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「○存続中の映画館」の インデックッスへ(銀座文化1(シネスイッチ銀座1))
ミステリ風コメディ映画。ヴェネチア・カーニヴァルの幻想的雰囲気がストーリーによくマッチ。
「Nudo di donna [VHS] [Import]」 Eleonora Giorgi(エレオノーラ・ジョルジ)/Nino Manfredi(ニーノ・マンフレディ)
1971年・第24回カンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞したニーノ・マンフレディ(1921‐2004)が監督・主演した、ヴェネチアのカーニヴァルを背景としたミステリ風コメディ映画で、日本では'84年の「イタリア映画祭」で上映された作品であり、その後、一般ロードでも公開されました。ニーノ・マンフレディは元々俳優であり、この作品の当初の監督アルベルト・ラットゥアーダ(「スキャンドール」('80年/伊)の監督)と意見が合わず、とうとう主演男優である彼自身が自分で監督してしまったというものです。
老舗の古書店の娘と結婚して十数年経つ夫(マンフレディ)は、自らもローマからヴェネチアに移り住んで古書店を営もうとするがうまくいかず、芸術家の間で顔が広い妻(エレオノーラ・ジョルジ)に対するコンプレックもあって2人の関係はやや冷え切り気味だが、そんなある日、芸術家達の集いの場となっている知人の屋敷で、妻にそっくりの女の大判ヌード写真を見つける―。
やがてカフェで、派手なカラフルな娼婦の衣装を身につけたその写真のモデル、妻そっくりの女リリー(エレオノーラ・ジョルジが二役を演じている)を見つけ、男は彼女のところへ通いつめるようになるが、彼女がケガをした日に家に帰ると妻も同じところをケガしたりしていて、更に、カーニヴァルの夜、自宅からリリーの家まで屋根伝いで行ける近道を偶然に発見する―。
カーニヴァルの翌朝、男はリリーと並んで焼きカボチャか何かを食べていますが、もう男にとってリリーが妻と同一人物であろうとなかろうとどうでもよく、目の前に愛する人がいるだけで満ち足りた気分になっているという、ミステリ的要素がありながら謎は最後まで明かされないという終わり方ですが(その方が却って洒落ていていい)、ある意味、女性に妻と娼婦の2役を求める男の願望を表した作品であるともいえます。
夫婦は互いの全てを知ろうとはしない方がいいという教訓譚と解すことも出来て、大らかな艶笑コメディの伝統を有するイタリア映画ならではの作品ですが、ヴェネチア・カーニヴァルの幻想的な雰囲気が映画のストーリーによくマッチしていたように思います。
「ヌードの女」●原題:NUDO DI DONNA(NU DE FEMME [仏])●制作年:1981年●制作国:イタリア・フランス●監督:ニーノ・マンフレディ●脚本:ニーノ・マンフレデ/アージェ・スカルペッリ/ルッジェロ・マッカリ●撮影:ダニロ・デシデリ●音楽:ロベルト・ガットー/マウリッツィオ・ジアマルコ●時間:103分●出演:ニーノ・マンフレディ/エレオノーラ・ジョルジ/ジョルジュ・ウィルソン/ジャン=ピエール・カッセル/カルロ・バーノ●日本公開:1984/10●配給:イタリア会館●最初に観た場所:銀座文化1(84-10-04)(評価★★★☆)「Nudo di donna [VHS] [Import]」
Eleonora Giorgi
「銀座文化1・銀座文化2」「銀座文化/シネスイッチ銀座」
銀座文化1 1955年11月21日オープン「銀座文化劇場(地階466席)・銀座ニュー文化(3階411席)」、1978年11月2日~「銀座文化1(地階353席)・銀座文化2(3階210席)」、1987年12月19日〜「シネスイッチ銀座(前・銀座文化1)・銀座文化劇場(前・銀座文化2)」、1997年2月12日〜休館してリニューアル「シネスイッチ銀座1(前・シネスイッチ銀座)・シネスイッチ銀座2(前・銀座文化劇場)」
《読書MEMO》
●ヴェニス(ヴェネツィア)を舞台にした映画
「エヴァの匂い」('62年/仏)ジョゼフ・ロージー監督
「ベニスに死す」('71年/伊・仏)ルキノ・ヴィスコンティ監督
「ヌードの女」('81年/伊・仏)ニーノ・マンフレディ監督
「007 ロシアより愛をこめて」('63年/英)テレンス・ヤング監督