【2057】 ○ イアン・バーバー/他 (原作:G・K・チェスタトン) 「ブラウン神父(第6話~第10話)」 (13年/英) (2013/10 AXNミステリー) ★★★☆

「●TV-M (ブラウン神父)」のインデックッスへ Prev|NEXT⇒ 【2143】 「ブラウン神父(シーズン2:第1話~第2話)
「○外国映画 【制作年順】」の インデックッスへ

待っていれば事件の方が向こうからやってくる"農耕民族"的なブラウン神父という印象か。

Father Brown Series 1 [DVD] [2013].jpg2「ブラウン神父」シリーズ.jpg マッカーシー夫人.jpg バレンタイン警部補.jpg
Father Brown Series 1 [DVD] [2013]

ブラウン神父」固定メンバー 2 - コピー.jpg 「ブラウン神父」のBBCによる新シリーズの第5話から第10話。神父(マーク・ウィリアムズ)をはじめ、事件解決のため村の噂話や情報を入手する秘書的なおばさんのマッカーシー夫人(ソーチャ・キューザック)、家政婦のポーランド娘スージー、その恋人で運転手のシド、有閑マダムっぽいフェリシアなど、ブラウン・ファミリーは固定されていて、ブラウン神父と競合し、いつも神父に先を越されて苦々しい思いをしているバレンタイン警部補(ヒューゴ・スピアー)も毎回登場、1時間枠ということもあって、まあ、安心して気楽に観ることができるシリーズといった感じでしょうか。

第6話「キリストの花嫁」.jpg 第6話「キリストの花嫁」(The Bride of Christ)(Director:Ian Barber)は、同名の邦題原作が見当たりません。教会で修道女シスター・マグダレンが突然倒れて死亡、バレンタイン警部補やブラウン神父は、青酸中毒死を疑う。確認したところ修道院内にワイナリーがあり、ワインの中の銅や鉄を除去するために薬品が大量に置かれていることを知る―。
 犯人の犯行動機に同情の余地はあるけれど、無実、と言うより無辜の人が亡くなっているため、引き起こした結果の責任はあまりに重いという結構キツイ話でした。後味はイマイチ(評価★★★)。

第7話「「悪魔の塵」.jpg 第7話「悪魔の塵」(The Devil's Dust)(Director:Dominic Keavey)も、同名の邦題原作が見当たりません。村のルースという少女は子供の頃から、背中にアザのような症状が出ていたが、ルースの主治医エバンズは急に辞めてしまう。ルースは、友達からも伝染病と誤解され無視されていた。さらに父親ジェフリーの研究が症状の原因だと噂されていた―。
 作中に、放射能への理解が誤っている場面があるため、番組の冒頭に「1950年代が舞台なので」ということで視聴者に理解を求めるテロップが出てきましたが、ドラマを作っているのは現代でしょう(問題ありだなあ)。プロット的にはまあまあですが、殺人が無かったね(★★★☆)。

第8話「死者の顔」.jpg 第8話「死者の顔」(The Face of Death)(Director:Matt Carter)も、同名の邦題原作が見当たりません。ダニエルの父親が車に轢かれて数週間後に死亡。ダニエルは運転していたマーガレットに「罪を償え」と電話をする。夫のパトリックは警察に連絡しようとするが、マーガレットは忘れたい過去だと対処しない。ある日、2人の家でチャリティパーティが開催される―。
 パーティなどやっている場合かという気もするけれど、金持ちの日常習慣なんだろなあ。殺人が無かった第7話の反動か、今度の犯人はバンバン殺していくねえ。でも、最初のは純粋に交通事故だったということでしょうか? ある種、「叙述トリック」と言えるかも(評価★★★☆)。

第9話「市長とマジシャン」.jpg 第9話「市長とマジシャン」(The Mayor and the Magician)(Director:Dominic Keavey)も、これも同名の邦題原作が見当たりません。市長ウィリアムと妻のエレノア、娘のキャサリンが村を訪れ、マッカーシー夫人は張り切ってイベントを指揮し、市長一家を盛大に迎える。市長は、スージーが暮らすポーランド人収容施設にポーランド人小学校を建てるプロジェクトに賛同していた―。
 ドンデン返しがあるのかと思ったら、無かった。ちょっとストレートすぎる印象も。このドラマ版のブラウン神父は、生きている者は誰でも悔い改めれば許してしまうね。マッカーシー夫人の旦那さんが登場し、復縁話にウェイトがかかった感じ(★★★)。

第10話「青い十字架」.jpg 第10話「青い十字架」(The Blue Cross)(Director:Ian Barber)は、原作では第1短編集『ブラウン神父の童心』(The Innocence of Father Brown、1911年刊行)の第1話と同名タイトル。ブラウン神父に「泥棒を捕えるには十字架を見張れ」という手紙が届く。すぐに教会に飾られた青い十字架を見に行くと、十字架の横に「F」と刺繍されたハンカチを見つけ、「フランボウ」という指名手配中の泥棒が青い十字架を狙っていると警部補らに告げる―。
エルキュール・フランボウ.jpg 後に改心してブラウン神父の手足となる大泥棒エルキュール・フランボウが登場。やっと原作と同じタイトルのものが出てきたかと思ったら、かなり原作を改変しているような印象を受けました。犯人当て(要するにフランボウが化けているのは誰かということ)が主題になっていて、但し、神父がそれを見破る根拠などは原作を踏襲していたりもします(評価★★★☆)。

 完全に「ブラウン・ファミリー」を背景に「ブラウン vs.バレンタイン警部補」という構成になっているので、全体を通して、事件に対して"狩猟民族"的に動き回るブラウンと言うより、待っていれば事件の方が向こうからやってくる"農耕民族"的なブラウン神父という印象でしょうか。ドラマとして気軽に楽しむ分には悪くないけれど、中には、あまりにあっさりし過ぎているのもあったかな。

 マーク・ウィリアムズのブラウン像は、原作とは異なる独自のものといった印象ですが、宗教がモチーフになっている場面では重厚感があって、そう悪くないと思いました。元々ややクセのある俳優と言えばそうであり、人によって好き嫌いは分かれると思いますが、演技力はあるのでは。

ブラウン神父の事件簿 DVD-BOXI(2018年リリース)
ブラウン神父の事件簿 DVD-BOXI.jpg【収録内容】
Disc.1 「神の鉄槌」The Hammer of God / 「飛ぶ星」The Flying Stars
Disc.2 「狂った形」The Wrong Shape / 「木の中の男」The Man in the Tree
Disc.3 「アポロの眼」The Eye of Apollo / 「キリストの花嫁」The Bride of Christ
Disc.4 「悪魔の塵」The Devil's Dust / 「死者の顔」The Face of Death
Disc.5 「市長とマジシャン」The Mayor and the Magician / 「青い十字架」The Blue Cross
Disc.6 「物体に宿る霊」The Ghost in the Machine / 「狂気の沙汰」The Maddest of All
Disc.7 「プライド家のプライド」The Pride of the Prydes / 「絞首台の影」The Shadow of the Scaffold
Disc.8 「ロザリオの謎」The Mysteries of the Rosary / 「エルサレムの娘」The Daughters of Jerusalem
Disc.9 「三つの兇器」The Three Tools of Death / 「ジェラード大佐の褒美」The Prize of Colonel Gerard
Disc.10 「死神」The Grim Reaper / 「行動の法則」The Laws of Motion

Categories

Pages

Powered by Movable Type 6.1.1