【2039】 ○ ワレーリー・ルビンチク (原作:ウラジミール・コロトケヴィチ) 「スタフ王の野蛮な狩り」 (79年/ベロルシア共和国) (1983/05 日本海映画) ★★★☆

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ロシアン・ゴチック・ミステリー。プロットはともかく、独特の雰囲気を持った作品。
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スタフ王の野蛮な狩り ポスター.jpgスタフ王の野蛮な狩り スタフ王.jpg スタフ王の野蛮な狩り4.jpg
"ДИКАЯ ОХОТА КОРОЛЯ СТАХА"「The Savage Hunt of King Stakh / Dikaya Okhota Korolya Stakha [Import] [DVD]

スタフ王 主人公.jpgスタフ王2.jpg 1899年、ベロルシアのポレーシエ村に、ペテルスブルグートニコフの大学生アンドレイ・ベロレツキー(ボリス・プロ)が、民俗学研究として民話の取材にやって来た。彼が雨やどりをした古い館には、美しい女性ナジェージタ(エレン・ディミートロワ)が住んでいた。17世紀始めのポレーシエには、「スタフ王」と呼ばれる農奴制の改革を訴えて決起した農民らにとっての英雄がいたが、反目する金持の貴族ロマン・ヤノフスキーによってスタフは狩猟中に殺害され、今際の際(いまわのきわ)に、ヤノフスキー家の一族を呪い殺すことを誓ったという。その最初の儀牲者となったのがロマン・ヤノフスキーで、ナジェージタはヤノフスキーの最後の血縁者だった―。

スタフ王 儀式.jpgスタフ王の野蛮な狩り 小人.jpg アンドレイはこの家で、ナジェージダが全裸で羽毛に包まれ召使いの老婆が呪文を唱えていたり、執事が怪しげな行動をとったりするなど、不思議なことを目撃する。ナジェージタの誕生パーティが開かれ、彼女の伯父ドゥボトフク(ロマン・フィリッポフ)が、高価な贈り物をする。やがて執事が殺され、彼の弟の小人の存在が明らかになる。そのころ村では、スタフ王の亡霊が出没し、人々を恐怖の底に陥れていた。アンドレイは村人たちを励ましてスタフ王と騎士たちに挑み、その正体を明らかにする―。

King Stakhs Wild Hunt.jpgスタフ王9.jpg ロシアン・ゴチック・ミステリーいう感じでしょうか。「ベロルシア」は「ベラルーシ」のことで(従って今のロシアには含れない)、ポレーシエは湿地帯の多い地方のようです(コナン・ドイルの『バスカヴィル家の犬』の舞台になった英国のダートムアみたいな感じか)。ベラルーシの作家ウラジミール・コロトケヴィチの作品を基に映画化されたそうで、この作家がどういう作品を書いているのかよく分からないのですが、スタフ王伝説というのは実際にあるそうです。

King Stakh's Wild Hunt [NOOK Book(USA)]
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 冒頭からおどろおどろしい雰囲気に満ちていて、古城や貴族の邸などもホンモノらしいスケールを感じさせましたが、観終わってみれば「な~んだ」という感じがしなくもないプロットでした。でも、それは観終わってから思うことであって、民話的・幻想的な雰囲気は、観る側を引き込むものがあったと思います。「ソ連」のミステリ映画ってそれまで観たことが無かったし、そもそも最初に観た時はミステリ映画だとは知らないで観たので、展開の予測がつかなかったというのもあったと思います。

 ラストが、"スタフ王"をやっつけて目出度し目出度しではなく、アンチカタルシス気味の作りになっているため、この辺りで作品への"評価"と言うより"好み"が分かれるかも。個人的には、冒頭勢いがあっただけに、その分、中盤がやや緩慢に感じられました。まあ、他にあまり類の無い、独特の雰囲気を持った作品であることは間違いないです。

スタフ王の野蛮な狩り 5.jpg「スタフ王の野蛮な狩り」●原題:ДИКАЯ ОХОТА КОРОЛЯ СТАХА(THE SAVAGE HUNT OF KING STACH)●制作年:1979年●制作国:ベロルシア共和国(ベラルーシ共和国)●監督:ワレーリー・ルビンチク●脚本:ウラジミール・コロトケヴィチスタフ王の野蛮な狩り 娘.png/ワレーリー・ルビンチク●撮影:タチャーナ・ロギーノワ●音楽:エフゲニー・グレボフ●原作:ウラジミール・コロトケヴィチ"King Stakh's Wild Hunt"(Belarusian: Дзікае паляванне караля Стаха)●時間:109分●出演:草月ホール.jpgボリス・プロートニコフ/エレン・ディミートロワ/ワレンチナ・シェンドリコワ/アルベルト・フィローゾフ/ロマン・フィリッポフ●日本公開:1983/05●配給:日本海映画●最初に観た場所:赤坂・草月ホール(83-06-11)(評価:★★★☆)●併映(同日上映):「戦火を越えて」(レーゾ・テヘイゼ)/「七発目の銃弾」(アリ・ハムラーエフ)/「ジプシーは空に消える」(エミーリ・ロチャヌー)/「狩場の悲劇」(エミーリ・ロチャヌー)
草月ホール 赤坂・草月会館(1958年竣工・1977(昭和52)年建て替え)内

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