強の美女たち! チャーリーズ・エンジェル」などに出演。